建築士受験資格が2029年までに改正|在学中でも受験可能に!現行制度との違いを比較

掲載日:
Category: 住宅業界動向

トレンドワード:建築士試験の受験資格改正

建築士の国家試験について、受験資格を見直す改正建築士法が2026年7月24日に成立しました。今回の改正では、一定の要件を満たした学生が在学中でも受験できるようになるほか、実務経験のみで受験する場合の要件も緩和されます。

本記事では、2029年までに段階的に施行される法改正の背景や変更点、現行制度との違い、メリット・注意点について分かりやすく解説します。

2029年までに建築士受験資格が変更に

建築士試験の受験資格は、2029年までに段階的な見直しが進められる予定です。改正の大きなポイントは、一定の要件を満たした学生が「在学中から建築士試験を受験できるようになる」ことです。

これまで必要だった卒業後の受験という流れが変わり、資格取得までの期間短縮が期待されています。

建築士受験資格改正の背景

建築士受験資格の見直しの背景には、建築業界における人材不足や建築士の高齢化があります。近年は受験者数の減少も課題となっており、若い世代が早期に資格取得を目指せる環境づくりが求められてきました。

在学中受験の導入などにより、建築士を目指す学生の負担を軽減し、優秀な人材を継続的に確保することが改正の目的とされています。

一級・二級建築士とは

ここでは、一級・二級建築士の概要について整理しておきます。

設計できる建築物の規模|2022年法改正

出典:建築技術教育普及センター,建築士試験,https://www.jaeic.or.jp/assets/pdf/zaidan/jaeic_pamplet202504r.pdf,参照日2026.8.6

一級建築士と二級建築士の最も大きな違いは、設計・工事監理できる建築物の規模です。一級建築士は高さや面積、用途に制限がなく、戸建住宅から高層ビル、大規模商業施設まで幅広い建築物を扱えます。

一方で二級建築士は戸建住宅や小規模な共同住宅、店舗などを主な業務範囲としており、設計できる建築物には規模や構造などの制限があります。

ただし2022年の建築士法改正により、二級建築士の業務範囲が拡大されました。従来は「高さ13mまたは軒高9m」を超える木造建築物は対象外でしたが、現在は「階数3以下かつ高さ16m以下」の建築物まで設計・工事監理が可能となっています。天井高の高い住宅や木造建築物へのニーズの高まりなどを踏まえ、実態に合わせて制度が見直されました。

試験内容

一級・二級建築士試験はいずれも「学科試験」と「設計製図試験」の二段階で実施されます。学科試験では計画、環境・設備、法規、構造、施工など建築全般の知識が問われ、幅広い学習が必要です。

学科に合格すると、与えられた課題に対して図面を作成する設計製図試験に進みます。知識だけでなく、時間内に図面をまとめる実践力も求められるため、総合的な建築力が試される国家試験といえます。

難易度・合格率

建築士試験は国家資格の中でも難易度が高いことで知られています。とくに一級建築士は学科・製図の両方を突破する必要があり、最終合格率は例年10%前後と低水準です。二級建築士は一級より受験しやすいものの、十分な学習時間と製図対策が欠かせません。

単に暗記するだけでは合格が難しく、法規の理解や図面作成の訓練を継続することが重要です。

【参考】建築技術教育普及センター|試験結果

現行の建築士試験の受験資格

ここでは、2026年時点の建築士試験の受験資格について解説します。

①一級建築士

学歴(卒業学校)

一級建築士試験は、下記の建築に関する一定の学歴または資格を有する人が受験できます。

  • 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校等において指定科目を修めて卒業した者
  • 二級建築士
  • 建築設備士
  • その他国土交通大臣が特に認める者(外国大学を卒業した者等)

ただし建築に関する学歴については、学校の入学年が「平成21年度以降の者」と「平成20年度以前の者」とでは要件が異なります。

  • 入学年が平成21年度以降の者・・・国土交通大臣の指定する建築に関する科目(指定科目)を納めて卒業
  • 入学年が平成20年度以前の者・・・所定の科目を納めて卒業

また外国大学等を「建築に関する学歴」として受験を希望する場合は、建築士法において学歴と認められる学校の卒業者と同等以上であるかどうかの審査(建築士法第14条第三号の審査)の上、国土交通大臣から認定を受ける必要があります。

実務経験

出典:国土交通省,建築士試験パンフ,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001314965.pdf,参照日2026.8.6

2020年の建築士法改正により、一級建築士試験は学歴などの要件を満たせば実務経験がなくても受験できるようになりました。ただし、試験に合格しただけでは一級建築士を名乗ることはできません。

「免許登録」の際に建築設計や工事監理など所定の建築実務経験が必要となり、その内容について審査を受ける必要があります。つまり「受験資格」と「免許登録資格」が分けられた点が、現行制度の大きな特徴です。

②二級建築士

学歴(卒業学校)

二級建築士試験は、下記の建築に関する一定の学歴または資格を有する人が受験できます。

  • 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者
  • その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等)

一級建築士と同様に、建築に関する学歴については、学校の入学年が「平成21年度以降の者」と「平成20年度以前の者」とでは要件が異なります。

  • 入学年が平成21年度以降の者・・・国土交通大臣の指定する建築に関する科目(指定科目)を納めて卒業
  • 入学年が平成20年度以前の者・・・所定の科目を納めて卒業

