三井ホームと銘建工業、CLT遮音床構造を共同開発 木造4階建ての実現可能性を拡大

三井ホーム株式会社と銘建工業株式会社は、直交集成板(CLT)を活用した遮音床構造を共同で開発し、2026年7月3日付で特許を出願しました。
高い遮音性能と薄型化を両立させた今回の技術により、これまで難しかった最高高さ10m以下の規制エリアでの木造4階建て住宅の実現可能性が広がります。
高さ制限が阻んできた木造中層化
脱炭素社会の実現や国産木材の利用拡大への関心を背景に、木造建築への注目が高まっています。しかし都市計画法による高さ制限や、建築基準法が定める居室の平均天井高の規定などが壁となり、最高高さ10m以下のエリアでは木造3階建てが事実上の限界とされてきました。
上階の床から下階の天井までを含めた遮音床構造の厚みが、通常500mm程度に達してしまうことが大きな要因です。集合住宅では上下階の生活音を遮る性能が欠かせない一方で、その分だけ各階の天井高が圧迫され、階数を増やすほど建物全体の高さが規制値を超えやすくなるという構造的な課題を抱えていました。
厚さ300mm以下への挑戦
この厚みを300mm以下に抑えられれば、木造4階建ての計画に現実味が出てきます。そこで、独自の「MH支持脚」など複数の技術を組み合わせた高遮音床仕様「MOCX MUTE(モクスミュート)」を手がける三井ホームと、国内トップシェアのCLTメーカーである銘建工業がタッグを組み、薄型化と遮音性能の両立に取り組みました。
床の根太部分にCLTを採用することで、強度を保ちながら構造全体を薄くする工夫が施されています。銘建工業が製造するCLTは国産材を使用し、耐震性にも優れた木質建材として知られています。両社の技術を組み合わせ、住まいの快適性と建築計画の自由度を同時に高める狙いです。
試験で確認された遮音性能
開発した構造については、重量衝撃音(ダンピング)試験でLH-60程度の性能を確認しました。さらに軽量衝撃音(タッピング)試験では、目標としていたLL-55よりも良いLL-50という結果が得られ、十分な遮音性能を備えていることが実証されています。
なお数値は小さいほど遮音性能が高いことを示す指標で、子どもの足音のような軽い衝撃音から、人が飛び跳ねるような重い衝撃音まで幅広く抑えられる水準に達したといえます。今回の開発により、薄型化と高い遮音性能を両立できることが確認されました。
日本音響学会で研究成果を発表
今回の試験を担当した株式会社音装エンジニアリングは、2026年9月に金沢工業大学扇が丘キャンパスで開催される日本音響学会第156回(2026年秋季)研究発表会で、薄肉CLT床版の床衝撃音遮断性能改善に関する実験的検討をテーマにポスター発表を行う予定です。
広がる木造建築ブランドの展開
三井ホームは、脱炭素社会に対応したサステナブル木造マンション「MOCXION(モクシオン)」の開発などを通じて培った技術を「MOCX(モクス)」ブランドとして体系化しています。低層賃貸住宅向けの「MOCXSTYLE(モクスタイル)」や、医療施設・非住宅用途に対応する「MOCX Green Buildings」など、事業領域は幅広く展開されており、建築物の木造化を通じた脱炭素社会への貢献を目指しています。
一方の銘建工業は、資源を無駄なく活用し、そこから新たな価値を生み出す姿勢を大切にしながら、森林と街をつなぐ木材活用を進めてきました。今回三井ホームと開発した遮音床技術は木造建築の可能性をさらに押し広げるものであり、木材利用の拡大を通じて森林資源の循環と脱炭素社会の実現に寄与していく考えです。
両社の概要
- 三井ホーム株式会社:東京都江東区新木場1-18-6新木場センタービル9階、設立1974年10月、資本金139億70万円
- 銘建工業株式会社:岡山県真庭市勝山1209、設立1966年7月(1923年創業)、資本金3,780万円
出典情報など
出典:三井ホーム株式会社,最高高さ 10m 以下の規制エリアでも「3階の限界」を超える。三井ホームと銘建工業が共同で木造4階建ての可能性を広げる遮音床構造を開発~遮音・薄型化を両立し、木造中層建築の可能性を拡大。特許出願中。~,https://www.mitsuihome.co.jp/company/news/2026/260717.pdf,リリース日:2026-07-17