建材一体型太陽電池(BIPV)とは|活用事例やメリット・デメリットを解説

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Category: 住宅業界動向

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「建材一体型太陽電池(BIPV)」についてピックアップします。近年、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの導入が進む中、建物そのものが発電設備となる「建材一体型太陽電池(BIPV)」が注目されています。

屋根や外壁、窓など建築部材と太陽電池を一体化することで、意匠性を保ちながらエネルギー創出が可能になる点が特徴です。本記事ではBIPVの基本的な仕組みや種類、活用事例、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。

建材一体型太陽電池(BIPV)とは

出典:パナソニック,ガラス型ペロブスカイト太陽電池,https://perovskite-pv.panasonic.com/ja/,参照日2026.2.26

ここではまず、建材一体型太陽電池(BIPV)の概要や市場規模について解説します。

概要|ペロブスカイト太陽電池を活用

建材一体型太陽電池(BIPV)とは、屋根材や外壁、窓ガラスなどの建築材料そのものに太陽電池機能を組み込んだ発電技術です。

近年は軽量・柔軟でデザイン性にも優れているペロブスカイト太陽電池の活用が注目されており、従来設置が難しかった外壁や曲面などにも導入しやすくなっています。建物の意匠性を保ちながら再生可能エネルギーを創出できる点が、大きな特徴です。

市場規模

BIPV市場は世界的に拡大が続いており、2025年の世界市場は約112.7億ドルでした。脱炭素化やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)推進の流れを背景に、今後大きな市場拡大が期待されています。

とくにペロブスカイト太陽電池は、窓や外壁など従来発電に活用されてこなかった建築部位にも設置できるため、都市部を中心に潜在導入面積が非常に大きいとされています。

【参考】㈶未来工学研究|我が国における建物一体型太陽光発電(BIPV)関連産業の形成条件

建材一体型太陽電池(BIPV)の種類

出典:パナソニック,ガラス型ペロブスカイト太陽電池,https://perovskite-pv.panasonic.com/ja/,参照日2026.2.26

ここでは、建材一体型太陽電池(BIPV)の主な種類について解説します。

屋根

屋根一体型BIPVは屋根材そのものに太陽電池機能を組み込んだタイプで、従来の太陽光パネルを後付けする方式と異なり、建材と発電設備を兼ねられる点が特徴です。

新築時に導入しやすく、住宅・非住宅ともに比較的普及が進んでいる分野です。外観の一体感を保ちやすく、重量増加を抑えられるメリットもあります。

ファサード

ファサード型BIPVは建物の外壁部分に設置するタイプで、意匠性と発電機能を両立できるのが特徴です。都市部の高層建築など屋根面積が限られる建物でも導入でき、建物全体で発電量を確保しやすくなります。

カラーや素材のバリエーションも増えており、デザイン性を重視する建築物への採用が広がっています。

建築遮光

建築遮光型BIPVは、庇やルーバー、バルコニー手すりなどの日射遮蔽部材に太陽電池を組み込んだタイプです。日射を遮り室内温度上昇を抑える効果と発電を同時に実現できるため、省エネ性能向上に貢献します。

建物の機能部材として活用でき、エネルギー効率と快適性を両立しやすい点が特徴です。

窓(グレージング)

窓型(グレージング)BIPVは、ガラス部分に発電機能を持たせたタイプで、採光を確保しながら発電できるのがメリットです。

半透明の太陽電池を使用することで、室内の明るさを保ちながらエネルギーを生み出せます。オフィスビルや商業施設など、ガラス面積の大きい建築物で特に導入効果が期待されています。

ロールスクリーン

ロールスクリーン型BIPVは、窓用ブラインドやスクリーンに薄膜太陽電池を組み込んだ新しい形態です。必要なときに展開して発電や遮光ができるため、柔軟な運用が可能です。

また軽量で後付けしやすい特徴があり、既存建物への導入可能性も高いことから、今後の普及が期待される分野とされています。

建材一体型太陽電池(BIPV)の事例

ここでは、建材一体型太陽電池(BIPV)の具体的な事例をご紹介します。

AGC|サンジュール

出典:AGC,サンジュール 建材一体型太陽光発電ガラス(BIPV),https://www.asahiglassplaza.net/products/sunjoule/,参照日2026.2.26

AGCの「サンジュール」は建材として使用できる太陽光発電ガラスで、窓や外装と一体化しながら発電できるBIPV製品です。ガラスサイズや構成、セルの配置に自由度があり、建築デザインを損なわずに再生可能エネルギーを導入できる点が特徴です。

出典:AGC,サンジュール 建材一体型太陽光発電ガラス(BIPV),https://www.asahiglassplaza.net/products/sunjoule/,参照日2026.2.26

主にオフィスビルや商業施設などの外装材として活用されており、環境性能と意匠性の両立を実現しています。

カネカ・大成建設|T-Green Multi Solar

出典:都有施設における再生可能エネルギー見える化モデル事業(建材一体型太陽光発電設備),建材一体型太陽光発電パネル,https://bipv-re-mieruka.jp/bipv.html,参照日2026.2.26

