2026BIM図面審査とは|国交省ガイドラインやスケジュールを解説

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Category: 住宅業界動向

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BIM図面審査」についてピックアップします。近年、建築分野ではBIM活用の本格化が進み、建築確認申請の在り方も大きく変わろうとしています。国土交通省は2026年春より「BIM図面審査」を開始し、従来の2D図面中心の審査からBIMで作成されたデータを活用した新たな審査方式へ移行していく予定です。

そこで本記事ではBIM図面審査の概要や流れ、確認申請用CDEの役割、メリット・注意点までを整理し、制度開始前に押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。

2026「BIM図面審査」とは

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

ここでは、国土交通省によって2026年春に開始される予定の「BIM図面審査」制度について解説します。

概要

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

「BIM図面審査」とは、国土交通省による建築確認申請手続きにおけるデジタル化施策です。従来の紙や二次元図面中心の審査から、BIM(Building Information Modeling)で作成した3Dモデル情報を活用するのが特徴です。

これにより整合性の高い申請図書の提出・審査が可能になり、審査作業の効率化や審査期間の短縮によって、申請者・審査者双方の業務負担軽減を図ります。

「確認申請用CDE」とは

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

BIM図面審査では、図面データ管理・3Dモデル閲覧の際に「確認申請用CDE」を利用します。これは申請用プラットフォームで、共通データ環境となっています。

確認申請用CDEによって、3Dデータ閲覧にかかる負担(BIMソフトごとの環境を用意するコストや操作方法)を軽減できるのがメリットです。また図面のステータス(審査中、指摘回答待ちなど)管理や指摘事項送付機能等により、業務効率化も実現します。

BIM図面審査の流れ|国交省ガイドラインを解説

ここでは、国土交通省「建築確認におけるBIM図面審査ガイドライン」を基に、BIM図面審査の流れを解説します。

①申請図書作成~申請

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

申請者は、確認申請書様式・申請図書(図面)を作成して提出します。

申請図書については、BIMソフトで建物のBIMデータ(元となる設計データ)を作成します。このデータをもとに、図面をPDF・IFC形式で提出するルールです。

②仮受付

仮受付をする場合、審査者は「③受付・指摘対応」と同一のフローにより審査・指

摘・図書の補正等を実施します。

③受付・指摘対応

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

受付時の流れは、下記の通りです。

  • ① 審査者は審査を行う。
  • ② 審査者は、申請図書等に不備がある場合には、審査結果を通知し、補正等を求める。
  • ③ 設計者は、補正等の求めに対応し、BIMデータの修正を行って、PDF形式の図書及びIFCデータを再度作成する。
  • ④ 修正したPDF形式の図書、IFCデータ及び補正等への回答を再度審査者に提出する。
  • ⑤ 審査者は、指摘以外の部分に修正が加えられていないか確認する。また、修正データにより補正等への対応状況を確認する。

④適合性判定

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18
出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

適合性判定は「構造」「省エネ」でそれぞれ実施されます。主な流れは、下記の通りです。

  • ① 適合性判定機関は、PDF形式の図書を用いて審査を行い、補正等の通知を行う。
  • ② 申請者(設計者)は指摘に対応した回答、図書の補正等や、追加説明書の作成を行う。図書を補正等する場合、指摘を修正したデータを再度提出する。
  • ③ 適合性判定機関は、自らが補正等を通知した内容に対応するデータを確認し、補正等への対応状況を確認する。
  • ④ 適合性判定機関は、自らが通知した補正等への対応完了を確認し、申請者に連絡する。
  • ⑤ 審査者は、適合性判定機関の補正等の内容を含め対応の完了を確認し、消防同意に進む。

⑤消防同意・確認済証交付・図書保存

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

消防同意の流れは、下記の通りです。

  • ① 審査者は、確認に係る建築物の工事施工地又は所在地を管轄する消防長又は消防署長(以下、「消防長等」という。)に同意を依頼する。
  • ② 消防長等は、図書を確認し、審査結果を通知する。
  • ③ 消防同意で図書の補正等が生じた場合、審査者は申請者にその旨を伝える。
  • ④ 申請者は審査者を通じ補正した図書を消防長等に送付する。
  • ⑤ 消防長等は、補正等が完了した場合は、同意した旨を通知する。
出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

