2026年4月「GX推進法改正」とは|内容を分かりやすく解説

トレンドワード:GX推進法改正

「GX推進法改正」についてピックアップします。CO2排出量取引制度の法定化や、再生資源利用の促進など、脱炭素と資源循環を軸とした制度が本格化する中、建設業界にも環境対応が求められる時代に入りました。2026年4月に施行されるGX推進法改正は、大企業だけでなく、工務店や建設業者にも間接的な影響を及ぼす可能性があります。
そこで本記事ではGX推進法改正の内容を踏まえ、工務店・建設業者が押さえておくべきポイントを分かりやすく解説します。
GX推進法とは(正式名称:脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)

2023年度に成立した「GX推進法(正式名称:脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)」は、2050年カーボンニュートラルの実現と経済成長の両立を実現するための施策です。
ここでは、改正前の内容について分かりやすく解説します。
①GX推進戦略の策定・実行(第6条)
政府は、GXを総合的かつ計画的に推進するための戦略(脱炭素成長型経済構造移行推進戦略)を策定。戦略はGX経済への移行状況を検討し、適切に見直し。
②GX経済移行債の発行(第7,8条)
- 政府は、GX推進戦略の実現に向けた先行投資を支援するため、2023年度から10年間で、GX経済移行債(脱炭素成長型経済構造移行債)を発行。
- GX経済移行債は、化石燃料賦課金・特定事業者負担金により2050年度までに償還。
③成長志向型カーボンプライシングの導入(第11,15,16,17条)
- 炭素に対する賦課金(化石燃料賦課金)の導入
2028年度(令和10年度)から、化石燃料の輸入事業者等に対して、輸入等する化石燃料に由来するCO2の量に応じて、化石燃料賦課金を徴収。
- 排出量取引制度
• 2033年度(令和15年度)から、経済産業大臣は、発電事業者に対して、一部有償でCO2の排出枠(量)を割り当て、その量に応じた特定事業者負担金を徴収。
• 具体的な有償の排出枠の割当てや単価は、入札方式(有償オークション)により決定。
④GX推進機構の設立(第54条)
経済産業大臣の認可により、GX推進機構(脱炭素成長型経済構造移行推進機構)を設立。
- 民間企業のGX投資の支援(金融支援(債務保証等))
- 化石燃料賦課金・特定事業者負担金の徴収
- 排出量取引制度の運営(特定事業者排出枠の割当て・入札等) 等
⑤進捗評価と必要な見直し(附則第11条)
- GX投資等の実施状況・CO2の排出に係る国内外の経済動向等を踏まえ、施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを講ずる。
- 化石燃料賦課金や排出量取引制度に関する詳細の制度設計について排出枠取引制度の本格的な稼働のための具体的な方策を含めて検討し、この法律の施行後2年以内に、必要な法制上の措置を行う。
2026年4月施行「GX推進法改正」とは

ここでは、2026年4月に施行されるGX推進法の改正内容について解説します。大まかには、①脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)と、②資源の有効な利用の促進に関する法律(資源法)の2つの法改正が含まれます。
①脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の一部改正
(1)排出量取引制度(GX-ETS)の法定化
2026年度から、二酸化炭素の直接排出量が一定規模以上の事業者に対して、排出量取引制度への参加が義務付けられます。
業種ごとの特性等を考慮した政府指針に基づき、排出枠を無償で割り当てる仕組みです。その上で、制度対象事業者に対して、翌年度に排出量実績の報告及び実績と等量の排出枠の保有が義務付けられます。
さらに割り当てられた排出枠と排出実績の過不足分について、事業者間で取引できる市場を整備し、排出枠の上下限価格を設定することで、取引価格の安定化のために必要な措置が講じられる予定です。
(2)化石燃料賦課金の徴収に係る措置の具体化
2028年度から適用開始する化石燃料賦課金の執行のために必要な「支払期限・滞納処分・国内で使用しない燃料」への減免等の技術的事項が整備されます。
(3)GX分野への財政支援の整備
脱炭素成長型経済構造移行債の発行収入により、「戦略分野国内生産促進税制のうち、GX分野の物資に係る税額控除に伴う一般会計の減収」を補填できるようになります。
②資源の有効な利用の促進に関する法律の一部改正
(1)再生資源の利用義務化
法改正により、再生資源の利用義務を課す製品が指定されます。そして生産量が一定規模以上の製造事業者等に対し、当該製品における再生資源の利用に関する計画の提出及び定期報告を義務付ける措置が講じられます。
(2)環境配慮設計の促進
資源有効利用・脱炭素化の促進の観点から、特に優れた環境配慮設計(解体・分別しやすい設計、長寿命化につながる設計等)の認定制度が創設されます。
(3)GXに必要な原材料等の再資源化の促進
事業者による回収・再資源化が義務付けられている製品について、高い回収目標等を掲げて認定を受けた事業者に対し、廃棄物処理法の特例措置が講じられます。適正処理の遵守が前提であり、業許可は不要です。
(4)サーキュラーエコノミーコマースの促進
シェアリング等のサーキュラーエコノミーコマース事業者の類型が新たに位置付けられ、当該事業者に対し、資源の有効利用等の観点から満たすべき基準が設定されます。
工務店・建設業者のポイント

ここでは、工務店や建設業者が押さえておくべきポイントについて解説します。
サプライチェーンでCO₂情報提供が求められる場合も
GX推進法改正により、排出量取引制度(GX-ETS)は一定規模以上の大企業を中心に義務化されますが、その影響はサプライチェーン全体に及ぶ可能性があります。具体的には元請けや資材メーカーが自社のCO₂排出量を算定・報告する際、工務店や建設業者に対しても、使用建材や施工時のエネルギー使用量などの情報提供を求められるケースが想定されます。
現時点で中小工務店に法的義務はありませんが、将来的な取引継続や信頼確保の観点から、CO₂排出量の「見える化」に向けた準備が重要となります。
税制優遇・補助金・省エネ設備の支援制度が実施予定
GX推進法改正では脱炭素分野への投資を後押しするため、税制優遇や補助金などの財政支援が強化される予定です。省エネ設備の導入や、GX分野に関連する建材・設備投資に対しては、税額控除や補助制度の対象となる可能性があります。
工務店にとっては、高断熱住宅、省エネリフォーム、ZEH対応などの取り組みを進めることで、施主への提案力を高めつつ、制度を活用してコスト負担を抑えるチャンスとなります。早めに情報収集し、活用できる制度を把握しておくことが重要です。
まとめ
GX推進法改正により、工務店や建設業者が直接規制の対象となる場面は限定的ですが、元請企業や資材メーカーを通じて、CO₂排出量の把握や環境配慮への対応が求められる可能性は高まります。
一方で、省エネ設備や脱炭素分野への投資に対する税制優遇・補助金など、事業成長につながる支援策も整備されます。工務店や建設業者にとっても、競争力強化の機会として活用する視点が重要です。