【2025年版】省エネ住宅とは?住宅ローン控除の適用基準や確認方法を解説

電力などのエネルギー消費量を抑えながら生活できる省エネ住宅は、快適な住環境を確保するうえで欠かせない「これからの家づくり」です。そして現在、新たに国土交通省より「省エネ住宅のススメ」というパンフレットが公開されました。
この記事では、パンフレットに掲載されている省エネ住宅について詳しく深掘りしたのち、新しく家を建てたい人たちを悩ませる住宅ローン控除や義務化、補助金といった情報について解説します。
目次
省エネ住宅とは
省エネ住宅とは、省エネルギーで1年、快適に生活できる住宅のことです。
例えば、断熱の力を活用して、室内の温かい(涼しい)空気を外に逃がさないようにすることで、冷暖房の使用時間を短く抑えられるようになります。また日射遮へいを施すことにより、外部から熱気(冷気)が入りにくい家づくりを実現できます。
家庭で起こるエネルギー消費の約3割が冷暖房に関わる家電製品だと言われていることから、ただ快適な環境を過ごせるだけでなく、電気代の節約にもつながるのが魅力です。
省エネ基準適合は原則義務化
結論として、2025年4月1日以降の家づくりでは、省エネ住宅の条件となる「省エネ基準適合」が義務づけられています。
現行基準の対象 (2025年3月31日まで) | 改正後の対象 (2025年4月1日から) | |
適合基準 | ・大規模非住宅・中規模非住宅 | ・大規模非住宅・中規模非住宅・大規模住宅・中規模住宅・小規模非住宅・小規模非住宅 |
届出義務 | ・大規模住宅・中規模住宅 | - |
説明義務 | ・小規模非住宅・小規模非住宅 | - |
これは2022年6月に改正された建築物省エネ法で定められたルールであり、新しく建てる家は必ず省エネ基準を満たしていなければなりません。
なお義務化となるのは2025年4月1日からですので、2025年3月31日までに着工(工事を始める)する建築物であれば、現行の基準が適用されます。工事スタート日が基準ですので、相談や設計開始日が3月31日ではいけない点に注意してください。
省エネ基準に適合する住宅の特徴
省エネ基準に適合する住宅を一言で表すと「断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の住宅」です。
ここでは基準に関係する「断熱等性能等級」「一次エネルギー消費量等級」という2項目について見ていきます。
省エネ基準適合の断熱等性能等級とは
まず断熱等性能等級とは、建物の内部・外部の熱が入れ替わらないようにする断熱の性能を表すランクのことです。次のように基準がまとめられています。
断熱等性能等級 | 制定された年 | 概要 |
等級1 | なし | 省エネなし |
等級2 | 1980年 | 低レベルの省エネ性能 (旧省エネルギー基準) |
等級3 | 1992年 | 断熱により一定レベルの省エネ性能を保持 (新省エネルギー基準) |
等級4 | 1999年 | 主構造部の断熱のほか、複層ガラスを設置するなど開口部への断熱対策が必要 (次世代省エネルギー基準) |
等級5 | 2022年(4月) | 外皮平均熱貫流率にて等級4よりも高いことを証明 (ZEH基準) |
等級6 | 2022年(10月) | 暖房の使用頻度を減らせる (省エネ基準 エネルギー消費量-30%) |
等級7 | 2022年(10月) | 暖房がなくても快適 (省エネ基準 エネルギー消費量-40%) |
例えば、断熱等性能等級4は、次世代省エネルギー基準と呼ばれる一定基準を満たさなければなりません。そして、等級が上がるたびに住宅に求められる性能も高くなり、その分だけ工事費が増加しやすくなります。
省エネ基準適合の一次エネルギー消費量等級とは
一次エネルギー消費量等級とは、住宅が1年間に消費するエネルギー量を数値化したランクのことです。次の計算によって消費量等級がわかります。
BEI = 設計段階で予想されるエネルギー消費量 ÷ 標準的な性能を持つ住宅のエネルギー消費量
等級 | BEI |
等級3 | 1.1以下 |
等級4 | 1.0以下 |
等級5 | 0.9以下 |
等級6 | 0.8以下 |
つまり省エネ基準を満たすためにはBEIが1.0以下になるよう、住宅を設計しなければなりません。
省エネ住宅かどうかの確認方法
すでに家を建てており、自宅が省エネ住宅なのかどうかを確認したい方は、2つの方法を利用できます。
住宅省エネルギー性能証明書をチェックする
出典:国土交通省「住宅省エネルギー性能証明書・様式記載例」
まずは、住宅の購入後に次のような機関・事業者から受け取った「住宅省エネルギー性能証明書」を見ることで、現在の性能を確認できます。
- 登録住宅性能評価機関
- 指定確認検査機関
- 住宅瑕疵担保責任保険法人
住宅の購入時に受け取る売買契約書などとは別に、専門機関から郵送されてくる書類です。もし誤って処分している方は、後述する住宅ローン控除に利用する必要があるため、再発行を依頼するようにしてください。
建築会社・不動産会社に確認する
手軽に省エネ住宅なのかを確認したい方は、家を建ててくれた(売ってくれた)建築会社や不動産会社に確認をとるとよいでしょう。
ただし口頭での確認となることから効力はなく、その確認が何かの契約や手続きに役立つわけではない点に注意してください。
省エネ住宅が受けられる住宅ローン控除【2025年版】
省エネ基準に適合している住宅は、2025年現在、次の控除を受けられます。
建物の状態 | 住宅の性能 | 控除限度額 (令和6年入居) | 控除限度額 (令和7年入居) | 控除期間 |
新築 | 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万~5,000万円 | 4,500万円 | 13年間 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万~4,500万円 | 3,500万円 | ||
省エネ基準適合住宅 | 3,000万~4,000万円 | 3,000万円 | ||
その他 | 補助なし | 補助なし | - |
出典:国土交通省「住宅ローン減税」
※新築住宅の情報のみ掲載
例えば、本記事で紹介している省エネ基準に適合する住宅の場合には、3,000万円〜の控除を受けられます。例えば4,000万円の家を購入し、その年に残高が変わらないという場合には、初年度に3,000万円×0.7%として21万円の所得税控除を受けられるイメージです。
なお住宅ローン控除は住宅ローンの残高に対して計算を行うため、翌年は控除額が変化(減額)する点に注意してください。
省エネ住宅の建築に利用できる補助金一覧
省エネ住宅を建築する際にかかる費用を少しでも節約したいなら、国や自治体などが提供している補助金を活用するのがおすすめです。
補助金の名称 | 補助額 |
子育てグリーン住宅支援事業 | 最大160万円 |
ZEH支援事業 | 最大100万円/戸+α |
なお省エネ住宅向けの補助金は、年度によって補助支援事業が入れ替わっています。上記2つは2025年も継続して提供される予定ですが、時期によって新たな補助金などが出ていないか確認することが重要です。
まとめ
省エネ住宅は快適な住環境が手に入ることはもちろん、お財布に優しかったり、太陽光発電を設置することで災害時にも対応できるようになったりと魅力あふれる住宅です。
なお2025年4月1日以降は省エネ基準の適合が原則義務化されます。省エネ適合かどうかで住宅ローン控除の内容なども変化してくるため、まずは次のような専門機関に相談することからスタートしましょう。
- 建築環境・省エネルギー機能
- 日本設備設計事務所協会連合会
- 建築士事務所協会
- 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
また、建築会社などに直接相談することで、省エネ住宅の話や、適用できる補助金、住宅ローン減税などについて伺うことも可能です。