2024年以降の住宅ローン減税の条件が変わりました!控除対象ではなくなる物件とは?

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Category: 省エネ情報

著者:BuildApp News編集部

令和6年の税制改正により、2024年1月以降に住宅ローン減税を受けるためには、省エネ性能が必須となりました。では、どのような物件が対象ではなくなるのでしょうか。また、省エネ性能とは、どのような物件の性能を指すのでしょうか。

この記事では、2024年1月以降の住宅ローン減税の概要を説明したのち、変更となった条件や控除から外れる物件の特徴についてわかりやすく解説します。

住宅ローン減税とは

住宅ローン減税とは、返済期間が10年以上の住宅ローンを利用している人向けに提供されている控除制度です。正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言い、一定の要件を満たしていれば、年末時点における住宅ローンの残債の0.7%分を、所得税(控除しきれない場合は住民税)から控除できます。

【控除のイメージ】

年末時点の住宅ローン残債3,000万円×0.7%=21万円だけ節税できる

住宅ローン減税の期間は最長13年です。なお、控除額は住宅ローンの残債によって計算されるため、年を追うごとに控除額は少しずつ減少していきます。

2024年1月から住宅ローン減税の条件が変化

1972年から継続的に実施されている住宅ローン減税ですが、2024年1月以降、一部の条件に変更が加わりました。以下に、主な変更点を整理します。

  • 省エネ基準を満たす住宅のみが控除を適用される
  • 借入限度額が引き下げられた

ちなみに今回の改正が加えられた背景として挙げられるのが、地球温暖化や気候変動への対策、および快適な住生活の確保というポイントです。発電所による発電から生み出されるCO2といった温室効果ガスを抑制できるエコな住宅を普及するために、省エネ性能の高い住宅を控除する仕組みがつくられました。

これから新築住宅を建てようと考えている方、リフォームを検討している方は、改正以前と控除の条件が変わっている点に気を付けてください。

住宅ローン減税は2025年以降はどうなる?

住宅ローン減税は、2025年も控除の対象に含まれています。2025年の申請でも税制改正のルールが引き継がれているので、2025年も問題なく控除を申請できます。

ただし2026年以降の制度継続については現在未公開です。今後どのように変化するかについては未定ですが、例年の流れを考慮すると、おそらく2025年以降も継続していく見込みとなります。

2024年1月以降における住宅ローン減税の改正ポイント

2024年1月以降、住宅ローン減税で何が変わったのかわからないという人も多いでしょう。参考として以下に、改正前と改正後における控除の違いを整理しました。

2024年1月以前2024年1月以降主な変化
認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
上限5,000万円控除上限4,500万円控除・上限額が低下した
・省エネ基準に適合している証明書の提出が必要になる
ZEH水準省エネ住宅上限4,500万円控除上限3,500万円控除同上
省エネ基準適合住宅上限4,000万円控除上限3,000万円控除同上
省エネに適合しない住宅上限3,000万円控除控除なし
※2023年までに建築確認を受けている場合にのみ上限2,000万円控除
対象外になる

参考:国土交通省「住宅の供給に携わる事業者の皆様へ」を参考

各改正のポイントについて、詳しく解説していきます。

省エネ基準に適合した家でなければ控除を受けられない

まず2024年1月以降は「省エネ基準に適合した家」を取得するための住宅ローンでなければ、控除を受けられなくなりました。

省エネ基準に適合した住宅とは、断熱当性能等級4以上の建物、かつ一次エネルギー消費量等級4以上の建物のことを指します。参考として以下に、上記の等級を確認する方法をまとめました。

  • 住宅性能評価機関や保証検査機関から「住宅性能評価書」を取得する
  • BELS評価機関から「BELS評価書」を取得する

一般的には、不動産会社や住宅メーカーが、省エネ基準を満たしているのかどうかを説明してくれます。そのなかでも、省エネ基準に適合していない住宅を購入したという場合には、住宅ローンの控除を受けられなくなるので注意してください。

省エネ性能で借入限度額が異なる

2024年1月以降の改正に伴い、住宅ローン減税の借入限度額が減少しました。全体的に500万~1,000万円も限度額が下がっており、改正前と比べて節税の効果が薄まっている状況です。

参考として以下に「省エネ基準適合住宅」を想定した、初年度における節税効果の違いをまとめました。

2024年1月以前2024年1月以降
初年度の残債4,000万円4,000万円
控除が適用される金額4,000万円3,000万円
控除額(×0.7%)28万円21万円

以上より、同じ残債でも限度額を超えていた場合には、改正前よりも控除を受けにくくなるのが特徴です。

ただ今回限度額が下がったことと同じように、今後もさらに限度額が下がることも予想されます。住宅の購入を後々に回していると、さらに限度額が下がってしまうかもしれないため、物件購入やリフォームのタイミングに注意してください。

申請のために証明書の提出が必要になる

これまで住宅ローン減税の申請では一部、省エネ基準以上適合の証明書の提出が不要でした。ただ今回の改正からは、省エネ基準適合住宅以上の場合に証明書の提出が必要となります。

2024年1月以前
の必要書類
2024年1月以降
の必要書類
認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
長期優良住宅認定通知書
低炭素住宅計画認定通知書
同左
ZEH水準省エネ住宅なし建設住宅性能評価書(または住宅省エネルギー性能証明書)
省エネ基準適合住宅なし同上

提出書類を準備しなければ、住宅ローン減税を受けられなくなります。

基本的には不動産会社や住宅メーカーなどが対応してくれる手続きですが、確定申告の際に必要となる書類ですので、売買契約の締結後に証明書を取得したらなくさないように保管しておきましょう。

控除対象・対象外の建築物

住宅ローン減税では、建物の種類によって控除額や控除の有無が変化します。参考として以下に、各建物の特徴を整理しました。

建物の種類建物の特徴
認定長期優良住宅長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のこと
認定低炭素住宅建築物内での生活・活動に伴って発生する二酸化炭素を抑制するために、低炭素化の措置が講じられた建築物
ZEH水準省エネ住宅断熱等性能等級5および一次エネルギー消費量等級6の基準を満たす住宅
省エネ基準適合住宅断熱等性能等級4および一次エネルギー消費量等級4の基準を満たす住宅

項目が上になるほど高い省エネ効果を期待できることから、控除の限度額も増えます。ただし設備の導入などにコストがかかりやすい点に注意しなければなりません。

また「断熱等性能等級が4以下の住宅、または一次エネルギー消費量等級が4以下の住宅」については、上記の項目から外れてしまいます。住宅ローン減税を利用したいなら、等級のチェックが欠かせません。

まとめ

2024年1月より改正された住宅ローン減税では、省エネ基準に適合していない住宅が控除を受けられなくなりました。また、各建物の種類の控除額も500~1,000万円ほど減額しています。

住宅ローン減税のルールは定期的に変更が加えられているため、今後住宅等の購入を考えている方は、最新の住宅ローン減税のルールが本記事と同様なのかをチェックするようにしてください。