給湯省エネ2025|補助金額や事業者登録の方法まとめ

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「給湯省エネ2025」についてピックアップします。高機能給湯器を導入する場合には、補助金の活用で費用負担を軽減できます。本記事では事業者が行う申請手続きの流れや注意点について、分かりやすくご紹介しているためぜひチェックしてみてください。

給湯省エネ2025とは|予算580億円で省エネを推進!

出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

「給湯省エネ2025事業」は、家庭における高効率給湯器の導入を促進することで省エネルギー化を推進するための補助金制度です。

この補助金制度は、国土交通省・経済産業省・環境省が協働で行っている「住宅省エネ2025キャンペーン」の一つに位置付けられています。具体的には新築・リフォームで高効率給湯器を設置する際に、補助金が交付されます。

令和6年度補正予算「580億円」が割り振られており、カーボンニュートラルの実現に当たって、住宅の断熱や省エネで温室効果ガスを削減することが重要です。

【公式サイト】給湯省エネ2025事業

補助金金額

設置する給湯器の種類によって、補助金額が異なります。「基本額」に加えて、要件を満たす場合には「加算額」が補助される仕組みです。補助金の交付が受けられる台数は、下記の通りです。

  • 戸建住宅:いずれか2台まで
  • 共同住宅等:いずれか1台まで

エコキュート

出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

エコキュートは、ヒートポンプの原理を⽤いた給湯システムです。具体的には夜間電力や太陽光で発電した電力を有効に利用してお湯を作り、貯湯タンクに蓄えることで必要なときにお湯が使えるようになっています。

基本額6万円/台
加算額A:10万円/台、B:12万円/台、AB両方:13万円/台
  • A要件:インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するものであること。
  • B要件:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、aまたはbに該当するものであること。(a.2025年度の目標基準値(JIS C 9220 年間給湯保温効率または年間給湯効率(寒冷地含む))+ 0.2以上の性能値を有するもの、または、b.おひさまエコキュート)

ハイブリッド給湯機

出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

ハイブリッド給湯機とは、ヒートポンプ給湯機とガス温水機器を組み合わせたものです。ふたつの熱源を効率的に用ことで、高効率な給湯が可能となります。

基本額8万円/台
加算額A:13万円/台、B:13万円/台、AB両方:15万円/台
  • A要件:インターネットに接続可能な機種で、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能を有するものであること。
  • B要件:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、以下の要件に該当するものであること。(一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格(JGKAS A705)に基づく年間給湯効率が116.2%以上のものであること。)

エネファーム

出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

エネファームとは、都市ガスやLPガス等から水素を作り、その水素と空気中の酸素の化学反応により発電するタイプです。エネルギーを燃やさずに直接利⽤することで、⾼い発電効率が得られます。また発電の際に発生する排熱を回収し、給湯器としての役割も果たします。

基本額16万円/台
加算額C:20万円
  • C要件:ネットワークに接続可能な機種で、気象情報と連動することで、停電が予想される場合に、稼働を停止しない機能を有するものであること。

撤去額

給湯器の設置に合わせて、以下のいずれかの撤去工事をする場合には補助金が交付されます。

工事の内容補助額(加算額)補助上限
電気蓄熱暖房機の撤去8万円/台2台まで
電気温水器の撤去4万円/台戸建住宅:いずれか2台まで共同住宅等:いずれか1台まで

期間・スケジュール

  • 事業者登録の開始:2025年3月10日~(予定)
  • 交付申請(予約含む)の開始:2025年3月下旬~順次(予定)
  • 契約期間:着工日以前
  • 着工期間:2024年11月22日以降(※着工時期に疑義がある場合、追加調査等の対象になることがあります。)
  • 交付申請期間:申請受付開始~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)(予定)

給湯省エネ2025は、予算が上限に達し次第終了となります。申請状況等は公式サイトで随時公表されるため、利用される場合には確認しておきましょう。

【公式サイト】給湯省エネ2025事業

誰が交付申請等の手続きをする?

