みらいエコ住宅2026とは|補助金額や2025との違いを解説

目次
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「みらいエコ住宅2026」についてピックアップします。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、住宅分野の省エネ化を強力に後押しする新たな支援策として「みらいエコ住宅2026事業」が創設されました。
本制度は、2025年度まで実施されていた「子育てグリーン住宅支援事業」を引き継ぎつつ、補助内容や対象要件を大きく見直した点が特徴です。そこで本記事では、制度の概要や変更点をわかりやすく解説します。
「みらいエコ住宅2026事業」とは|国土交通省・経済産業省・環境省

国土交通省・経済産業省・環境省は、「住宅省エネ2026キャンペーン」を実施します。これは2050年カーボンニュートラルの実現に向けて住宅の省エネ化の支援を強化する取り組みで、具体的には「GX志向型住宅の新築」、「子育て世帯等を対象とする長期優良住宅・ZEH水準住宅の新築」、「住宅の省エネリフォーム等」を支援します。
「住宅省エネ2026キャンペーン」とは
住宅省エネ2026キャンペーンとは、国土交通省・経済産業省・環境省による補助金制度です。各省が補助制度をそれぞれ実施するとともに、各事業をワンストップで利用可能な点も特徴です。
2025年には「住宅省エネ2025キャンペーン」が実施されていましたが、各補助金事業はそれぞれ下表の通り引き継がれています。「子育てグリーン住宅支援事業」の後継事業としては、「みらいエコ住宅2026事業」が創設されています。
| 2025年度 | 2026年度 |
|---|---|
| 子育てグリーン住宅支援事業 | みらいエコ住宅2026事業 |
| 先進的窓リノベ2025事業 | 先進的窓リノベ2026事業 |
| 給湯省エネ2025事業 | 給湯省エネ2026事業 |
| 賃貸集合給湯省エネ2025事業 | 賃貸集合給湯省エネ2026事業 |
「みらいエコ住宅2026事業」の概要①新築
ここでは「新築」に関するみらいエコ住宅2026事業の内容について解説します。
目的
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを強力に推進するため、新築住宅の省エネ化への支援を強化する必要があります。
そのため国土交通省・環境省による「住宅の新築・購入」を支援する補助制度と、経済産業省による「蓄電池の設置」を支援する補助制度について、3省の連携により各事業を組み合わせた利用が可能となっています。
対象・補助金額

みらいエコ住宅2026事業の新築対象・補助金額は、下記の通りです。「すべての世帯」と「子育て世帯または若者夫婦世帯」に区別されているため、注意しましょう。
【すべての世帯】
| 工事内容 | ・注文住宅の新築 ・新築分譲住宅の購入 ・賃貸住宅の新築 |
| 対象住宅 | 下記に適合する「GX志向型住宅」 ・①断熱等性能等級6以上 ・②一次エネルギー消費量の削減率 ・③高度エネルギーマネジメント(HEMS等)の導入等 ・④建築事業者がGXの促進に対する協力について表明等すること |
| 補助額 | 110万円/戸(1~4地域:125万円/戸) |
※「②一次エネルギー消費量の削減率」については、下表の基準に適合する必要があります。
- 戸建住宅・共同住宅(再エネ除く):35%以上
- 戸建住宅(再エネ含む):【都市部狭小地等】なし、【寒冷地等】75%以上、【それ以外の地域】100%以上
- 共同住宅(再エネ含む):【6階建以上】なし、【4・5階建】50%以上、【3階建以下】75%以上
【子育て世帯または若者夫婦世帯】
| 工事内容 | ・注文住宅の新築 ・新築分譲住宅の購入 ・賃貸住宅の新築(主たる入居世帯を子育て世帯等とするもの) |
| 対象住宅 | 長期優良住宅ZEH水準住宅 |
| 補助額 | ・長期優良住宅:75万円/戸(1~4地域:80万円/戸) ・長期優良住宅(古家の除却を行う場合):93万円/戸(1~4地域:100万円/戸) ・ZEH水準住宅:35万円/戸(1~4地域:40万円/戸) ・ZEH水準住宅:(古家の除却を行う場合):55万円/戸(1~4地域:60万円/戸) |

さらに「DRに対応したリソース導入拡大支援事業(仮)」と併用すれば、蓄電池の設置費用に補助金が受け取れます。補助率は「3/10」で、DR(ディマンド・リスポンス)に活用可能な家庭用蓄電システムの導入を支援してもらえます。
「みらいエコ住宅2026事業」の概要②リフォーム
ここでは「リフォーム」に関するみらいエコ住宅2026事業の内容について解説します。
目的
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて家庭部門の省エネを強力に推進するため、住宅の断熱性向上に資する改修や高効率給湯器の導入といった住宅の省エネ化への支援を強化する必要があります。
そのため国土交通省・経済産業省・環境省が連携して、各補助金事業の併用やワンストップ申請に対応する予定です。
対象・補助金額

みらいエコ住宅2026事業のリフォームに関する対象・補助金額は、上図の通りです。項目ごとに、詳しく解説していきます。
1)高断熱窓の設置(先進的窓リノベ2026事業)

