断熱等級6とは|5は寒い?仕様基準や2030年義務化を解説

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「断熱等級」についてピックアップします。2025年4月に省エネ基準適合の義務化が行われた後は、2030年にZEH義務化も控えています。本記事では断熱等級5・6・7の違いや「5は寒い?」といった疑問について詳しくご紹介していきます。
断熱等級とは
断熱等級とは建物の断熱性能を示す基準で、省エネ性能を評価するために定められています。2022年10月には従来の最高等級5を超える「等級6」と「等級7」が新設され、より高い断熱性能が求められるようになりました。
具体的には等級6はZEH基準を超える高断熱住宅で、等級7は世界最高水準の断熱性能です。高断熱住宅は光熱費削減、快適な室内環境、健康リスクの低減などのメリットがあり、住宅の価値向上にもつながります。
2030年「断熱等級5」ZEHが義務化
2030年までにはZEH水準が最低ラインとなり、基準が段階的に引き上げられる予定です。これは「断熱等級5」に該当し、より高性能な住宅の普及が目指されています。
実際に2025年4月には、新築住宅で省エネ基準適合の義務化(断熱等級4)が定められています。省エネ基準適合住宅について詳しくは、下記記事をご覧ください。
【関連記事】省エネ基準適合住宅とは|確認方法や住宅ローン控除のポイント
断熱等級を上げるメリット

ここでは、断熱等級を上げるメリットについてご紹介します。求められる断熱等級レベルは建物の状況によっても異なりますが、基本的には等級が高い方がおすすめです。
電気代が安くなる
断熱等級が高い住宅は外気の影響を受けにくく、室内の温度を一定に保ちやすくなります。そのため冷暖房の使用頻度や負荷が減り、電気代の削減につながるのがメリットです。
特に冬場の暖房や夏場の冷房にかかるコストが大幅に抑えられるので、年間を通じて光熱費の節約が可能です。また太陽光発電と併用すれば、売電で利益が出る場合もあります。
省エネで環境にやさしい
高断熱住宅は冷暖房のエネルギー消費を抑えられるため、二酸化炭素(CO₂)の排出量を削減できます。特に断熱等級6・7の住宅ではエネルギーロスが少なく、環境負荷を大幅に軽減できるのが特徴です。
政府は2050年のカーボンニュートラル達成を目標にしており、住宅の高断熱化は重要な施策の一つです。再生可能エネルギーと組み合わせることでより持続可能な住環境を実現でき、エコな暮らしにつながります。
健康的な暮らしが実現する
断熱性の高い住宅では室内の温度が安定しやすく、冬の寒さや夏の暑さによる体への負担を軽減できます。特に冬場の急激な温度変化によるヒートショックのリスクを抑え、心疾患や脳卒中の予防につながります。
また結露が発生しにくいことからカビやダニの繁殖を防止でき、アレルギーや呼吸器系の疾患リスク減少も可能です。このように高断熱住宅は小さなお子さまから高齢の方まで快適に暮らせる環境を提供し、健康的な生活を支えます。
補助金が利用できる場合がある
国や自治体では、省エネ住宅の普及を促進するために高断熱住宅への補助金制度を設けています。
例えば2025年度は「子育てグリーン住宅支援事業」などがあり、新築・リフォームの際に助成を受けられる場合があります。特に断熱等級6・7の住宅は優遇されるケースが多く、補助金を活用することで建築費用を抑えられます。
ただし各自治体の補助金制度は地域ごとに異なるため、最新の情報を確認して賢く活用することが重要です。
【関連記事】2025子育てグリーン住宅支援事業とは|GX志向型住宅が新設
断熱等級の基準値|地域区分による違い
ここでは、断熱等級の具体的な基準値について整理しておきます。そもそも断熱性能は、「UA値(外皮平均熱還流率)」と「ηAC値(冷房機の平均日射熱取得率)」によって算出します。
それぞれについて地域区分に応じた等級で評価し、いずれか低いほうの等級を表示する仕組みです。具体的には「UA値の等級が5・ηAC値が4」だった場合、「断熱等級は4」となります。
日本は南北に細長いため、全国を8つの地域区分に分類して断熱等級が設定されています。例えば東京23区は「6地域」に該当します。
具体的にどの地域区分に該当するかは、国土交通省による「地域の区分・年間の日射地域区分・暖房期の日射地域区分検索ツール」で確認可能です。
【参考】国土交通省|住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム
UA値
UA値は建物からの熱の逃げにくさを表し、具体的な数値は下表のようになります。「数値が小さい方が、省エネ性能が高い」という意味です。ここでは、断熱等級5~7をご紹介します。
断熱等級 | 地域区分1 | 地域区分2 | 地域区分3 | 地域区分4 | 地域区分5 | 地域区分6 | 地域区分7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
7 | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | 0.26 |
6 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 |
5 | 0.40 | 0.40 | 0.50 | 0.60 | 0.60 | 0.60 | 0.60 |
ηAC値
