2025注文住宅の価格相場|世帯年収やローンの平均・中央値も解説

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「2025注文住宅の価格相場」についてピックアップします。2025年現在、注文住宅を取り巻く環境はコスト高や金利変動など大きな転換期を迎えています。
そこで本記事では国土交通省「住宅市場動向調査」の最新データをもとに、注文住宅の価格内訳や世帯年収とのバランス、ローンの借入傾向について整理しているのが特徴です。とくに顧客提案や資金計画支援の際に押さえておきたいポイントを、平均値・中央値の違いや金利タイプの動向も含めて解説します。
2025注文住宅の価格相場が知りたい!
国土交通省では、2001年度より「住宅市場動向調査」を実施しています。これは総務大臣の承認を受けた一般統計調査で、個人の住宅建設に関して影響を受けたことや資金調達方法等についての実態を把握できるのが特徴です。
2025年7月に発表された「令和6年度住宅市場動向調査」では、従来の項目に加えて「住宅取得時に購入した耐久消費財の合計金額」、「住宅ローン減税適用の住宅区分」が新設されています。また社会情勢に合わせて新たに「若者夫婦世帯」や、平均値に加え中央値の集計も追加されているのがポイントです。
本記事ではデータを基に、2025年最新の注文住宅価格相場について詳しく解説します。
【参考】国土交通省|令和6年度住宅市場動向調査
注文住宅の価格内訳

ここではまず、注文住宅の価格内訳について整理しておきます。
建物(上物)建築費用
建物費用とは、住宅そのものを建築するために必要な費用です。具体的には基礎工事、構造体の建設、内装・外装の仕上げ、設備機器(キッチン・浴室・トイレなど)の設置などが含まれます。
また、設計料や工事管理費もこの中に含まれる場合があります。ただし構造(木造・鉄骨造など)、グレード、延床面積等によって費用に幅が生じる点には注意が必要です。
土地取得費用
土地取得費用とは、住宅を建てるための土地を購入する際にかかる費用です。土地の価格そのものに加え、購入時に必要な仲介手数料や登記費用といった関連費用も含まれます。
一般的に、建て替え等の場合には費用が掛かりません。ただし土地によっては整地や地盤改良、上下水道やガスなどインフラの引き込みが必要なケースもあり、土地取得に付随するものとして扱われることがあります。
諸費用
諸費用とは、建物と土地以外に必要となるさまざまな付帯的費用の総称です。代表的なものとしては、住宅ローンを利用する際の手数料や保証料、火災保険・地震保険の加入費用、建物の登記関連費用、引越し費、仮住まい費用、家具・家電の購入費などがあります。
また門扉やフェンス、駐車スペースなどの外構工事費も含まれることがあります。住宅計画段階では把握しづらい部分ですが、費用において重要な要素です。
2025最新|注文住宅価格相場を解説

ここでは国土交通省「令和6年度住宅市場動向調査」を基に、2025最新の注文住宅価格相場を解説します。
①注文住宅価格相場|土地あり(土地代込み)
「注文住宅」とは、自分自身が居住する目的で建築した住宅のことを指します。よく似た用語の「分譲住宅」にも戸建住宅タイプは存在しますが、こちらは建て売り住宅又は分譲を目的として建築されている点が異なります。
ここでの「平均値」は、すべての数値を合計してデータの個数で割ったものです。一方で「中央値」は、データを小さい順に並べた時に真ん中に位置する値という違いがあります。
平均値は極端な値(外れ値)に引っ張られやすいのがデメリットですが、中央値はその影響が少なく、実態をより正確に表していると考えられます。
平均値
「注文住宅|土地あり(土地代込み)」購入資金の平均値は、「6188万円」です。既存(中古)住宅・分譲住宅・民間賃貸住宅・リフォーム住宅といった他の種類と比べて最も高い金額となっています。
中央値
「注文住宅|土地あり(土地代込み)」購入資金の中央値は「5030万円」です。ランキング2位の分譲集合住宅(4500万円)と比較して、約500万円高い金額となります。
②注文住宅価格相場|土地なし
次に、さらに細かく「土地なし」の注文住宅価格相場について解説します。いわゆる「建て替え」に該当し、親族から土地を引き継ぐ場合等が挙げられます。
平均値
「注文住宅|土地なし」購入資金の平均値は「5214万円」です。土地あり(土地代込み)との差額は、974万円でした。
中央値
「注文住宅|土地なし」購入資金の中央値は「3900万円」です。しかし自己資金比率は「土地あり」が32.2%、「土地なし」が57.1%と、土地なしの方が資金計画に余裕があることが読み取れます。
2025注文住宅の傾向|トレンド推移を知る

