マンション「外部管理者方式」とは|2026国交省ガイドライン法改正を解説

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Category: 住宅業界動向

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マンション管理組合の役員不足や居住者の高齢化を背景に、「外部管理者方式(第三者管理方式)」への注目が高まっています。2026年の国土交通省ガイドライン改正も踏まえ、今後は導入を検討する管理組合・事業者が増えると見込まれます。

そこで本記事では、外部管理者方式の概要や種類、メリット・デメリット、導入時の注意点を分かりやすく解説します。

マンションの「外部管理者方式」とは

出典:国土交通省,マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの概要,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html,参照日2026.4.16

マンションの外部管理者方式とは、管理組合の運営主体である「管理者」に、区分所有者ではなく第三者(主に管理会社や専門家)を選任する仕組みです。区分所有法に基づく制度で、理事会に代わり外部管理者が意思決定や業務執行を担います。

役員のなり手不足や高齢化、賃貸化の進行を背景に導入が進んでおり、専門性の高い運営が可能になる一方、利益相反やガバナンス確保が重要な論点となっています。

マンションの管理方式の種類

ここでは、マンションの管理方式の種類について解説します。

①理事会方式

理事会方式とは一般的な管理形態で、区分所有者の中から選任された理事によって理事会を構成し、理事長が管理組合の運営を担います。区分所有法に基づき、現在多くの分譲マンションで採用されています。

総会での意思決定を前提に、日常的な管理や修繕計画の検討などは理事会が中心となって進めるのが特徴です。ただし居住者の意向を反映しやすい一方で、役員のなり手不足や負担の偏りが課題とされます。

②外部管理者方式(第三者管理方式)

外部管理者方式(第三者管理方式)とは、管理組合の「管理者」に区分所有者以外の第三者(管理会社や専門家など)を選任し、運営を担わせる管理形態です。こちらも区分所有法に基づく制度で、理事会を設置せず、外部管理者が意思決定や業務執行を担います。

役員不足や高齢化が進むマンションで導入が進んでおり、専門性の高い運営が可能になる一方、利益相反の防止や監督体制の整備が重要です。

外部管理者方式は、主に下記3種類に分類されています。

●理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型

理事・監事外部専門家型(または理事長外部専門家型)は、従来通り理事会を設置した上で、マンション管理士や管理会社などの外部専門家が理事・監事、または理事長として参画する方式です。

外部専門家は区分所有者とともに役員として意思決定に関与し、専門性を補完します。管理の主体はあくまで理事会にあり、総会が最終意思決定機関となる点は従来と同様です。役員負担の軽減と専門性向上のバランスを取りやすい方式といえます。

●外部管理者理事会監督型

外部管理者理事会監督型は、外部専門家を区分所有法上の「管理者」として選任し、実務執行を担わせる一方で、理事会を残して監督機能を持たせる方式です。理事会は従来の意思決定主体から、外部管理者をチェックする立場へと役割が変化します。

外部専門家は理事ではなく独立した管理者として位置づけられるため、専門性とガバナンスの両立を図りやすい点が特徴です。大規模マンションなどでの採用が想定されています。

●外部管理者総会監督型

外部管理者総会監督型は、理事会を設置せず、外部専門家が管理者として管理組合の運営を担う方式です。意思決定と執行を外部管理者に集約し、区分所有者は総会を通じて監督する形となります。必要に応じて監事の設置や外部監査を組み合わせることで、ガバナンスを確保します。

役員のなり手不足が深刻な小規模マンションなどで有効とされる一方、区分所有者の関与低下や監督体制の設計が重要なポイントとなります。 

外部管理者方式のメリット

ここでは、外部管理者方式のメリットについて解説します。

管理運営の安定化

外部管理者方式では、専門知識を持つ第三者が継続的に管理組合運営を担うため、役員の経験や個人差に左右されにくく、安定した管理体制を構築しやすくなります。

理事のなり手不足や役員交代による運営の停滞を防ぎやすく、意思決定や実務執行の属人化を抑えられる点もメリットです。管理品質を一定水準に保ちやすいため、管理不全の予防にもつながります。

長期修繕計画の推進

理事会方式では役員任期が短く、修繕計画の継続性が課題となることがあります。しかし外部管理者方式では担当者が継続的に関与するため、長期修繕計画の見直しや積立金改定、大規模修繕の準備を計画的に進めやすくなります。

このように専門家が管理運営に関与することで、建物診断や修繕計画の妥当性を踏まえた中長期的な判断がしやすくなります。

居住者の高齢化に対応できる

区分所有者の高齢化が進むマンションでは、理事就任の負担や運営業務への対応が難しくなるケースが増えています。しかし外部管理者方式を採用すれば、区分所有者自身が実務を担う必要が減るため、高齢化による役員不足や運営停滞への対応策となります。

身体的・時間的負担を軽減しつつ、必要な管理水準を維持できる点が大きなメリットです。

投資用マンション向き

投資用マンションでは、区分所有者が居住していないことから管理組合運営への参加意識が低くなりやすい傾向があります。外部管理者方式であれば、所有者の居住有無に関わらず安定的な運営が可能となり、理事の選任や総会運営の負担を軽減できます。

とくにワンルーム投資マンションや賃貸化率の高い物件では、管理実務を外部化しやすい管理方式として相性が良いのが特徴です。

2026年4月法改正|国土交通省「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を解説

2026年4月に、マンション管理適正化法が施行されました。これを受けて、国土交通省は「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を改訂しています。

