2026・2027労働安全衛生法改正|建設業者がやるべき対応を解説

目次
トレンドワード:労働安全衛生法 改正
2025年に労働安全衛生法が改正され、2026年以降段階的に施行されます。今回の改正では、これまで対象外となることも多かった一人親方や個人事業主も安全衛生管理の対象に含まれ、現場全体での安全対策が求められているのが特徴です。
とくに建設業では複数の事業者が関わる現場が多く、元請の管理責任も強化されます。そこで本記事では、改正内容と施行時期、工務店が取るべき対応を分かりやすく解説します。
労働安全衛生法改正とは

2025年に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が成立し、2025年5月14日に公布されました(令和7年法律第33号)。ここでは、労働安全衛生法等の概要や法改正の背景について解説します。
概要
従来までは安全衛生管理の対象が労働者に限られていましたが、本改正により同一現場で働く個人事業主や一人親方にまで範囲が拡大されたのが特徴です。
あわせて、化学物質規制の強化や機械検査制度の見直し、メンタルヘルス対策の拡充など、現場の安全管理がより実効性の高い仕組みに見直されています。建設業を含め、複数事業者が関わる現場に広く影響を与えます。
背景・理由
従来の制度は「雇用関係のある労働者」を前提としており、一人親方や個人事業主が十分に保護されていないという課題がありました。建設現場などでは複数の事業者が混在し、責任の所在が曖昧になるケースも見られます。
こうした状況や労働災害の発生実態、国際基準への対応を踏まえ、現場全体で安全を確保する仕組みに見直されています。
法改正のポイントを整理
今回の改正では、安全衛生管理の対象が大きく広がります。これまで主に労働者が対象でしたが、今後は一人親方や個人事業主も含め、同じ現場で働くすべての人に安全対策が求められます。
また元請や現場管理者には、複数業者が関わる作業の調整や安全管理の責任が強化されます。そのため、現場全体で事故を防ぐ体制づくりが必要です。
厚生労働省「労働安全衛生法」改正内容
ここでは、厚生労働省の資料を基に「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」の内容を解説します。
1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進

従来の安全対策に加え、新たに一人親方や個人事業主も対象に含められています。元請などの注文者には混在作業時の調整や安全管理が求められ、個人事業主側にも安全教育の受講や災害報告の義務が課されます。
2.職場のメンタルヘルス対策の推進

ストレスチェック制度について、これまで努力義務とされていた従業員50人未満の事業場にも実施が義務付けられました。そのため、小規模事業者も対応が必要です。
ただし中小事業者への影響に配慮し「施行期日は公布後3年以内」となっており、施行まで一定の準備期間が設けられています。
3.化学物質による健康障害防止対策等の推進

化学物質の危険性・有害性に関する情報提供が強化され、違反には罰則が設けられました。また、成分名の一部については条件付きで代替表示が認められます。
危険有害な化学物質を取り扱う作業場の作業環境において、「個人ばく露測定」が義務化されたため、より適切なリスク管理が求められるようになりました。
4.機械等による労働災害の防止の促進等

ボイラーやクレーンなどの検査制度を見直し、民間の登録機関が対応できる範囲が広がりました。あわせて、検査機関の不正防止や基準遵守の義務も強化されています。
5.高齢者の労働災害防止の推進

高齢労働者の増加を踏まえ、事業者に対して災害防止対策の実施が努力義務とされます。国は具体的な指針を示して転倒防止や作業負担の軽減などの対策を促しており、現場の実態に応じた安全配慮が求められます。
労働安全衛生法改正を施行日で整理

ここでは、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」を施行年度別に整理しておきます。
2026年施行
【公布日〜】
- 1.①の一部(注文者等が講ずべき措置の一部)
【2026年1月1日】
- 4.② 検査機関・登録機関の規制強化
【2026年4月1日(原則施行日)】
- 4.① 機械等の検査制度見直し(民間機関の活用拡大)
- 5. 高齢者の労働災害防止対策(努力義務)
【2026年10月1日】
- 3.③ 個人ばく露測定の制度化
2027年施行
【2027年1月1日】
- 1.②の一部(個人事業主の措置の一部)
【2027年4月1日】
- 1.① 注文者等が講ずべき措置(本格施行)
- 1.② 個人事業主等が講ずべき措置(本格施行)
2028年・2030年までに施行
【公布後3年以内(〜2028年目安)】
- 2. メンタルヘルス対策(ストレスチェック義務化)
【公布後5年以内(〜2030年目安)】
- 3.① 化学物質の情報通知違反に対する罰則
建設業者・工務店がやるべき対応

ここでは、法改正を受けて建設会社や工務店がやるべき対応について解説します。
該当する一人親方の洗い出し
まず、現場に関わる一人親方や個人事業主を正確に把握する必要があります。請負契約や常駐の有無に関わらず、同一現場で作業する人は安全管理の対象となるため、協力会社を含めてリスト化しておくことが重要です。
誰が対象になるかを明確にすることで、その後の教育や管理対応を漏れなく進められます。
安全管理体制の見直し
元請として、現場全体の安全管理体制を見直す必要があります。複数業者が同時に作業する場合の連絡体制や作業調整ルールを整備し、危険情報を共有できる仕組みを構築しましょう。
あわせて、機械の安全装置や点検ルールの統一、記録の整備など、現場全体で同じ基準で管理することが求められます。
現場教育・講習
個人事業主を含め、危険作業に従事する人には適切な教育や講習が必要になります。特別教育や安全衛生教育の対象を見直し、未受講者がいないか確認します。
また朝礼やKY活動を通じてルールや危険ポイントを共有し、現場全体で安全意識を高めることも重要です。一時的ではなく、継続的な教育体制の整備が求められます。
まとめ
今回の法改正は、安全管理の対象を広げ、現場全体で労働災害を防ぐ仕組みへの見直しといえます。2026年は制度面の変更が中心ですが、2027年には個人事業主を含めた安全管理が本格化します。
そのため建設業や工務店にとっては、対象者の把握や体制整備、教育の見直しが不可欠です。施行時期を踏まえて段階的に準備を進めることで、現場の安全性向上と円滑な対応につなげましょう。