相続土地国庫帰属制度とは|2026年以降、評価額引き下げへ

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トレンドワード:相続土地国庫帰属制度
相続によって取得した土地の中には、利用予定がなく管理だけが負担になっているものも少なくありません。こうした課題に対応するため、2023年に「相続土地国庫帰属制度」が開始されました。これにより、一定の条件を満たした土地を国へ引き渡せるようになっています。
そこで本記事では、相続土地国庫帰属制度の概要や申請方法、費用、2026年以降に検討されている制度変更の内容に加え、土地を手放す以外の選択肢についても分かりやすく解説します。
2023年開始「相続土地国庫帰属制度」とは

ここでは、2023年に開始された「相続土地国庫帰属制度」について解説します。
概要
相続土地国庫帰属制度とは、相続や遺贈によって取得した土地について、一定の要件を満たした場合に国へ引き渡すことができる制度です。
所有者不明土地の増加が社会問題となるなか、その解消を目的として2023年4月27日に開始されました。これまで不要な土地を相続した人が手放す方法は限られていましたが、本制度の創設によって新たな選択肢が生まれました。
ただし利用するには法務局への申請と審査が必要であり、どのような土地でも無条件で引き取ってもらえるわけではありません。また、審査手数料や負担金の納付も求められます。
「相続放棄」との違い
相続土地国庫帰属制度と相続放棄は、いずれも不要な土地への対応策として注目されていますが、仕組みは大きく異なっています。
まず「相続放棄」は家庭裁判所での手続きとなり、土地を含むすべての財産や債務の相続権を放棄する制度です。一方で「相続土地国庫帰属制度」は、相続した後に特定の土地のみを国へ引き渡す制度であり、現金や自宅などほかの財産は引き続き保有できます。
そのため「相続財産全体は受け取りたいが、利用予定のない土地だけを手放したい」という場合には、相続土地国庫帰属制度の方が活用しやすくなっています。
背景・目的
相続土地国庫帰属制度が創設された背景には、全国で増加する所有者不明土地の問題があります。相続登記が行われないまま所有者が分からなくなった土地は、公共事業や災害復旧、地域開発の妨げとなるほか、管理不全による周辺環境への悪影響も懸念されます。
とくに人口減少が進む地方では、売却や活用が難しい土地を相続した人が管理負担に悩むケースが増えていました。こうした状況を改善し、土地の適正な管理と有効活用を促進するため、相続人が不要な土地を国へ帰属させる仕組みとして本制度が導入されています。
相続土地国庫帰属制度の申請方法・費用
ここでは、相続土地国庫帰属制度の申請方法や費用について解説します。
申請方法

相続土地国庫帰属制度を利用する場合は、土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局へ申請します。申請できるのは、相続または遺贈によって土地を取得した人で、共有地の場合は共有者全員で申請しなければなりません。
申請時には申請書のほか、土地の位置や状況を確認できる書類などを提出します。その後、法務局による書類審査や現地調査を経て、要件を満たしていると認められた場合に承認されます。
承認後は所定の負担金を納付することで土地が国庫に帰属し、管理責任も国へ移ります。申請から承認までには一定の期間を要するため、余裕を持って準備を進めることが大切です。
費用

相続土地国庫帰属制度の利用には、主に「審査手数料」と「負担金」の2種類の費用が必要です。まず申請時には、土地1筆あたり14,000円の審査手数料を納付します。この手数料は審査結果にかかわらず返還されません。
そして審査を通過して承認された場合は、国による管理費相当額として負担金を納付する必要があります。負担金は原則20万円ですが、市街地の宅地や農地、森林などは土地の種類や面積に応じて算定される仕組みです。
不要な土地を手放せる一方で、一定の費用負担が発生するため、売却や賃貸など他の選択肢とも比較しながら検討することが重要です。
2026年以降相続土地国庫帰属制度の変更点