ここでは、ガイドラインの内容について分かりやすく解説します。

①既存マンションにおいて管理業者管理者方式を導入する場合のプロセス

管理業者管理者方式を導入する場合、管理組合の運営に大きな影響を与え得るため、管理業者は、説明会などの場において、少なくとも③~⑧に関する事項について区分所有者に対

し説明することが望ましい。

②新築マンションにおいて管理業者管理者方式が導入される場合の説明のあり方

  • 管理業者管理者方式を採用する場合、購入予定者が購入時点までに検討を行うことが必要となるため、分譲業者は、購入予定者に対し、管理業者管理者方式を導入しているかどうかについての重要事項説明を行い、少なくとも③~⑧に関する事項についても情報提供することが望ましい。
  • 必要に応じて(購入予定者から質問を受け、分譲業者では必要十分な情報提供が困難な場合など)、管理業者から購入予定者に対して直接説明を行うことが望ましい。

③管理組合運営のあり方(管理者権限の範囲等)

  • 管理者事務と管理事務の委託契約書は別々に分けるべき。
  • 管理者事務と管理事務の部門及び担当者を分けるべき。
  • 管理者の任期は原則1年とすることが望ましい。
  • 区分所有者の意思反映のための環境整備(例として、管理評議会といった区分所有者から構成される組織の設置、管理者がアンケートにより区分所有者の意見を集約する環境の整備等)が必要。
  • 議決権行使は、管理者や外部専門家である監事への議決権付与(委任状交付)ではなく、出席又は議決権行使書(各議案の賛否を記載した書面)によることが望ましい。

※その他、欠格条項、総会決議事項、管理者の権限等規定。

④管理業者管理者方式における通帳・印鑑の望ましい保管のあり方

  • 管理組合財産を管理する預金口座は、管理組合に帰属する財産であることが一見して明らかな者を名義人とするべき。
  • 通帳と印鑑等の同一主体による保管を避けるため、管理業者管理者方式の場合、原則、管理組合財産の預金口座の印鑑等の管理業者による保管は禁止。

⑤管理業者が管理者の地位を離れる場合のプロセス

  • 規約には、管理者の固有名詞を記載しないことが望ましい。
  • 管理者の退任が決まった後の新管理体制への移行手続は、監事が担うことが望ましい。
  • 具体的には新管理規約の調整、新管理者の選任を議案とする臨時総会の招集通知を、旧管理者の退任決定日から1か月(より長くすることも考えられる)以内を目途に発出し、新管理体制を整備することが望ましい。

⑥日常の管理での利益相反取引等におけるプロセスや区分所有者に対する情報開示のあり方

  • 自己取引及びグループ会社との取引等については、あらかじめ、説明会を開催し、区分所有者等に対し、当該取引に係る重要な事実を説明しなければならない。
  • グループ会社の定義について、管理業者の親会社、子会社、関連会社、管理業者を関連会社とする会社を総称したものとして整理。

⑦大規模修繕工事におけるプロセスや区分所有者に対する情報開示のあり方

  • 大規模修繕工事は、修繕委員会(区分所有者及び監事から構成)を設置し、これを主体として検討することが望ましい。

※例外的に、小規模マンションであり、かつ修繕委員会の設置に向け適切な募集期間を確保し、公平な立候補機会を確保したものの、候補者を確保できなかったときは、

➀設計コンサルタントやマンション管理士等の利用について検討したうえ、

②大規模修繕工事の過程について、区分所有者に対する透明性を確保するための措置を講じると共に、監事に対する定期報告を充実させる場合に、修繕委員会を設置しないことも考えられる。

⑧監事の設置と監査のあり方

  • 監事のうち少なくとも1名は外部専門家から選任し、加えて、区分所有者からも監事を選任することが望ましい。

※例外的に、小規模マンションであり、かつ経済的な理由等により外部専門家を選任しないこともやむを得ないと考えられるときは、

➀区分所有者に対する定期的な報告(月1回程度)が実施され、

②区分所有者の意思を反映する仕組みが整備されている場合に、区分所有者からのみ監事を選任することも考えられる。

外部管理者方式のデメリット・注意点

マンションの外部管理者方式には、いくつかのデメリットや注意点もあります。導入前には、確認しておきましょう。

管理費が高くなりやすい

外部管理者方式では、管理会社や専門家に対して管理者報酬が発生するため、従来の理事会方式と比べて管理コストが増加しやすくなります。とくに、監査体制や補助的な専門家を配置する場合は追加費用が発生することもあります。

そのため導入時には、単純な費用比較だけでなく業務範囲や提供価値とのバランスを踏まえて検討することが重要です。

自治意識の低下

管理運営を外部に委ねることで、区分所有者がマンション管理への関心を持ちにくくなり、「任せきり」の状態になるおそれがあります。結果として自治意識の低下が進むと、総会出席率の低下や合意形成の停滞につながり、管理組合の機能が弱まるリスクがあります。

外部管理者方式を導入する場合でも、区分所有者が管理状況を把握し、適切に監督する仕組みづくりが欠かせません。

まとめ

外部管理者方式は、役員不足や高齢化、賃貸化の進行といったマンション管理の課題に対応できる有効な手法です。一方で費用増加や自治意識の低下といった課題もあるため、導入には適切な制度設計と監督体制の整備が欠かせません。

そのためマンションの実情に応じて、最適な管理方式を選択することが重要です。