確認済証交付・図書保存の流れは、下記の通りです。

<適合性判定>

  • ⑥ 適合性判定機関は適合判定通知書の交付を行う。

<確認済証の交付>

  • ⑦ 審査者は消防同意した旨の通知及び適合性判定の通知書受領後、確認済証を交付する。
  • ⑧ 申請者は交付済図書をダウンロードし、副本として取り扱う。

<図書保存>

  • ⑨ 審査者は、確認済証を交付したPDF形式の図書を正本として法定の期間、保存する。

⑥施工・工事監理・中間検査・完了検査

出典:国土交通省,建築確認におけるBIM 図面審査ガイドライン,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/001969674.pdf,参照日2025.12.18

施工者・工事監理者は、副本と確認済証を基に施工・工事監理を実施します。そして審査者は保存された正本を用いて、中間検査及び完了検査を実施します。

BIM図面審査のスケジュール|いつから開始?

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

国土交通省では、BIM普及を目指した取り組みを実施しています。

2026「BIM図面審査」開始

2026年4月より、BIM図面審査が開始されます。2D図面審査と同等かそれよりも手間がかからない申請・審査が実現する予定です。これに向けて、審査データの標準化が進められています。

2029「BIMデータ審査」開始

出典:国土交通省,BIM図面審査制度説明会,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000233.html,参照日2025.12.18

2029年には、「BIMデータ審査」が開始されます。これはIFCデータを審査に活用して審査に必要な情報が自動表示されるシステムで、更なる審査の効率化(審査期間の更なる短縮)が期待されます。

BIM図面審査のメリット

ここでは、BIM図面審査のメリットについて解説します。

オンライン手続きによって来訪不要になる

BIM図面審査では、申請図書の提出から審査、質疑応答までをオンライン上で完結できます。これにより確認検査機関への図書持参や打ち合わせのための来訪が不要となり、移動時間や交通費の削減につながります。

とくに遠方案件や複数案件を同時に扱う設計・施工者にとっては、業務の効率化とスケジュール調整の柔軟性向上が大きなメリットです。

審査の時間・手間を効率化できる

BIMデータとPDF図面を併用することで、図面間の整合性確認や修正箇所の特定が容易になります。審査側は3Dモデルを参照しながら確認できるため、従来の平面図・断面図を突き合わせる作業が減少します。

図面の不備を減らせる

BIMを活用することで、意匠・構造・設備などの情報を一元管理でき、図面間の記載不整合や記入漏れを事前に防ぎやすくなります。PDF図面とIFCデータが同一のBIMデータから出力されるため、内容の食い違いが起こりにくい点も特長です。

これにより差し戻しや修正対応のリスクを抑えられるため、申請品質の向上が期待されます。

BIM図面審査のデメリット・注意点

BIM図面審査は新しい取り組みのため、デメリットや注意点も存在します。

審査環境の準備が必要

BIM図面審査を利用するには、IFCデータの書き出しや確認が可能なBIMソフト、十分な処理性能を備えたPC、安定した通信環境などの整備が必要です。

とくにBIM導入初期は、ソフトの設定やデータ変換時の不具合対応に時間を要する可能性があり、事前の動作確認や環境整備が重要となります。

BIM技術者・データ管理体制の整備が必要

BIM図面審査では、単に3Dモデルを作成するだけでなく、入出力基準に沿った正確なデータ構築やIFC変換が求められます。そのため、BIM操作に習熟した技術者の確保や育成が不可欠です。

またBIMデータは申請後も修正・再提出が発生するため、バージョン管理や権限管理を含めたデータ管理体制の整備も重要になります。体制構築には、一定の時間とコストがかかる点に注意が必要です。

まとめ

2026年開始の「BIM図面審査」は、建築確認申請のデジタル化を大きく前進させる制度であり、審査効率の向上や図面不備の削減など、多くのメリットが期待されています。

一方で、BIM環境の整備や技術者育成、データ管理体制の構築といった準備も不可欠です。制度開始に向けてガイドラインや入出力基準を早めに確認し、段階的に対応を進めておくと安心です。