2026ナフサ危機(ナフサショック)とは|建築業への影響を分かりやすく解説

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2026年は中東情勢の緊迫化を背景にナフサ不足や価格上昇への懸念が強まり、「ナフサ危機(ナフサショック)」が注目されています。ナフサは建築資材や住宅設備の原料として幅広く使われており、建築業界への影響も無視できません。
そこで本記事では、ナフサ危機の概要や背景、建築業への影響、今後取りたい対策を分かりやすく解説します。
ナフサ危機(ナフサショック)とは|分かりやすく解説

ここでは、2026年に問題となっているナフサ危機(ナフサショック)について簡単に解説します。
そもそも「ナフサ」とは
ナフサとは原油を精製する過程で得られる石油製品の一種で、「粗製ガソリン」とも呼ばれます。ガソリンの原料になるほか、プラスチック・合成樹脂・接着剤・塗料・洗剤など、幅広い化学製品の原料として使われています。
住宅業界でも、配管材・断熱材・床材・壁材・ユニットバス部材・接着剤など多くの建材に使用されており、供給が滞ると建築資材全体へ影響が広がりやすい素材です。日本はナフサの多くを輸入に頼っているため、海外情勢の変化を受けやすいのが課題です。
2026ナフサ危機の背景・理由
2026年のナフサ危機は、中東情勢の緊迫化、とくにイランを巡る地政学リスクが大きな要因です。イラン周辺で緊張が高まったことで、原油や石油製品の輸送ルートであるホルムズ海峡周辺の通航制限・物流停滞への懸念が強まりました。
日本はナフサ輸入の多くを中東地域に依存しているため、供給不安が一気に拡大しました。実際にメーカー各社では原材料確保が難しくなり、価格上昇や納期遅延への警戒感が高まっています。単なる資源高ではなく、サプライチェーン全体の混乱が問題視されています。
ナフサ危機の影響|TOTO出荷停止も
ナフサ危機の影響は、住宅設備業界にも及んでいます。2026年4月には、TOTOがユニットバス・システムバスの新規受注停止を発表しました。壁や天井に使うフィルム接着剤、浴槽のコーティング剤などに、ナフサ由来の有機溶剤が使われていることが理由です。
LIXILなどの他社も、原材料コスト上昇や供給制限により、価格・納期・数量の調整可能性を公表しています。建築業界では着工遅れ、工期延長、見積もり変動などが起こる恐れがあり、住宅会社・工務店・施主のすべてに影響する問題となっています。
ナフサ由来の建築関連製品

ここでは、ナフサ由来の主な建築関連製品について整理しておきます。
塗料・シンナー
建築現場で使われる塗料やシンナーの多くは、ナフサを原料とする石油化学製品から作られています。外壁塗装用塗料、鉄部用防錆塗料、木部保護塗料、内装仕上げ材など用途は幅広く、住宅・非住宅を問わず欠かせない資材です。
断熱材
住宅で使われる断熱材のうち、発泡スチロール系断熱材や押出法ポリスチレンフォーム、ウレタンフォームなどは、ナフサ由来の樹脂原料を使用しています。高断熱住宅や省エネ基準対応住宅では使用量も多く、供給が不安定になると新築住宅やリフォーム工事へ影響しやすい分野です。
配管材
住宅設備や給排水工事で使われる塩ビ管(PVC管)、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管などの配管材も、ナフサ由来の石油化学原料から製造されています。水回り設備、床暖房、ガス配管、屋外排水など用途は多岐にわたり、建物に欠かせない資材です。
内装材(ビニールクロス・床材)
壁紙として広く使われるビニールクロスや、クッションフロア、フロアタイルなどの床材にも塩化ビニル樹脂などが使われています。施工しやすく価格も比較的抑えやすいため普及していますが、原料高騰時は新築住宅や原状回復工事のコスト増加につながりやすい分野です。
防水材・シーリング材
ベランダ、屋上、外壁目地、サッシまわりなどに使う防水材やシーリング材にも、合成樹脂や石油化学製品が多く使われています。雨漏り防止や建物寿命の維持に欠かせず、新築だけでなく改修工事でも需要が高いことから、供給停滞時の影響が出やすい資材です。
樹脂部材(雨どい・サッシ・副資材)
雨どい、樹脂サッシ、養生材、パッキン、接着剤、各種カバー材など、建築現場では細かな樹脂部材も多数使われています。1点ごとの金額は小さくても数量が多く、どれか一つ欠けても工事が進まないケースがあります。現場への影響が広がりやすい分野といえます。
ナフサ危機(ナフサショック)への対策

ここでは、ナフサ危機(ナフサショック)への対策をご紹介します。早めの対策で、将来のトラブルにも備えられる可能性が高まります。
製品の事前確保
ナフサ由来製品は、供給不安が広がると短期間で品薄や値上がりが起こる場合があります。着工予定の案件や継続的に使う資材については必要数量を早めに確認し、余裕を持って発注しておくことが重要です。
とくに住宅設備や内装材など納期が長くなりやすい製品は、工程全体を見据えた事前確保が有効です。
複数の仕入ルートの確保
特定のメーカーや商社だけに依存していると、出荷停止や納期遅延が起きた際に代替手段が限られます。日頃から複数の問屋、販売店、メーカーとの取引関係を築き、同等品を調達できる体制を整えておくことが大切です。
仕入先を分散しておけば、供給トラブル時のリスク軽減につながります。
代替製品への切り替え
ナフサ由来資材の供給不足や価格高騰が続く場合は、別素材や同等性能を持つ代替製品への切り替えが現実的な対策になります。
例えばビニールクロスを紙クロスや塗り壁材へ変更する、塩ビ床材を木質フローリングやタイル材へ見直す、樹脂サッシをアルミ樹脂複合サッシへ変更するといった方法があります。断熱材も、発泡プラスチック系だけでなくグラスウールやロックウールなど別系統の製品が代替案となります。
ただし価格だけで判断すると施工性や耐久性、メンテナンス性、断熱性能、防火性能などに差が出る場合があります。設計者・施工会社・施主で事前に比較し、建物用途や予算に合った代替案を選ぶことが重要です。
まとめ
ナフサ危機は、原材料価格の上昇だけでなく、建材不足や納期遅延、工事費増加など建築業界全体へ波及する可能性があります。とくに住宅会社や工務店、リフォーム会社にとっては早めの備えが重要です。
資材の事前確保や仕入先の分散、代替製品の検討を進め、外部環境の変化に対応できる体制づくりを進めていきましょう。