- 補助金は、断熱改修工事を行う事業者の申請に基づき、住宅所有者に補助金全額が還元されることを条件に、当該事業者に対して交付。
- 高断熱窓(熱貫流率Uw1.9以下等、建材トップランナー制度2030年目標水準値を超えるもの、その他要件を満たすもの等)への断熱改修工事に対して支援。
- 工事内容に応じて定額を交付。(1戸あたり最大100万円。)
2)-1 高効率給湯器の設置 (給湯省エネ2026事業)
- 一定の基準を満たした高効率給湯器を導入する場合、機器・性能ごとに設けられた定額を支援。
- 寒冷地において高額な電気代の要因となっている設備(蓄熱暖房機や電気温水器)を一新するため、高効率給湯器の導入とあわせて、こうした設備を撤去する場合には、加算補助。
- 補助金は、給湯器導入を行う事業者等の申請に基づき、消費者等に補助金全額が還元されることを条件に、当該事業者に対して交付予定。
2)-2 既存賃貸集合住宅向けエコジョーズ等取替(賃貸集合給湯省エネ2026事業)
- 既存賃貸集合住宅において、一定の基準を満たしたエコジョーズまたはエコフィールに取り替える場合、機能ごとに設けられた定額を支援(従来型給湯器からの取替に限る)
- 補助金は、給湯器の交換を行う事業者等の申請に基づき、賃貸オーナー等に補助金全額が還元されることを条件に、当該事業者に対して交付予定。
- 補助額は、追い焚き機能なしの場合は5万円/台、追い焚き機能ありの場合は7万円/台として、これに工事内容によっては追加の補助(今後公表)
3) 開口部・躯体等の省エネ改修工事(みらいエコ住宅2026事業)
- 対象住宅の省エネ性能に応じて、一定の省エネ性能を確保するリフォームに対して支援(「『リフォーム前の省エネ性能』と『リフォーム後の省エネ性能』に応じた改修部位や設備の組合せ」をあらかじめ指定・公表)
- 住宅の子育て対応改修、バリアフリー改修等を行う場合に、工事内容に応じた定額を支援。
| 対象住宅 | 改修工事 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 平成4年基準を満たさないもの | 平成28年基準相当に達する改修 | 上限:100万円/戸 |
| 平成11年基準相当に達する改修 | 上限:50万円/戸 | |
| 平成11年基準を満たさないもの | 平成28年基準相当に達する改修 | 上限:80万円/戸 |
| 平成11年基準相当に達する改修 | 上限:40万円/戸 |
2025「子育てグリーン支援事業」との違い

ここでは「みらいエコ住宅2026事業」と、2025年度実施の「子育てグリーン支援事業」の違いについて解説します。目的や基本的な方向性は引き継がれていますが、補助額や細かい条件・対象が見直されています。
①リフォームの補助金額上限がアップ!
| 年度 | 2025子育てグリーン支援事業 | みらいエコ住宅2026事業 |
|---|---|---|
| 補助金額 | 40~60万円 | 40~100万円 |
2025子育てグリーン支援事業の補助上限金額は「40~60万円」でしたが、みらいエコ住宅2026事業では「40~100万円」に増額されています。
補助対象は「開口部、外壁、屋根・天井又は床の断熱改修、エコ住宅設備の設置の組合せ、住宅の子育て改修、バリアフリー改修、空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事等」となっており、とくに「平成28年基準相当に達する改修」であれば上限100万円の手厚い補助が受けられるのが特徴です。
②新築の補助金額上限は減額
| 住宅の種類 | 2025 | 2026 |
|---|---|---|
| GX志向型住宅 | 160万円 | 110万円(1~4地域:125万円) |
| 長期優良住宅 | 80万円 ※古家の除却を行う場合:100万円 | 75万円(1~4地域:80万円) ※古家の除却を行う場合:93万円(1~4地域:100万円) |
| ZEH水準住宅 | 40万円 ※古家の除却を行う場合:60万円 | ZEH水準住宅:35万円(1~4地域:40万円) ※古家の除却を行う場合:55万円(1~4地域:60万円) |
一方で新築の場合、GX志向型住宅の上限は「160万円→110万円」と50万円の減額、長期優良住宅とZEH水準住宅はそれぞれ5万円の減額となっています。新築よりもリフォームの補助金額が多いのは、空き家問題の解消や3世代同居の促進といった狙いがあると考えられます。
③着手日ルールが「基礎工事」に変更

2025年実施の「子育てグリーン住宅支援事業」では、『2024年11月22日以降に「基礎工事より後の工程の工事」に着手したもの』が対象となっていました。
しかし「みらいエコ住宅2026事業」では『2025年11月28日以降に「基礎工事」に着手したもの』に変更となっています。
つまり2025年11月27日以前に基礎工事以降の工程に着手している物件は、申請不可となります。補助金の活用を検討されている場合は、工期のスケジュールを確認しておくと安心です。
まとめ
みらいエコ住宅2026事業は、住宅の省エネ化を促進するための総合的な支援制度であり、新築・リフォームの双方をカバーする点が大きな魅力です。とくにリフォームでは補助上限額が最大100万円へ引き上げられ、既存住宅の性能向上を強力に後押しする内容となっています。
ただし着手日のルール変更も含め、申請の際はスケジュール管理がより重要になります。制度を正しく理解して、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。