国土交通省、省エネ住宅トップランナー制度を2027年4月開始へ、関係政令を閣議決定

国土交通省は令和8年9月11日、改正建築物省エネ法の施行に関わる政令を閣議決定したと発表しました。住宅の省エネ性能をさらに高めるための新しい仕組みが、令和9年4月1日から動き出すことになります。

今回決定されたのは、施行期日を定める政令と、施行にあわせて関連規定を整えるための政令の2本です。住宅を数多く手がける事業者や建築業界にとって、今後の対応が求められる重要な制度改正といえるでしょう。

国が住宅分野の脱炭素化を本格的に後押しする姿勢が、あらためて示された形です。今後の住宅市場の動きを左右する内容として、業界関係者の関心を集めています。

ライフサイクル全体で脱炭素を推進

令和8年7月には、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律が公布されていました。この改正法は、住宅を使っている間の省エネだけでなく、建設から解体までのすべての過程で脱炭素を進めることを目的としています。

これまでの省エネ法は主に建物が完成した後の使用段階に焦点が当てられていましたが、今回の改正では建材の製造や施工、そして解体時の廃棄まで含めた幅広い視点が取り入れられました。

住宅一棟が生み出すエネルギーやCO2の量を、時間軸を通してとらえ直す発想と言えます。閣議決定された政令は、この改正法を実際に動かすための施行期日や細かいルールを定めるものです。

供給量の多い事業者に新たな義務

改正法では、住宅を数多く供給している事業者を対象に、より高い省エネ性能を持つ住宅づくりを促す制度が新たに設けられます。対象となる事業者には、中長期的な計画の提出や、毎年度の取り組み状況の報告が求められるようになります。

これにより、大手の住宅供給事業者が主体的に省エネ性能の向上へ取り組む流れが生まれることが期待されます。また、所管の行政庁が建築物エネルギー消費性能向上計画を認定する際、国土交通大臣の認定を受けたものも対象に加えられ、制度の幅が広がります。

行政庁と大臣の双方が認定に関わることで、認定制度の選択肢が広がる点も注目されます。これらの規定は令和9年4月1日から施行される予定です。

上位住宅トップランナーの指定基準

今回の政令では、供給戸数が多い事業者を「上位住宅トップランナー」として指定するための年間供給戸数の基準が示されました。区分ごとの基準は次のとおりです。

・特別特定一戸建て住宅建築主(建売戸建て住宅):2,000戸
・特別特定共同住宅等建築主(分譲マンション):2,000戸
・特別特定一戸建て住宅建設工事業者(注文戸建て住宅):2,000戸
・特別特定共同住宅等建設工事業者(賃貸アパート):15,000戸

一戸建てや分譲マンションでは2,000戸、賃貸アパートでは15,000戸と、住宅の種類によって基準が異なります。該当する事業者は、より高い水準の省エネ住宅を継続的に供給していく役割を担うことになります。

先導的な省エネ技術も評価対象に

あわせて、先導的な省エネ技術を評価するための大臣認定制度も、同じく令和9年4月1日にスタートします。この制度は、先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度で、住宅の省エネ性能向上を促進するものです。

制度が広がれば、メーカー側にも技術開発の動機が生まれます。住宅を選ぶ消費者にとっても、技術の見極めがしやすくなる利点があります。上位住宅トップランナー制度とあわせて運用されることで、住宅市場全体の省エネ化が加速すると見込まれています。

公布と施行の日程

今回の政令は令和8年9月16日に公布され、施行は令和9年4月1日となる見通しです。今後、具体的な運用方法や認定の手続きについても、順次情報が公開されていくとみられます。

半年ほどの準備期間が設けられていることから、対象となる事業者は早めに社内体制を見直しておくことが望ましいでしょう。関連する説明会や資料の公表にも、今後注目が集まりそうです。

出典情報など

出典:国土交通省,改正建築物省エネ法の施行に伴う関係政令を閣議決定~令和9年4月1日より、上位住宅トップランナー制度・ 先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度が始まります!~,https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001150.html,リリース日:2026-09-11