給湯省エネ2025では、あらかじめ「給湯省エネ事業者」として登録を受けた登録事業者が申請手続きをします。実際に使用される一般のお施主様等が手続きするわけではないため、注意しましょう。

また高効率給湯器を「購入・工事」と「リース」の両方が補助金対象となっています。具体的な申請者は、下記の通りです。

購入・工事タイプ

設置する住宅契約登録事業者
新築注文住宅工事請負契約建築事業者(工事請負業者)
新築分譲住宅不動産売買契約販売事業者(販売代理を含む)
既存住宅(リフォーム)工事請負契約施工業者(工事請負業者)
既存住宅(購入)不動産売買契約販売事業者(販売代理を含む)

リースタイプ

設置する住宅契約登録事業者
新築注文住宅・新築分譲住宅・既存住宅(リフォーム)リース契約(賃貸借契約)消費者とリース契約を締結するリース事業者

給湯省エネ2025の交付申請手順|建築事業者・施工業者必見!

ここでは、実際の補助金申請手続きの手順を詳しくご紹介します。建築事業者・施工業者の方は、手続きの際にぜひお役立てください。

※購入・工事タイプの「工事請負契約」についてまとめています。不動産売買契約リース利用タイプの場合には、公式サイトをご確認ください。

出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

給湯省エネ事業者に登録申請(本社担当者)

出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

まずは本社担当者が「給湯省エネ事業者」に登録を行います。これにより統括アカウントが発行され、補助金の利用が可能になります。手続きに必要な書類は、下記の通りです。

  • 住宅省エネ支援事業者登録申請書
  • 印鑑証明書
  • 法人の登記事項証明書(法人の場合のみ)

なお手続きはポータルサイト上で行うため、データをスキャンしてオンラインで提出します。

工事請負契約・共同事業実施規約の締結(営業担当者)

そして営業担当者が、新築注文住宅またはリフォームに係る工事請負契約(原契約)の締結を行います。

工事金額の多寡によらず工事請負契約の締結は、事業者の義務です(建設業法 第19条1項)。工事前後のトラブルを避けるためにも、必ず契約を締結しましょう。

さらに事務局の指定様式「共同事業実施規約」により、以下の項目についてあらかじめ取り決めを行います。

  • 必要な証明書類の提出等、協力して補助事業を実施すること
  • 補助金の受取方法(①補助事業に係る契約代金に充当、または、②給湯省エネ事業者から住宅の建築主または工事発注者に現金で支払う)
  • 補助金の申請ができなかった、または交付を受けられないこととなった場合の負担の範囲とその方法
  • 補助事業実施上の遵守事項を遵守すること
  • 給湯省エネ事業者は住宅の建築主または工事発注者へ、以下の情報提供や説明を行うこと(対象機器の導入による住宅の省エネ効果について、省エネ性能表示制度に基づく省エネ部位ラベルの表示・配布について)
  • 申請手続きに係る事務手数料の有無
  • ≪対象機器を導入する共同事業者が個人である場合≫対象機器の導入による温室効果ガス排出削減効果について、Jークレジット制度の参加表明

工事の着手・完了・引渡

新築注文住宅は、2024年11月22日以降に着工した建築工事が補助の対象になります。リフォーム工事は、2024年11月22日以降に対象機器設置工事(1台目)に着手したものが対象です。

ただし必ず「工事前の写真を撮影する」必要があるため、注意しましょう。忘れた場合、原則、補助対象になりません。

補助金の交付申請

工事完了後に、補助金の交付申請をします。主な提出書類は、下記の通りです。書類は、スキャンデータをポータル上にアップロードすることで提出します(交付申請の予約時にすでに提出している書類の再提出は不要)。

  • 給湯省エネ2025共同事業実施規約
  • 工事請負契約書(原契約)
  • 設置した給湯器の製品型番が確認できる書類(設置台数分)
  • 性能加算の適合が確認できる書類
  • 撤去加算の適合が確認できる書類
  • 工事【前】写真
  • 工事【後】写真
出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

また工事中の段階で、事前に「交付申請の予約」をしておくことも可能です。予算が上限に達し次第終了となってしまうので、執行状況を踏まえて申請枠を確保しておくと安心です。

交付決定・実績報告書(兼、請求書)補助金交付額確定通知

提出された交付申請に不備等がない場合、補助事業者である給湯省エネ事業者にポータル上で交付決定が通知されます。そして交付決定通知に記載の「取下期日」までに取り下げ等が行われない場合、補助事業の実績報告(兼、補助金の請求)がなされたものとして取り扱われます。