カネカと大成建設は、「T-Green Multi Solar」を共同開発しました。これは外壁や窓、バルコニー手すりなど建物外装と一体化できる太陽光発電システムで、透過性のあるタイプや遮光タイプなど複数仕様を備え、建物用途に応じて選択可能となっています。

また災害時には非常用電源としても活用でき、建築物のZEB化や脱炭素化に貢献する技術として期待されています。

「T-Green Multi Solar」は東京都環境局の「都有施設における再生可能エネルギー見える化モデル事業(建材一体型太陽光発電設備)」にも採択されており、2027年3月頃まで東京ビッグサイト等での創エネルギー効果が測定される予定です。

LIXIL|PVロールスクリーンシステム

出典:LIXIL,世界初となる室内側から窓に設置するロールスクリーン状の 太陽光発電設備「PVロールスクリーンシステム」の受注を開始,https://newsroom.lixil.com/ja/2025041401,参照日2026.2.26

LIXILが開発したPVロールスクリーンシステムは、窓用ロールスクリーンに薄型太陽電池を組み込んだBIPV製品です。日射遮蔽による室内環境の快適性向上と発電を同時に実現できる点が特徴で、既存建物にも後付けしやすい設計となっています。

発電した電力は照明や機器電源などに活用でき、1枚あたり最大スマホ9台、またはPC3台分を1日で発電可能です。建物の省エネ化と創エネを両立する、新しい窓周り設備として注目されています。

建材一体型太陽電池(BIPV)のメリット

出典:パナソニック,ガラス型ペロブスカイト太陽電池,https://perovskite-pv.panasonic.com/ja/,参照日2026.2.26

ここでは、建材一体型太陽電池(BIPV)のメリットについて解説します。

省エネにつながる

建材一体型太陽電池(BIPV)は、建物の屋根や外壁、窓などを活用して発電できるため、建物で消費する電力を自ら賄いやすくなり、省エネ性能の向上につながります。

さらに遮光や断熱性能を兼ね備えた製品もあり、冷暖房負荷の低減にも貢献します。建物のエネルギー収支を改善できることから、ZEBや脱炭素建築の実現に有効な技術です。

デザイン性が高い

BIPVは建材そのものに太陽電池機能を組み込むため、従来の太陽光パネルのような後付け感がなく、建物デザインとの一体感を保ちやすい点がメリットです。

また色や透過率、形状の自由度が高い製品も増えており、建築意匠を重視する住宅や商業施設、オフィスビルでも採用しやすくなっています。景観への配慮が求められる地域でも、導入しやすくなります。

幅広い場所に太陽光発電を設置できる

BIPVは屋根だけでなく、外壁や窓、庇、バルコニー手すりなど、これまで発電に活用されてこなかった建築部位にも設置できる点が大きなメリットです。

都市部のように屋根面積が限られる建物でも発電量を確保しやすく、建物全体を発電設備として活用できます。設置場所の選択肢が広がることで、再生可能エネルギー導入の可能性を大きく高められます。

建材一体型太陽電池(BIPV)のデメリット・課題

出典:パナソニック,ガラス型ペロブスカイト太陽電池,https://perovskite-pv.panasonic.com/ja/,参照日2026.2.26

ここでは、建材一体型太陽電池(BIPV)のデメリットについて解説します。

まだ変換効率が低い

BIPVは建材としての機能やデザイン性を重視するため、一般的な屋根設置型の太陽光パネルと比較すると発電効率が低い場合があります。とくに窓型や透過型製品では採光性能とのバランスが必要となるため、発電量が限定される傾向があります。

技術開発は進んでいるものの、現時点では効率面で従来型太陽光発電に劣るケースもある点が課題です。

コストが高い

BIPVは建材と発電設備を一体化した特殊製品であり、材料費や施工費が高くなりやすいのがデメリットです。オーダー対応や設計調整が必要になる場合も多く、従来の太陽光パネルを後付けする方式と比べて初期費用が高額になる傾向があります。

ただし建材費と設備費を兼ねられることや量産化の進展により、将来的にはコスト低減が期待されています。

耐久性・メンテナンスに課題

BIPVは建物の外装材として使用されるため、長期間にわたる耐候性や防水性能の確保が重要になります。万が一不具合が発生した場合、一般的な太陽光パネルのように簡単に交換できず、外装工事を伴う可能性がある点も課題です。

製品によっては実績がまだ少ないものもあり、長期的な耐久性評価やメンテナンス体制の確立が求められています。

まとめ

建材一体型太陽電池(BIPV)は、建物の屋根や外壁、窓などを活用して発電できる次世代の再生可能エネルギー技術です。デザイン性を保ちながら省エネや創エネを実現できる一方で、コストや効率、耐久性などの課題も残されています。

しかし技術開発の進展や普及拡大により、今後は建築分野における重要なエネルギーソリューションとして導入が進むことが期待されています。建物の価値向上という観点でも、注目される分野といえるでしょう。