第一種換気システムとは|種類やメリット・デメリットを解説

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「第一種換気システム」についてピックアップします。住宅の高気密・高断熱化が進む中で、室内の空気環境を左右する「換気システム」の重要性が高まっています。中でも第一種換気システムは、給気と排気を機械で制御できることから、快適性や省エネ性の面で注目されています。

そこで本記事では、換気方式の基本から第一種換気の種類、メリット・デメリット、導入時の注意点までを分かりやすく解説します。

換気方式の種類①自然換気

自然換気とは、風圧や室内外の温度差によって生じる空気の流れを利用して機械を使わずに空気を入れ替える方式です。窓の開閉や通風口、換気口などを通じて換気するため、電力を必要とせず設備コストも抑えられます。

ただし風向きや外気温などの気象条件に左右されやすく、換気量が安定しない点が課題です。現在の住宅では、建築基準法により24時間換気(機械換気)の設置が義務付けられているため、自然換気のみで計画換気する方法は一般的ではありません。

【参考】国土交通省|住宅等における換気等に関する情報提供について

換気方式の種類②機械換気

ここでは、機械換気の種類について解説します。

第一種換気システム

出典:パナソニック,24時間換気システム 戸建住宅用,https://sumai.panasonic.jp/air/kanki/24h/,参照日2026.3.5

第一種換気システムは、給気・排気の両方を機械で制御する方式です。室内外の圧力バランスを保ちやすく、計画換気が安定します。さらに熱交換器を組み合わせることで、外気を取り込みながら室温への影響を抑えられる点が特徴です。

ただし高気密・高断熱住宅との相性が良い一方で、初期費用やメンテナンスコストは比較的高くなります。

第二種換気システム

出典:パナソニック,24時間換気システム 戸建住宅用,https://sumai.panasonic.jp/air/kanki/24h/,参照日2026.3.5

第二種換気システムは、機械で給気して排気は自然排気とする方式です。室内が正圧(外より空気圧が高い状態)になりやすく、外部からの汚染空気や粉じんの侵入を抑えやすい特徴があります。

そのため、クリーンルームや病院などで採用されるケースが一般的です。住宅での採用例は多くありません。

第三種換気システム

出典:パナソニック,24時間換気システム 戸建住宅用,https://sumai.panasonic.jp/air/kanki/24h/,参照日2026.3.5

第三種換気システムは、給気は自然給気口から取り入れ、機械で排気する方式です。構造が比較的シンプルで導入コストが抑えやすく、一般住宅で広く普及しています。

一方で外気がそのまま室内に入るため、冬場は冷気の影響を受けやすいのが課題です。気密性能の確保が、換気効率に大きく影響します。

第一種換気システムの種類

第一種換気システムは、快適性の高さから導入が広がっています。そこで、第一種換気システムの種類について詳しく解説します。

①ダクトの有無

ダクト式

ダクト式は本体から各居室へダクトを配管し、給気・排気を一元管理する方式です。住宅全体の空気を均一にコントロールしやすく、計画換気の精度が高いのが特徴です。

ただし高気密・高断熱住宅との相性が良い一方、施工計画やダクトスペースの確保が必要となり、初期コストは比較的高くなります。

ダクトレス式

ダクトレス式は各居室や壁面に小型の換気ユニットを設置する方式で、ダクト配管が不要です。施工が比較的容易で、リフォームや部分的な導入にも対応しやすい点がメリットです。

一方で設置台数が増えるとコストやメンテナンス箇所も増えるため、建物規模に応じた計画が求められます。

②熱交換の有無

熱交換なし型

熱交換なし型は機械で給気・排気をしますが、熱交換機能を持っていないタイプです。構造が比較的シンプルで、本体価格も抑えやすい傾向があります。

一方で外気をそのまま取り込むため、冷暖房負荷が大きくなりやすく、省エネ性の面では熱交換型に劣ります。

顕熱交換型

顕熱交換型は、温度(顕熱)のみを交換するタイプです。排気の熱を給気に伝えることで、室温変化を抑えながら換気します。

湿度は交換しないため、室内の湿度コントロールを行いやすい点が特徴です。寒冷地などでの結露対策として採用されるケースもあります。

全熱交換型

全熱交換型は、温度(顕熱)に加えて湿度(潜熱)も交換するタイプです。室温と湿度の両方を保ちながら換気できるため、冷暖房効率の向上が期待できます。

高気密・高断熱住宅や省エネ性能を重視する住宅で多く採用されていますが、定期的なフィルター清掃などの維持管理が重要です。

第一種換気システムのメリット

ここでは、第一種換気システムのメリットについて解説します。

熱ロスを抑えられる

熱交換機能を備えたタイプでは、排気時の室内の熱を給気に活用できるため、冷暖房による熱ロスを抑えられます。外気をそのまま取り込む方式と比べて室温変化が小さく、省エネ性の向上が期待できます。とくに寒冷地や高断熱住宅で、効果を発揮しやすいのがメリットです。

計画換気が安定する

第一種換気システムは、給気・排気の双方を機械で制御することで換気量を設計通りに確保しやすくなります。これにより外部の風向きや気圧差の影響を受けにくくなり、室内の空気環境を安定して維持できます。シックハウス対策として求められる24時間換気を、確実に機能させやすい方式といえます。

花粉・PM2.5対策が可能

給気側に高性能フィルターを設置することで、花粉やPM2.5などの微小粒子の侵入を抑制できます。外気を直接取り込む方式と比べて、室内空気の清浄度を高めやすいのがメリットです。アレルギー対策や、健康配慮型住宅の提案にもつなげやすい特徴があります。

高気密住宅と相性が良い

第一種換気システムは、気密性が高い住宅ほど性能を発揮しやすい方式です。建物の隙間が少ないことで計画した経路どおりに空気が流れ、換気効率が向上します。高断熱・高気密仕様やZEHなど、省エネ性能を重視する住宅との親和性が高いのも大きなメリットです。

第一種換気システムのデメリット・注意点

ここでは、第一種換気システムのデメリットや注意点について解説します。

初期費用が高い

第一種換気システムは給気・排気の両方に機械設備を設けるため、第三種換気と比べて本体価格や施工費が高くなる傾向があります。とくにダクト式や熱交換型を採用する場合は、設備機器や配管工事が必要となり、建築コスト全体に影響します。そのため、初期段階での十分な費用計画が求められます。

電気代がかかる

24時間連続で給気・排気ファンを稼働させると、一定の電力消費が発生します。そのため熱交換型は冷暖房負荷を抑えられる一方で、機器自体の消費電力も考慮する必要があります。

ダクトやフィルター清掃のメンテナンス課題

安定した性能を維持するためには、定期的なフィルター清掃や交換が不可欠です。ダクト式の場合は、長期的にダクト内部の汚れ対策も課題となります。メンテナンスを怠ると換気効率の低下や臭気の原因となるため、注意が必要です。

気密性能が低いと性能を発揮しにくい

第一種換気は、計画した経路で空気を循環させることで本来の性能を発揮します。しかし建物の気密性能が低いと隙間から空気が出入りし、設計通りの換気量を確保できない場合があります。導入にあたっては、気密施工とのセット提案が前提となります。

まとめ

第一種換気システムは、計画換気の安定性や熱ロス低減など多くのメリットを持つ一方、初期費用やメンテナンスといった課題もあります。性能を十分に発揮させるためには、建物の気密性確保や適切な維持管理が前提となります。

住宅性能や予算、提案方針に応じて他方式と比較しながら、最適な換気計画を立てることが重要です。