建設会社の休憩所対策|現場の熱中症対策が義務化

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2025年6月に改正労働安全衛生規則が施行され、一定の条件下で熱中症対策が事業者の義務となりました。とくに屋外作業が多い建設現場では、WBGT(暑さ指数)の管理や水分補給だけでなく、作業員が体を冷やせる休憩所の整備など、より実効性の高い対策が求められています。
そこで本記事では熱中症対策義務化の概要や建設現場で実施したい対策に加え、ハウスメーカーやゼネコンによる休憩所整備などの取り組み事例を紹介します。
熱中症による死傷者数が増加傾向

近年、猛暑の影響により、職場で発生する熱中症による労働災害は増加傾向にあります。厚生労働省によると、2025年における職場での熱中症による死傷者数(死亡・休業4日以上)は1,681人と、統計を開始した2005年以降で最多を記録しました。
建設業は屋外での作業が多く、直射日光や高温環境に長時間さらされることから、とくにリスクの高い業種の一つです。また、熱中症による死亡災害は初期症状への対応の遅れが要因となるケースも少なくありません。そのため、重症化を防ぐための環境づくりがこれまで以上に重要になっています。
2025年より熱中症対策が義務化|改正労働安全衛生規則

2026年6月1日に施行された「労働安全衛生規則」により、職場における熱中症対策の強化が義務付けられました。具体的には「①WBGT値(暑さ指数)の活用、②熱中症予防対策」が規定されています。ここでは、法改正の内容や罰則について分かりやすく解説します。
内容

①WBGT値(暑さ指数)の活用
熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
- ①「熱中症の自覚症状がある作業者」
- ②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること

②熱中症予防対策
熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
- ①作業からの離脱
- ②身体の冷却
- ③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
- ④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
※ WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの
罰則
労働安全衛生法に違反すると、具体的には「6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金」といった罰則が科されます。
建設現場でできる主な熱中症対策
ここでは、建設現場でできる主な熱中症対策について解説します。
WBGT値(暑さ指数)の活用
WBGT(暑さ指数)は、気温だけでなく湿度や輻射熱なども考慮した熱中症リスクの指標です。建設現場ではWBGT値を定期的に測定し、数値に応じて作業内容や休憩時間を調整することが重要です。
とくにWBGT値が高い日は、作業時間の短縮や休憩回数の増加、作業の延期などを検討することで、熱中症の発生リスクを低減できます。
作業環境管理
作業環境管理では、作業員が高温環境に長時間さらされないように現場の環境を整えることが重要です。
具体的には休憩場所には日陰や空調設備を設け、スポットクーラーや大型送風機、ミストファンなどを活用して体を冷やせる環境を確保しましょう。また飲料水や塩分補給用品を常備して水分補給できる体制を整えることも、熱中症予防に効果的です。
作業管理
作業管理では、暑さの厳しい時間帯を避けた工程計画や、こまめな休憩時間の確保が重要です。とくに気温が高くなる午後の時間帯は連続作業を避け、作業時間と休憩時間のバランスを見直す必要があります。
また作業強度に応じて作業員を交代させたり、単独作業を避けて互いの体調を確認しながら作業を進めたりすることも、熱中症の重症化防止につながります。
健康管理
熱中症は体調不良や睡眠不足、持病などが影響して発症することも少なくありません。そのため作業開始前には体調確認を実施し、発熱や倦怠感がある作業員には無理な作業をさせないことが重要です。
またのどの渇きを感じる前から水分と塩分を補給するよう呼びかけるほか、高齢者や新規入場者など熱中症リスクの高い作業員には、より丁寧な健康管理をすることが求められます。
労働衛生教育
熱中症を防ぐためには、作業員一人ひとりが正しい知識を身につけることも重要です。熱中症の初期症状や予防方法、水分・塩分補給の重要性、異常を感じた際の報告手順などを事前に伝えておく必要があります。
また朝礼やKY活動などで当日のWBGT値や注意事項を共有し、現場全体で熱中症予防への意識を高めることも大切です。
救急処置
熱中症が疑われる場合は、迅速な初期対応が重症化を防ぐ鍵となります。まずは作業を中止し、風通しの良い涼しい場所へ移動させたうえで、衣服を緩めて首や脇の下、足の付け根などを冷却します。
意識がはっきりしていれば水分・塩分を補給し、意識障害や自力で水分補給ができない場合はためらわず救急隊を要請し、速やかに医療機関へ搬送することが重要です。
「休憩所の整備」が熱中症対策のポイント
建設現場では、WBGT値の管理や水分・塩分補給に加えて作業員が体を十分に冷やせる「休憩所の整備」が重要です。とくに近年は猛暑日が増加しており、屋外で長時間作業を続けるだけでは、短時間の日陰での休憩だけでは十分に体温を下げられないケースもあります。
そのためエアコンを備えたユニットハウスやコンテナ型休憩所、スポットクーラーを設置した休憩スペースなどを導入する建設会社が増えています。
建設会社の熱中症対策事例を紹介
ここでは、ハウスメーカーやゼネコンが実施している熱中症対策事例をご紹介します。
積水ハウス|エアコン付き休憩スペース「ひんやりBOX」