ここでは、2025注文住宅の傾向についてまとめて解説します。面積の広さや住宅ローンの傾向を知ることで、住宅計画にお役立てください。
①広さ
まず、住宅に関する広さのデータについてご紹介します。
延べ床面積
延べ床面積とは、各階床面積の合計のことを指します。注文住宅の延床面積平均値は「113.8㎡」です。この面積は約34.4坪であり、3LDK~4LDKの間取りが可能となります。
上図「子育て世帯」は「115.4㎡」、「若者夫婦世帯」は「102.0㎡」となっており、子育て世帯はより広い面積を選ぶ傾向があることが分かります。
敷地面積
敷地面積とは、住宅及びその付属建物の敷地となっている土地の面積のことを指します。戸建ての注文住宅取得世帯の敷地面積(住み替え後)は、「全国平均:237.0㎡、三大都市圏平均:185.6㎡」です。住み替え・建て替え前に比べて、全国平均で15.7㎡、三大都市圏平均で12.2㎡狭くなっています。
令和2年度(2020年)と比較するとどちらも減少傾向にあり、これはとくに都市圏における土地価格高騰によるものと考えられます。
②世帯年収・住宅ローン
ここでは、
世帯年収
世帯年収(税込)は注文住宅(三大都市圏)が最も高く、平均値は「1,042 万円」です。次いで注文住宅(全国)の平均値が「907 万円」となっています。
ただし割合としては「世帯年収600~800万円」が最も多いことから、高年収世帯が平均値を引き上げている可能性があるため注意が必要です。
住宅ローン年間返済額
住宅ローン年間返済額は、「全国平均:144.8万円、三大都市圏平均:158.0万円」です。そして年収に対する住宅ローンの返済負担率は全国平均で18.4%、三大都市圏平均で18.3%となっています。
三大都市圏の方が返済額が多めであるものの、負担率が全国と同程度なのは世帯年収の差によるものと考えられます。
金利タイプ
注文住宅取得世帯における民間金融機関からの借入金の金利タイプは「変動金利型」が最も多く、「84.5%」です。変動金利型は金利水準が固定型に比べて低く、初期の返済負担を抑えられることから人気です。
とくに低金利が長期間続く近年の金融環境では、「当面の支払いを軽くしたい」というニーズと合致します。また将来的な金利上昇リスクを許容できたり、短期間での繰上返済が可能だったりする家庭では、変動型は合理的な選択肢とされています。
一方で、政策金利の上昇により、将来的には変動金利も上がる見込みです。すでに一部の銀行では、新規借入だけでなく既存借入者にも順次金利上昇が適用されつつあります。
こうした背景から、「金利上昇リスクをどこまで許容できるか」が金利タイプ選びの重要な判断軸となりつつあります。決断の際には、金利見通しと自身の返済余裕などを慎重に検討することが大切です。
③「選ばれる注文住宅」のポイント|購入の決め手を知る
「令和6年度住宅市場動向調査」では、住宅購入時の意思決定に関するアンケートも実施されています。ここでは「購入の決め手」となったポイントについてまとめてご紹介します。
傾向を読み解くことで顧客ニーズを把握し、適切な提案に活用してみてください。
信頼できる住宅メーカーかどうか
「住宅の選択理由」としては、注文住宅取得世帯では「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」が55.3%で最も多くなっています。これは分譲戸建て住宅や集合住宅には無い傾向です。
注文住宅は間取りや設備、デザイン等をオーダーメイドで作り上げることから打ち合わせ期間が長く、住宅メーカーとの信頼関係がより重視されることが分かります。
高気密・高断熱住宅基準をクリアしているか
住宅の選択理由となった設備等については、注文住宅取得世帯では「高気密・高断熱住宅だから」が68.2%で最も多くなっています。次点がデザイン性となっていることから、省エネ性能や快適性の方がより重視されていることが分かります。
インターネットでの情報提供は必須
施工者・物件に関する情報収集方法としては、「住宅展示場」が最も多いという結果でした。続いて「インターネット」も多く、モデルハウスでの実物確認とオンライン上での情報収集が同程度のウエイトを占めています。
このことから、インターネット上での自社サイト運営やSNSのPRの重要性が浮き彫りとなりました。
まとめ
2025年の注文住宅市場においては、建築費・土地取得費・諸費用を含めた総費用構成の把握や、顧客ニーズに即した提案が一層求められています。
とくに価格相場や世帯年収とのバランス、ローン借入の動向については、国土交通省「住宅市場動向調査」のデータをもとに、マーケティングや営業戦略に活かすべき重要指標です。今後の住宅供給においては、価格構成と融資環境の変化を踏まえた柔軟な対応が鍵となります。