不動産価格指数とは|国交省グラフや公示地価との違いを解説

目次
トレンドワード:不動産価格指数
「不動産価格指数」についてピックアップします。不動産市場の動きを把握するうえで欠かせない指標であり、実際の取引価格をもとに算出されるため、市場の実勢を反映しやすく、住宅・商業用不動産の価格動向を時系列で確認できます。
そこで本記事では不動産価格指数の基本的な仕組みや公示地価との違いを整理した上で、直近の動向と2026年に向けた見通しについて解説します。
不動産価格指数とは

ここではまず、不動産指数の概要や計算方法について解説します。
概要
不動産価格指数とは国土交通省が公表している統計データで、実際の不動産取引価格をもとに時系列で価格の動きを把握できます。全国・ブロック別・都市圏別等に集計されているため市場の実勢を反映しやすく、不動産市況や価格動向を分析する際の代表的な指標として広く活用されています。
目的
不動産価格指数の目的は、不動産市場の価格変動を客観的・定量的に把握し、政策立案や市場分析に役立てることです。従来の地価指標では把握しにくかった短期的な価格変動や取引実態を可視化することで、不動産市場の透明性を高める狙いがあります。
また行政だけでなく、金融機関や不動産事業者の判断材料としても重要な役割を果たしています。
計算方法
不動産価格指数は、不動産取引価格情報をもとに「ヘドニック回帰法(hedonic regression method)」と呼ばれる統計手法を用いて算出されています。立地、面積、築年数などの属性差を調整し、純粋な価格変動のみを指数化する点が特徴です。
これにより個別物件の違いによる誤差を抑えられ、市場全体の価格動向を時系列で比較できるようになっています。
季節調整値とは

不動産市場では、年度末や引っ越しシーズンに取引が集中する傾向があり、原数値だけでは正確な比較が難しくなります。そのため2020年6月公表分からは、住宅・商業用不動産ともに「季節調整済指数」も公表されています。
季節調整法とは、移動平均を繰り返し適用して原系列を傾向変動、季節変動、不規則変動に分解し、季節変動を除去する方法です。これにより月ごとの価格変動をより実態に近い形で把握できるため、短期的なトレンド分析に適しています。
不動産価格指数と公示地価との違い
公示地価とは、国土交通省土地鑑定委員会が発表している土地の取引価格の指標です。都市計画区域等における標準地を選定して、毎年1月1日時点の1㎡当たりの価格を判定し公示しています。
不動産価格指数は実際の取引価格をもとに算出されるのに対し、公示地価は国が選定した標準地の価格を評価したものです。そのため不動産価格指数は時系列での価格変動把握に強く、市場動向分析向きの指標と言えます。一方で公示地価は土地評価や税務、取引の目安として使われることが多く、目的や性質が異なります。
2025不動産価格指数を解説|国土交通省チャートグラフ

ここでは国土交通省のデータを基に、2025年の不動産価格指標について解説します。
①住宅の不動産価格指数

| 住宅総合 | 住宅地 | 戸建住宅 | マンション(区分所有) | |
|---|---|---|---|---|
| 不動産価格指数 | 145.4 | 120.7 | 118.6 | 222.2 |
| 対前月比 | 0.0% | 0.3% | -0.7% | 0.1% |
住宅の不動産価格指数は、上表の通りです(2025年9月分・季節調整値)。全国の住宅総合指数は145.4で、前月比では0.0%の横ばいとなっています。マンション価格の高い水準は依然として継続しており、戸建住宅は一部で下押し圧力が見られるものの、全体としては高止まりの状況です。
全体的に2010年平均(100)を大きく上回る高水準を示しており、住宅市場の価格が全体として上昇基調であることを反映しています。長期的にはマンションの価格上昇が顕著で、マンション市場は堅調さを維持しています。
②商業用の不動産価格指数

| 店舗 | オフィス | 倉庫 | 工場 | |
|---|---|---|---|---|
| 不動産価格指数 | 168.8 | 168.9 | 132.5 | 126.2 |
| 対前月比 | 2.9% | -5.4% | 9.0% | -0.9% |
商業用不動産の不動産価格指数は、上表の通りです(2025年9月分・季節調整値)。商業用不動産は全体として価格水準が引き続き上昇傾向を維持しており、市場に底堅い価格動向が見られます。
ただしオフィス物件は前期比で低下しており、リモートワーク継続や企業のオフィス縮小傾向が価格動向に影響している可能性があります。
2026年の不動産価格指数はどうなる?

ここでは、気になる2026年の不動産価格指数について解説します。
新築マンション戸数減少による価格高騰
2026年は新築マンションの供給戸数が減少すると見込まれており、需給バランスの悪化が価格指数に影響を与える可能性があります。
建設コストの高止まりや労働力不足、資材価格の変動などにより新規供給が抑制されることで、既存物件の希少価値が高まることが理由です。その結果、とくに人気エリアでは中古・新築ともに価格指数が高水準で推移し、指数全体を押し上げる要因になると予想されます。
東京エリアは上昇傾向
東京エリアでは都市集積やインフラ整備、再開発プロジェクトの進展により不動産需要が堅調に推移すると見られ、2026年の不動産価格指数は上昇傾向が続く可能性があります。
都心部や交通利便性の高いエリアでは投資需要も強く、マンション・オフィス・商業施設の価格指数が全体として高めに維持される見込みです。一方、郊外・地方部との差が拡大しやすい点には注意が必要です。
まとめ
不動産価格指数は、実際の取引データに基づき不動産市場の変化を捉えられる重要な指標です。直近では住宅・商業用ともに高水準で推移しており、とくに新築マンション供給の減少や東京エリアの需要集中が価格を下支えしています。
2026年に向けてもエリアや用途による差はあるものの、指数は底堅く推移する可能性が高く、今後の市場分析や事業判断では注視する必要があります。