2027育成就労法|施行はいつから?メリット・デメリットを解説

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Category: 住宅業界動向

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外国人材の受け入れ制度を大きく見直す「育成就労法」が成立し、2027年から新たな制度として施行される予定です。これまでの技能実習制度に代わる仕組みとして、人材育成と人手不足の解消を目的に導入されます。

一方で、制度の変更によって企業や外国人労働者への影響も少なくありません。そこで本記事では、育成就労法の概要や施行時期、技能実習制度・特定技能制度との違い、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。

育成就労法とは

育成就労法(正式名称:外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律)は、これまでの「技能実習制度」に代わり、外国人が就労を通じて技能を修得することを目的とした新たな制度を定める法律です。

人材育成と同時に人材確保を目的とし、在留資格として新たに「育成就労」が創設されます。原則3年間の就労を通じ、将来的に特定技能などの資格への移行も可能となる仕組みです。旧来の制度で課題となっていた権利保護や、運用上の実態との乖離の解消も図られています。

育成就労法の施行日はいつから?

出典:厚生労働省,育成就労制度の概要,https://www.moj.go.jp/isa/content/001452485.pdf,参照日2026.3.2

育成就労法は2024年(令和6年)6月に成立し公布され、法律中の施行期日は「公布後3年以内」とされています。これを受けて政令等で日程が定められ、2027年(令和9年)4月1日からの施行が決定されています。

育成就労法成立の背景

育成就労法が成立した背景には、日本社会の深刻な人手不足と、旧来の「技能実習制度」の実態と制度目的との乖離があります。技能実習制度は“海外への技術移転”が目的でしたが、国内では人手確保の手段として機能し、低賃金・長時間労働・失踪問題など多くの課題が指摘されていました。

こうした問題を受けて、外国人がより適正かつ保護された形で技能を修得・就労できる制度へ再設計する必要が生じたため、新法が制定されました。

建設業との関わり

出典:厚生労働省,育成就労制度の概要,https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf,参照日2026.3.2

育成就労制度の対象には、建設業を含む複数の分野が設定されています。建設業では土木建築・設備などの職種で技能習得が見込まれ、従来の技能実習でも多くの外国人材が従事していた分野です。

新制度では、就労を通じて技能を正当に評価・育成することで、特定技能などへのステップアップにつなげ、人材確保の強化が期待されています。また外国人労働者の保護や適正な労働環境整備も、制度の重要な観点として盛り込まれています。

育成就労法との違い

出典:厚生労働省,育成就労制度の概要,https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf,参照日2026.3.2

ここでは、育成就労法と似ている別の制度との違いについて解説します。

技能実習制度との違い

出典:厚生労働省,育成就労制度の概要,https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001301676.pdf,参照日2026.3.2

育成就労法は、従来の技能実習制度を発展的に見直して人材育成と人材確保を両立させることを目的とする新たな制度です。

技能実習は「国際貢献」=日本の技術を母国へ移転することが建前でしたが、育成就労では日本の人手不足に対応する目的が明確で、在留資格も「育成就労」となり、転籍が一定条件で可能になるなど就労者の権利保護が強化されます。また育成期間は原則3年で、日本語能力要件も課されます。

特定技能制度との違い

育成就労制度と特定技能制度は、双方とも外国人材の就労を支える仕組みですが、目的と位置づけが異なります。育成就労は日本で働きながら技能と日本語を身につける「育成段階」を重視し、将来的に特定技能への移行を前提とした「入口」的な制度です。

一方で特定技能制度は既に一定の技能・日本語能力を有する即戦力人材を受け入れる制度で、1号は最長5年、2号は更新無制限で働くことが可能です。育成就労は3年で終了し、その後特定技能の試験合格が移行要件になります。

育成就労法のメリット

ここでは、育成就労法のメリットについて解説します。

育成就労外国人の権利保護が実現する

育成就労制度では、外国人労働者を「実習生」ではなく労働者として受け入れる制度設計となり、権利保護の強化が図られています。監理支援機関や受入企業に対する要件を厳格化することで、不適切な受け入れや人権侵害を防ぐ仕組みが整備されます。

これにより暴力・ハラスメントなどの問題が発生した場合の救済や支援体制が強化され、外国出身の労働者が安心して働ける環境の整備が進むのがメリットです。

就労者の日本語能力が上がる

出典:厚生労働省,育成就労制度の概要,https://www.moj.go.jp/isa/content/001452485.pdf,参照日2026.3.2

育成就労制度では、外国人材が働くために一定水準の日本語能力を身につけることが求められます。具体的には就労開始前に「日本語能力試験A2相当」などの基準が設けられ、就労期間中も日本語学習や技能評価を通じて能力向上が促されます。

さらに制度終了後に特定技能へ移行するためには、より高い日本語能力が必要となるため、外国人労働者の言語能力や職場コミュニケーションの向上につながる点がメリットです。 

転籍が可能になる

育成就労制度では、従来の技能実習制度と異なり、一定の条件を満たせば転籍が可能となります。これまでの技能実習では原則として同じ企業で働き続ける必要がありましたが、新制度では一定期間の就労や技能・日本語能力の要件を満たした場合、同一分野内で別の企業へ移籍できます。

これにより労働環境の改善や不当な待遇からの救済が期待され、外国人労働者の選択肢が広がります。

育成就労法のデメリット・課題

ここでは、育成就労法のデメリットや課題について解説します。

改正後に対象外となる職種がある

育成就労制度は、主に人手不足が深刻な産業分野を対象として受け入れ実施されます。そのため、これまで技能実習制度で外国人材を受け入れていた職種の中には、制度改正後に対象外となる可能性があります。

対象分野は特定技能制度との連動を前提として設定されるため、すべての業種・職種が引き続き外国人を受け入れられるわけではありません。企業によっては、これまでの人材確保の方法を見直す必要が生じる可能性があります。

企業側には転籍がリスクとなる

育成就労制度では、一定の条件を満たすことで外国人労働者の転籍が認められるようになります。労働者の権利保護という点ではメリットですが、企業側にとっては、育成に時間や費用をかけた人材が他社へ移るリスクが生じるのが課題です。

とくに人材不足が深刻な業界では、待遇や労働環境による人材の流動化が進む可能性があり、企業にはより良い労働環境の整備や定着施策が求められるようになります。

まとめ

育成就労法は、技能実習制度の課題を踏まえて創設された新しい外国人就労制度であり、外国人材の権利保護の強化や人材育成の仕組みの見直しが進められています。

転籍の自由や日本語能力の向上などのメリットがある一方、対象職種の制限や企業側の人材流出リスクなどの課題も指摘されています。今後は制度の詳細を理解し、企業・外国人双方にとって適切な受け入れ体制を整えることが重要です。