「非住宅」に工務店の参入が期待される理由|注意点も解説

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Category: 住宅業界動向

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住宅着工戸数の減少が続く中で、新たな事業領域として「非住宅建築」に注目するハウスメーカーや工務店が増えています。店舗やオフィス、福祉施設などを対象とした非住宅建築は、木造化の推進や法人需要の拡大を背景に、市場の成長が期待される分野です。

しかし、住宅とは異なる法令や性能基準への対応も求められます。そこで本記事では、非住宅の概要や参入が期待される理由、実際の事例、押さえておきたい注意点について解説します。

「非住宅」とは

ここではまず、非住宅の概要や種類について解説します。

概要

非住宅とは、人が居住することを主な目的としない建築物の総称です。住宅や共同住宅以外の建物が該当し、店舗や事務所、工場、倉庫、学校、病院、福祉施設などが含まれます。

近年は住宅着工戸数の減少を背景に、工務店やハウスメーカーが新たな事業分野として非住宅建築へ参入するケースが増えています。

「非住宅用地」との違い

「非住宅」と「非住宅用地」は混同されやすい言葉ですが、それぞれ指す対象が異なります。非住宅は店舗やオフィス、工場、病院など住宅以外の建築物を指すのに対し、非住宅用地はそれらの建築物を建てるための土地を意味します。

また、税制上の扱いも住宅用地とは異なります。住宅用地は、居住用の住宅が建っている土地として固定資産税や都市計画税の軽減措置が適用されます。

一方で非住宅用地は店舗や事務所などの事業用建築物が建つ土地であり、原則として住宅用地のような特例措置の対象にはなりません。そのため同じ条件の土地で比較した場合、非住宅用地の方が税負担が大きくなる傾向があります。

非住宅建築物の種類

非住宅建築物には、さまざまな用途の建物があります。代表的なものとして、店舗やオフィス、工場、倉庫、ホテル、病院、介護施設、保育園・幼稚園、学校などが挙げられます。

また近年は、環境負荷の低減や木の温もりを生かした空間づくりへのニーズが高まっており、店舗や福祉施設、保育施設などを木造で建築する事例も増えています。用途によって適用される法令や必要な設備、性能基準が異なるため、それぞれの建物に応じた設計・施工が求められます。

ハウスメーカー・工務店が非住宅に参入すべき理由

ここでは、ハウスメーカーや工務店が非住宅に参入すべき理由について解説します。住宅以外の分野に進出する企業が増えており、多角的な事業ニーズが高まっています。

住宅着工戸数の減少

近年、日本では少子高齢化や人口減少の影響を受け、新設住宅着工戸数は減少傾向にあります。このような新築住宅市場の縮小に伴い、住宅建築を主力としてきたハウスメーカーや工務店は、新たな収益源の確保が課題となっています。

そこで注目されているのが、店舗やオフィス、福祉施設などを対象とした非住宅建築です。住宅で培った設計・施工技術を活かせることから、多くの企業が事業領域の拡大を進めています。

法人案件の獲得につながる

非住宅建築は、個人ではなく企業や医療法人、社会福祉法人、自治体などが発注者となるケースが多くあります。一度取引が始まると、新築だけでなく増改築や修繕、メンテナンスなど継続的な依頼につながる可能性があるのがメリットです。

また法人との信頼関係を構築できれば、別施設の建築や紹介案件を受注できることもあり、安定した受注基盤の形成が期待できます。

地域密着型工務店の強みを活かせる

店舗や診療所、介護施設などの非住宅建築では、地域事情を踏まえた提案や、設計から施工、アフターフォローまで一貫して対応できることが評価されるケースも少なくありません。その点、地域密着型の工務店は、土地の特性や地域の建築ニーズを把握していることに加えて迅速できめ細かな対応ができる点が強みです。

地域で培った信頼関係を活かし、非住宅分野へ事業を広げることで、新たな顧客層の開拓にもつながるでしょう。

木造非住宅の需要拡大

近年は脱炭素社会の実現に向けた取り組みを背景に、木造建築への関心が高まっています。木材は鉄骨やコンクリートに比べて製造時のCO₂排出量が少なく、炭素を固定する特性もあるため、環境負荷の低減に貢献できる建材です。

そのため、店舗や保育園、福祉施設、オフィスなどでも木造が採用されるケースが増加しています。木造住宅の施工実績が豊富な工務店にとっては、これまで培った技術やノウハウを非住宅分野でも活かせる点が大きな強みです。