ここでは、2026年以降に検討されている相続土地国庫帰属制度の変更点について解説します。
相続土地の評価額引き下げ
相続土地国庫帰属制度では、国が引き取った土地を売却して管理コストの回収を図っています。しかし買い手が見つかりにくい土地も多く、制度運営上の課題となっています。
こうした状況を受けて、2026年以降は国が売却する相続土地の評価額を最大9割引き下げる方向で検討が進められています。売却価格を見直すことで民間事業者や近隣住民などの取得を促し、土地の流動化を図ることが目的です。
一般競争入札に加えて「随意契約」が可能に
現在は国庫に帰属した土地を売却する際、一般競争入札が基本となっています。しかし立地条件や利用価値によっては入札参加者が現れず、売却できないケースもあるのが課題です。
そのため2026年以降は一般競争入札に加え、国が買い手と直接契約できる「随意契約」の導入が検討されています。随意契約が実現すれば、隣接地の所有者や土地の利用を希望する事業者との取引が進めやすくなり、売却機会の拡大につながる可能性があります。
「現状有姿売買」が取り入れられる
現状有姿売買とは土地の状態をそのまま引き渡す取引方法であり、売主が整地や境界確定などを実施せずに売却できる仕組みです。2026年以降の見直しでは、国庫帰属した土地の売却方法として導入が検討されています。
これにより国の管理・売却コストを抑えながら、より迅速な土地流通が可能になると期待されています。一方で購入者は、土地の状況を十分に確認した上で取得を判断する必要があり注意が必要です。
相続土地国庫帰属制度が利用できないケースとは
ここでは、相続土地国庫帰属制度が利用できないケースについて整理しておきます。
(1)申請の段階で却下となる土地

下記5項目については、申請の段階で却下となります。
- A.建物がある土地
- B.担保権や使用収益権が設定されている土地
- C.他人の利用が予定されている土地
- D.特定の有害物質によって土壌汚染されている土地
- E.境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
(2)該当すると判断された場合に不承認となる土地

下記に該当すると判断された場合には不承認となるため、注意が必要です。
- A.一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
- B.土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
- C.土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
- D.隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
- E.その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
土地を手放す以外の選択肢

ここでは、相続した土地を手放す以外の選択肢についてご紹介します。相続土地国庫帰属制度が利用できない場合は、検討してみてください。
売却する
相続した土地を利用する予定がない場合は、売却を検討する方法があります。売却できれば固定資産税や草刈りなどの維持管理負担から解放されるほか、現金化によって相続人間で財産を分けやすくなるメリットもあります。
ただし立地条件の良い土地であれば比較的早期に売却できる可能性がありますが、地方や需要の少ないエリアでは買い手探しに時間がかかることもあります。そのため、不動産会社へ査定を依頼し、周辺相場や市場動向を確認したうえで売却戦略を検討することが大切です。
賃貸に出す
土地を売却せずに保有し続ける場合は、賃貸に出して収益化する方法もあります。例えば月極駐車場や資材置場、事業用地などとして貸し出すことで、固定資産税や維持管理費の一部を賃料収入で補える可能性があります。
また将来的に自分や家族が利用する予定がある場合でも、一定期間だけ貸し出すことで土地を有効活用できます。ただし借り手が見つからないこともあるため、事前の市場調査が欠かせません。管理業務や契約対応も発生するため、専門事業者への相談も検討してみましょう。
土地活用を検討する
相続した土地の立地や面積によっては、住宅やアパートの建築などによる土地活用も選択肢となります。とくに住宅需要が見込めるエリアでは、賃貸住宅や戸建て住宅用地として活用することで、土地の価値を高めながら継続的な収益を得られる可能性があります。
また遊休地のまま放置するよりも、地域の住環境向上や資産の有効活用につながる点もメリットです。ただし建築費や維持管理費が必要になるほか、空室リスクなども考慮しなければなりません。
活用方法によって収益性やリスクは異なるため、土地の特性に合わせてハウスメーカーや工務店、不動産会社などへ相談しながら検討することが重要です。
まとめ
相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を国へ引き渡せる制度として注目されています。ただし利用には厳しい要件や費用負担があり、すべての土地が対象となるわけではありません。
また、売却や賃貸、土地活用などの選択肢が有効なケースもあります。そのため相続した土地の立地や将来性を踏まえながらメリット・デメリットを比較し、適した方法を選ぶことが重要です。