補助金の還元

補助金の振込時期は、「交付決定から1~2ヶ月」となる予定です。「共同事業実施規約の締結」で決定済みの、下記いずれかの方法で還元されます。

  • ①補助事業に係る契約代金に充当する方法
  • ②現金で支払う方法

給湯省エネ2025の対象機器|主要メーカー事例

ここでは、給湯省エネ2025の対象機器の事例をご紹介します。補助金の条件に該当する機種のリストを公表している主要メーカーも多いため、ぜひ参考にしてみましょう。

パナソニック

出典:パナソニック,高効率給湯器の補助金制度のご紹介,https://sumai.panasonic.jp/hp/lp-hojokin/,参照日2025.3.13

パナソニックは、幅広い種類のエコキュートを展開しています。給湯器のスペックに応じて6~13万円の基本額に対応でき、予算に応じて選べるのがメリットです。

具体的には「ミドルクラス Bシリーズ」等は6万円/台、「プレミアムクラス JP・FPシリーズ」や「おひさまエコキュート」であれば13万円/台の補助金が受け取れます。パナソニックは住宅関連の総合設備を手掛けているのが強みで、他箇所のリフォームも合わせて実施したい場合には特におすすめです。

【参考】パナソニック|高効率給湯器の補助金制度のご紹介

日立

出典:日立,給湯省エネ2025事業のお知らせ,https://kadenfan.hitachi.co.jp/kyutou/hojokin/,参照日2025.3.13

日立エコキュートの給湯省エネ2025事業対象製品は、発売年度・シリーズ別の表で確認できます。上図は2024年度発売・Xシリーズの一例で、10~13万円/台の補助金となります。他シリーズについては、公式サイトをご確認ください。

【参考】日立|日立エコキュートの対象機種導入で給湯省エネ2025事業の補助金を受けられます!

三菱

出典:三菱,給湯省エネ2025事業をご存知ですか?,https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/ecocute/special/shouene_jigyo/index.html,参照日2025.3.13

三菱は、Pシリーズ~Aシリーズといった多様なバリエーションの給湯器を展開しています。本体のサイズや搭載機能によって補助金額が異なるので、予算等に応じて選びましょう。

【参考】三菱|給湯省エネ2025事業をご存知ですか?

ダイキン

出典:ダイキン,住宅省エネ2025キャンペーン 子育てグリーン住宅支援事業・給湯省エネ2025事業,https://www.ac.daikin.co.jp/jutakushoene/2025,参照日2025.3.13

ダイキンのエコキュートは、全機種補助額10万円以上となります。タッチで給湯する機能など、アプリで進化しているのが特徴です。無線LAN環境とタブレット端末があれば、給湯ライフがさらに簡単・便利になります。

【参考】ダイキン|住宅省エネ2025キャンペーン 子育てグリーン住宅支援事業・給湯省エネ2025事業

給湯省エネ2025の注意点

ここでは、給湯省エネ2025の主な注意点についてご紹介します。

「給湯省エネ2024」より補助額(基本額)が少ない

出典:経済産業省,住宅省エネ2024,https://kyutou-shoene2024.meti.go.jp/overview/,参照日2025.3.13

給湯省エネ2025では、2024に比べて「基本額」が2万円少なくなっています。そのため条件によっては補助金額が少なくなってしまうのがデメリットです。

ただし「加算額」は「エコキュートAB両方:5万円→7万円」など、増額されています。つまり高機能な給湯器を選ぶ方が、補助金額が多くなる仕組みです。予算や希望スペックに応じて、適したタイプを選びましょう。

他の補助金制度との併用はできない

給湯省エネ2025は、国の他の補助制度との併用はできません。具体的にはすでに給湯器も含めた補助内容となっている制度の場合、重複を防ぐために併用できないことになっています。

ただしワンストップ対応となる「子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省、環境省)、断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(環境省)、既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業(経済産業省)」については、補助対象となる給湯器が重複しなければ併用が可能です。

【参考】経済産業省|給湯省エネ2025事業(令和6年度補正予算「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」)について

給湯省エネ事業者に登録する必要がある

出典:経済産業省,給湯省エネ2025事業,https://kyutou-shoene2025.meti.go.jp/,参照日2025.3.13

給湯省エネ2025の交付申請(予約を含む)には、事前に統括アカウントの取得および住宅省エネ支援事業者への登録が必要です。また事業者登録後には、担当者アカウントの取得および統括アカウントとの連携が求められるため注意しましょう。

まとめ

給湯省エネ2025は、高効率給湯器の導入支援によってエネルギー問題の解決を図る目的があります。一般のお施主様ではなく事業者が申請手続きをする必要があるため、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。