撤去加算措置とは|給湯省エネ2025事業の予算上限迫る

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「撤去加算措置」についてピックアップします。「給湯省エネ2025事業」では、高効率給湯器の設置に合わせて既存設備を撤去する際に補助が受けられる「撤去加算措置」が設けられています。
電気蓄熱暖房機や電気温水器の撤去に対し、内容に応じた定額が加算される仕組みで、工事写真の提出や申請時期にも注意が必要です。本記事では、この撤去加算措置の対象や補助金額、申請上の注意点を詳しく解説します。
給湯省エネ2025事業とは
「給湯省エネ2025事業」は、家庭における高効率給湯器の導入を促進することで省エネルギー化を推進するための補助金制度です。
この補助金制度は、国土交通省・経済産業省・環境省が協働で行っている「住宅省エネ2025キャンペーン」の一つに位置付けられています。具体的には新築・リフォームで高効率給湯器を設置する際に、補助金が交付されます。
令和6年度補正予算「580億円」が割り振られており、カーボンニュートラルの実現に当たって、住宅の断熱や省エネで温室効果ガスを削減することが重要です。
【公式サイト】給湯省エネ2025事業
補助金金額
設置する給湯器の種類によって、補助金額が異なります。「基本額」に加えて、要件を満たす場合には「加算額」が補助される仕組みです。補助金の交付が受けられる台数は、下記の通りです。
- 戸建住宅:いずれか2台まで
- 共同住宅等:いずれか1台まで
エコキュート
エコキュートは、ヒートポンプの原理を⽤いた給湯システムです。具体的には夜間電力や太陽光で発電した電力を有効に利用してお湯を作り、貯湯タンクに蓄えることで必要なときにお湯が使えるようになっています。
| 基本額 | 6万円/台 |
| 加算額 | A:10万円/台、B:12万円/台、AB両方:13万円/台 |
- A要件:インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで、昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するものであること。
- B要件:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、aまたはbに該当するものであること。(a.2025年度の目標基準値(JIS C 9220 年間給湯保温効率または年間給湯効率(寒冷地含む))+ 0.2以上の性能値を有するもの、または、b.おひさまエコキュート)
ハイブリッド給湯機
ハイブリッド給湯機とは、ヒートポンプ給湯機とガス温水機器を組み合わせたものです。ふたつの熱源を効率的に用ことで、高効率な給湯が可能となります。
| 基本額 | 8万円/台 |
| 加算額 | A:13万円/台、B:13万円/台、AB両方:15万円/台 |
- A要件:インターネットに接続可能な機種で、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能を有するものであること。
- B要件:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、以下の要件に該当するものであること。(一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格(JGKAS A705)に基づく年間給湯効率が116.2%以上のものであること。)
エネファーム
エネファームとは、都市ガスやLPガス等から水素を作り、その水素と空気中の酸素の化学反応により発電するタイプです。エネルギーを燃やさずに直接利⽤することで、⾼い発電効率が得られます。また発電の際に発生する排熱を回収し、給湯器としての役割も果たします。
| 基本額 | 16万円/台 |
| 加算額 | C:20万円 |
- C要件:ネットワークに接続可能な機種で、気象情報と連動することで、停電が予想される場合に、稼働を停止しない機能を有するものであること。
撤去額
給湯器の設置に合わせて、以下のいずれかの撤去工事をする場合には補助金が交付されます。
| 工事の内容 | 補助額(加算額) | 補助上限 |
|---|---|---|
| 電気蓄熱暖房機の撤去 | 8万円/台 | 2台まで |
| 電気温水器の撤去 | 4万円/台 | 戸建住宅:いずれか2台まで共同住宅等:いずれか1台まで |
期間・スケジュール
- 事業者登録の開始:2025年3月10日~(予定)
- 交付申請(予約含む)の開始:2025年3月下旬~順次(予定)
- 契約期間:着工日以前
- 着工期間:2024年11月22日以降(※着工時期に疑義がある場合、追加調査等の対象になることがあります。)
- 交付申請期間:申請受付開始~予算上限に達するまで(遅くとも2025年12月31日まで)(予定)
給湯省エネ2025は、予算が上限に達し次第終了となります。申請状況等は公式サイトで随時公表されるため、利用される場合には確認しておきましょう。
【公式サイト】給湯省エネ2025事業
「撤去加算措置」とは
給湯省エネ2025事業では、給湯器の設置に合わせて撤去工事をする場合、内容に応じた定額が補助されます。
撤去加算措置の対象・金額
撤去加算措置の概要は、下表の通りです。
| 工事の内容 | 補助額(加算額) | 補助上限 |
|---|---|---|
| 電気蓄熱暖房機の撤去 | 8万円/台 | 2台まで |
| 電気温水器の撤去 | 4万円/台 | ①で補助を受ける台数まで |
具体的には、高効率給湯器の設置に伴い2024年11月22日以降に撤去する工事が対象です。高効率給湯器の設置の交付申請時にあわせて申請する必要があります。
ただし子育てグリーン住宅支援事業において高効率給湯器の補助を受ける場合、撤去による加算は受けられません。また、エコキュートの撤去も加算対象となりません。
工事前・工事後写真
交付申請時には、導入する給湯器の工事前・工事後写真の提出が必要です。
撤去加算措置の注意点
「電気蓄熱暖房機」または「電気温水器」の撤去加算を受ける場合、工事写真の提出が必要です。ここでは、撤去加算措置を活用する際の注意点を解説します。

電気蓄熱暖房機は、「撤去中写真・撤去後写真」の提出が必要です。前面パネルがついたままの状態はレンガおよび中の構造が確認できないため、「撤去前」となります。この場合は不備となってしまうので、注意しましょう。

電気温水器は、「撤去前写真・撤去する電気温水器の銘板写真・撤去後写真」の提出が必要です。銘板写真では、下記の項目が確認できることが条件です。
- 電気温水器であること
- 製品型式(型番)
ただし経年劣化等により銘板の文字が消えている等、電気温水器であることが確認できない場合は、「 配管の本数が確認できる写真/保証書」のいずれかを代替書類として提出する必要があります。
上限台数がある
撤去加算措置の上限は「最大2台」となっています。ただし戸建住宅か共同住宅かによっても条件が異なるため、利用を検討する際には確認しておきましょう。
【参考】給湯省エネ2025事業|事業概要
締切に注意

撤去加算措置は予算額32億円が目途で、予算額に達し次第、終了を予定しています。2025年10月時点で「撤去加算の予算に対する補助金申請額の割合:97%」となっており、早めの申請が推奨されています。
まとめ
撤去加算措置は、給湯省エネ2025事業における高効率給湯器導入を後押しする補助制度の一つです。電気蓄熱暖房機や電気温水器を撤去する場合、最大8万円/台までの加算が受けられますが、提出写真の不備や申請期限には注意が必要です。
とくに予算枠は限られており、2025年11月時点で残りわずかとなっています。利用を検討している場合は、早めの準備と正確な申請が重要です。