積水ハウスでは、2026年より戸建住宅の建築現場向けにエアコン付き休憩スペース「ひんやりBOX」を導入しています。現場近くに設置できるコンパクトな休憩施設で、作業員が短時間でも効率よく体を冷やせる環境を確保できるのが特徴です。
従来は休憩のたびに現場を離れる必要がありましたが、「ひんやりBOX」により移動時間を抑えながら休憩できるようになりました。2025年の実証実験を経て、2026年から本格展開しており、猛暑下での安全性向上と作業効率の両立を目指しています。
大林組|快適休憩所

大林組では、作業員が暑さから体を回復できる空調付きの快適休憩所を導入しています。休憩所にはユニットハウスを活用し、シャワー室、仮眠スペース、女性専用ルームなどを備えることで、快適に休憩できる環境を実現しました。
また冷たい飲料や製氷機なども設置し、水分補給や身体の冷却がしやすい環境づくりを進めています。熱中症対策の義務化を見据え、現場で働く作業員の健康と安全を支える設備として、休憩所の充実を図っています。
三井ホーム|仮設エアコン設置

三井ホームでは建築中の住宅内に仮設エアコンを設置し、作業環境を改善する取り組みを進めています。住宅の上棟後にエアコンを設置することで、屋内作業時の室温上昇を抑え、作業員の身体的負担を軽減できるのが特徴です。
あわせて品質管理や作業効率の向上にもつながることから、夏場の標準的な熱中症対策として導入エリアを拡大しています。休憩所の整備だけでなく、作業空間そのものを快適にする新たな取り組みとして注目されています。
三和建設|かき氷ステーション、しおゼリー

三和建設では、現場に「かき氷ステーション」を設置し、作業員が休憩中に体を冷やせる環境を整えています。さらに冷たいかき氷に加え、塩分補給ができる「しおゼリー」やスポーツドリンクなども用意し、水分・塩分補給を促進しているのが特徴です。
また熱中症への注意喚起や声掛けも実施し、体調の変化を早期に把握できる体制づくりにも取り組んでいます。設備の整備だけでなく、現場全体で熱中症を予防する取り組みとして、安全管理の強化につなげています。
まとめ
熱中症対策の義務化により、建設現場ではWBGT値の活用や作業管理、健康管理に加え、作業員が安全に休憩できる環境の整備がこれまで以上に重要になっています。
近年は、エアコン付き休憩所や仮設空調設備などを導入する建設会社も増えており、熱中症予防と働きやすい現場づくりの両立が進んでいます。自社の現場環境に合わせた対策を進め、安全で快適な作業環境の実現につなげましょう。