ハウスメーカー・工務店が非住宅に進出|事例をチェック

ここでは、ハウスメーカーや工務店が非住宅を手掛けている事例をご紹介します。

大手ハウスメーカーだけでなく地域密着型の工務店でも非住宅建築への取り組みが広がっています。住宅市場の縮小や木造建築への需要拡大を背景に、今後も非住宅分野へ参入する企業は増えていくと考えられます。

旭化成ホームズ

出典:旭化成ホームズ,耐久性・防火性を重視した、「長持ちする事務所」が見事に完成!,https://www.asahikasei-kenzai.com/akk/powerboard/non-residential/,参照日2026.8.13

旭化成ホームズは戸建住宅だけでなく、店舗や医療施設、福祉施設、オフィスなどの非住宅建築にも積極的に取り組んでいるのが特徴です。建物の用途や規模に応じて鉄骨造や木造などを提案し、設計から施工まで一貫して対応できる体制を整えています。

また「ヘーベルパワーボード」や「ユカテック」といった非住宅向けの外壁材や建材の活用にも力を入れており、安全性や耐久性、意匠性を兼ね備えた建築を提供しています。

住友林業

出典:住友林業,中大規模木造建築(MOCCA),https://sfc.jp/mocca/about/,参照日2026.8.13

住友林業は、木造建築の技術を活かし、中大規模木造建築の普及に注力しています。木造化・木質化の事業ブランド「MOCCA」でオフィスや商業施設、教育施設、福祉施設など幅広い用途で木造化を推進し、設計支援や構造提案、施工までをトータルでサポートしています。

近年は脱炭素社会の実現に向けた木造建築への注目が高まっており、住宅メーカーとして培ったノウハウを非住宅分野へ展開することで、新たな市場の開拓を進めています。

藤島建設

出典:藤島建設,非住宅建築,https://fujishima-kensetsu.co.jp/wooden/,参照日2026.8.13

埼玉県の工務店・藤島建設は、住宅だけでなく木造非住宅建築にも取り組んでいます。店舗や事務所、保育施設、福祉施設などの施工実績を持ち、地域のニーズに応じた建物づくりを実施しているのが強みです。

木造住宅で培った設計・施工技術を活かしながら、用途に応じた性能や機能性を備えた非住宅建築を提供しています。大手ハウスメーカーだけでなく、地域工務店でも非住宅分野への進出が進んでいることを示す事例といえるでしょう。

非住宅建築物で押さえたい注意点

ここでは、非住宅建築物で押さえたい注意点について解説します。

2025年以降、小規模非住宅建築物も「省エネ基準」の対象に

出典:国土交通省,全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられます,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001519931.pdf,参照日2026.8.13

2025年4月の建築基準法・建築物省エネ法の改正により、原則としてすべての新築建築物で省エネ基準への適合が義務化されました。これにより、小規模な店舗や事務所などの非住宅建築物も、省エネ性能を満たす設計・施工が求められます。

断熱性能や設備の省エネ性能などを考慮した設計に加え、必要に応じて省エネ計算や適合性の確認も必要です。非住宅分野へ参入する工務店は、最新の法改正や基準を理解し、適切に対応できる体制を整えることが重要です。

耐火・防火性能への対応

非住宅建築物は、不特定多数の人が利用する施設や一定規模以上の建物も多く、住宅以上に耐火・防火性能が求められるケースがあります。建物の用途や規模、立地によっては耐火建築物や準耐火建築物とする必要があり、使用する建材や構造にも基準が設けられています。

近年は木造非住宅が増えていますが、木造であっても耐火・防火性能を確保するための工法や建材が開発されており、法令を満たしながら木造建築を実現することが可能です。

建物用途ごとに求められる基準や法令を確認する

非住宅建築物は、用途によって適用される法令や基準が異なります。例えば病院や福祉施設、保育施設では避難計画やバリアフリーへの配慮が必要となるほか、工場や倉庫では設備や防火区画に関する基準が求められる場合があります。

また建築基準法だけでなく、消防法や各種条例への対応も欠かせません。設計段階で必要な法令を十分に確認し、関係機関と連携しながら計画を進めることが、円滑な施工と安全性の確保につながります。

まとめ

住宅市場の縮小を背景に、多くのハウスメーカーや工務店が「非住宅」に注目しています。木造非住宅の需要拡大や法人案件の獲得など、新たな事業機会が期待できる一方、省エネ基準への適合や耐火・防火性能、用途ごとの法令への対応など、住宅とは異なる知識や技術も必要です。

市場動向や制度を正しく理解し、自社の強みを活かした提案力を高めることが、非住宅分野で競争力を高めるポイントとなるでしょう。