また外国大学等を「建築に関する学歴」として受験を希望する場合は、建築士法において学歴と認められる学校の卒業者と同等以上であるかどうかの審査(建築士法第14条第三号の審査)の上、都道府県知事から認定を受ける必要があります。

実務経験

出典:国土交通省,建築士試験パンフ,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001314965.pdf,参照日2026.8.6

建築系の指定学科を卒業した人は、卒業時点で二級建築士試験を受験できます。一方で建築に関する学歴がない場合は、7年以上の建築実務経験が受験資格として必要です。

法改正後も、「実務経験のみでニ級建築士を受験する場合」には引き続き受験資格要件として実務経験が必要なため、注意が必要です。

改正後の建築士試験の受験資格

建築士の国家試験の受験資格を見直す改正建築士法が国会に提出され、2026年7月24日の参議院本会議で可決・成立しました。今回の改正では、建築士を目指す学生が早期に資格取得へ挑戦できるよう、一定の要件を満たせば在学中でも受験できる制度へ段階的に移行します。

背景には、建築業界における人材不足や建築士の高齢化、若手人材の確保と育成といった課題があります。

一級建築士

2029年までに予定されている建築士制度の改正では、一級建築士試験の受験資格がさらに緩和される予定です。具体的には国土交通大臣が指定する建築関連科目を履修している学生は、卒業を待たずに在学中から受験できるようになります。

これにより卒業後すぐに資格取得を目指しやすくなり、早期のキャリア形成が期待されています。ただし試験に合格しても直ちに一級建築士を名乗れるわけではなく、免許登録には引き続き所定の実務経験が必要です。

二級建築士

二級建築士試験については、「実務経験のみ」で受験する場合の要件が緩和されます。

これまでは、受験・免許登録ともに7年の実務経験が必要でした。しかし法改正後は、試験の受験は2年の実務経験で可能となり、免許登録に必要な実務経験も4年へと短縮されます。

この改正により、実務経験のみで建築士を目指す人も早い段階で試験に挑戦できるようになり、資格取得までの期間短縮や人材確保の促進につながることが期待されています。

建築士試験改正のメリット

ここでは、建築士試験改正のメリットについて解説します。

在学中に受験できる

今回の法改正の最大のメリットは、一定の要件を満たした学生が在学中から建築士試験を受験できるようになることです。従来は卒業後でなければ受験できないケースが多く、資格取得までに時間を要していました。

しかし今後は学生のうちに試験へ挑戦できるため、知識が新しいうちに受験しやすくなるほか、卒業後のキャリアプランも立てやすくなります。

資格取得までが早くなる

在学中受験の導入や実務経験要件の見直しにより、建築士資格を取得するまでの期間が短縮されます。とくに二級建築士では、実務経験のみで受験する場合の要件が緩和され、これまでより早く試験に挑戦できるようになります。

受験機会が前倒しになることで若手技術者が早期に資格を取得しやすくなり、実務経験を積みながらのキャリアアップが可能です。

就職活動で有利になる

在学中に建築士試験へ挑戦したり、学科試験に合格したりすることで、建築に関する専門知識や資格取得への意欲を企業へアピールしやすくなります。建築業界では有資格者の需要が高く、早い段階から資格取得を目指していることは就職活動でも評価されるポイントの一つです。

卒業後の資格取得までの期間も短くなるため、企業側にとっても即戦力として育成しやすい人材といえます。

建築士試験改正の注意点・デメリット

建築士試験改正にあたっては、いくつかの注意点があります。2029年までに施行が予定されているため、法改正前に確認しておきましょう。

免許登録には実務経験が必要

法改正によって受験資格は緩和されますが、建築士試験に合格しただけで建築士を名乗れるわけではありません。一級・二級建築士ともに、免許登録には所定の実務経験などの要件を満たす必要があります。

そのため在学中に試験へ合格した場合でも、実務経験を積んで登録手続きするまでは建築士として業できないという点には注意しましょう。

すべての学生が対象ではない

在学中受験の対象となるのは、国土交通大臣が指定する建築関連科目を履修している学生です。そのため建築系以外の学部・学科に在籍している学生や、指定科目を満たしていない場合は対象外となる可能性があります。

受験資格を満たしているかどうかは、学校や試験実施機関の案内を事前に確認することが大切です。

施行時期を確認する必要がある

今回の制度改正は一度に適用されるのではなく、2029年まで段階的に施行される予定です。そのため、受験年度や入学年度によって適用される制度が異なる可能性があります。

とくに在学中受験を予定している場合は、新制度の対象となるかどうかを確認し、最新の施行スケジュールや受験資格を国土交通省や試験実施機関の公表情報で確認しておきましょう。

まとめ

建築士試験の受験資格改正により、在学中受験の導入や実務経験要件の緩和が実現し、これまでより早く資格取得を目指せる環境が整います。

一方で「免許登録」には引き続き実務経験が必要であり、すべての学生が対象となるわけではありません。また受験年度や入学年度によって適用される制度が異なるため、最新の施行スケジュールや受験資格を確認し、適した受験計画を立てることが大切です。