ηAC値は建物への日射熱の入りやすさを表し、UA値と同様に「数値が小さい方が、省エネ性能が高い」となっています。冷房期を対象とした基準なので、寒冷地である1~4地域の基準は設けられていません。
断熱等級 | 地域区分5 | 地域区分6 | 地域区分7 | 地域区分8 |
---|---|---|---|---|
7 | 3.0 | 2.8 | 2.7 | – |
6 | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 5.1 |
5 | 2.8 | 2.8 | 2.7 | 6.7 |
断熱等級7とは|冬の室温差「3.5℃」
断熱等級7は、2022年10月に新設された最高レベルの断熱性能基準です。厳しい寒冷地でも、快適な室内環境を維持できます。
横浜市の資料では、断熱等級7の場合「冬の夜23時のLDと浴室の室温差は3.5℃」というデータがあります。部屋の六面の断熱性能を高めることで暖かい空気が室内に留まり、部屋間の温度ムラが解消されることが理由です。
メリット
断熱性能が極めて高いため、冷暖房費の大幅な削減が可能です。室内の温度が安定しやすく、結露やカビの発生リスクが低減されます。
またヒートショックの予防にも効果的で、健康的な住環境を実現できます。ZEHとの相性が良く、環境負荷の少ない持続可能な住宅を目指せます。
デメリット
高性能な断熱材や窓ガラスの導入が必須となるため、建築コストが非常に高くなります。また施工技術も求められ、適切に施工されないと期待通りの性能が発揮できない点にも注意が必要です。
断熱等級6とは|冬の室温差「5.8℃」
断熱等級6は、ZEH基準を超える高断熱性能を持つ住宅です。日本の一般的な地域では快適な住環境を確保でき、省エネ性能にも優れています。
断熱等級6の場合「冬の夜23時のLDと浴室の室温差は5.8℃」となっています。
メリット
冷暖房の効率が高まり、光熱費の削減につながります。結露が発生しにくくカビやダニのリスクを抑えられることで、健康的な暮らしが実現するのもメリットです。
さらに補助金や減税制度の対象となることが多く、導入コストの負担を軽減できる場合があります。断熱等級7よりもコストを抑えながら、高断熱性能を得られる点が魅力です。
デメリット
一般的な住宅よりも高性能な断熱材やサッシを使用するため、建築費が上がります。また地域によっては断熱等級5との差をあまり感じられず、費用対効果が低くなるケースもあります。
適切な換気設計を行わないと室内の湿気がこもってしまうこともあるため、注意しましょう。
断熱等級5とは|冬の室温差「6.7℃」
断熱等級5はZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の断熱基準と同等であり、省エネ性能が高く住宅の快適性も向上します。断熱等級5の場合「冬の夜23時のLDと浴室の室温差は6.7℃」となっています。
メリット
国が推奨するZEHレベルの断熱性能を確保できるため、光熱費の節約につながります。断熱等級4と比べて外気温の影響を受けにくくなり、夏の暑さや冬の寒さを軽減できます。
また補助金や住宅ローンの優遇措置を受けられる場合があり、環境にも配慮した住宅づくりが可能です。
デメリット|断熱等級5は「寒い」?
北海道や東北などの寒冷地では、等級5でも「寒い」と感じる場合があります。特に窓や玄関ドアの断熱性が不十分だと、外気の影響を受けやすくなり、快適性が損なわれることがあります。
また断熱等級6や7と比べると長期的な省エネ効果がやや劣るため、より高性能な断熱を求める場合は追加コストが必要になることも多いです。
断熱等級を高めるための仕様基準
ここでは、断熱等級を高めるための具体的な仕様基準をご紹介します。ただし実際の建物の状況によっては当てはまらない場合があるため、あくまでも計画時の参考としてお役立てください。
断熱材の厚みを確保する
高断熱を実現するには、断熱材の厚みをしっかりと確保することが重要です。具体的には、下記のような仕様が求められます。
- 床:押出法ポリスチレンフォーム100mm 熱伝導率0.022
- 壁:高性能グラスウール 24-36 105mm 熱伝導率0.036
- 天井:高性能グラスウール 16-38 300mm 熱伝導率0.038
高断熱な窓サッシ・ドアを選ぶ
窓やドアといった開口部からは熱が逃げやすいため、高断熱タイプの製品を選ぶ必要があります。最近では「樹脂サッシ+Low-Eトリプルガラス・アルゴンガス入り」といったタイプが人気です。
初期費用はある程度掛かりますが、ランニングコストや補助金の活用を考慮するとコストパフォーマンスに優れた方法と言えます。
断熱リフォームを行う|断熱等級6も実現
積水化学工業は、外壁の断熱性能を向上する「あったかハイムTR」を発売しています。こちらは断熱リノベーション工法で、既存外壁を二重壁化して屋外側に断熱材を付加する仕組みとなっています。
75mm 厚の断熱材の追加設置により、外壁部の熱の伝わりやすさを施工前の約1/3に軽減できるのが特徴です。断熱性能は等級6相当で、年間約 7.8 万円の光熱費削減効果、CO2 排出量は年間 1.4 トン-CO2 削減される試算となっています。
これにより経済メリットや地球環境への貢献も見込まれ、既存住宅の断熱リフォームとして注目が高まっています。
まとめ
断熱等級は、住まいの快適性や省エネ性能に大きな影響を与えるポイントです。2025年に省エネ基準適合が義務化された後、2030年にはZEH義務化が控えています。将来的なカーボンニュートラル実現のためにも、高性能な家づくりが期待されています。