家庭用太陽光パネルの耐用年数|寿命が来たらどうする?

目次
トレンドワード:太陽光パネルの耐用年数
「太陽光パネルの耐用年数」についてピックアップします。再生可能エネルギーへの関心の高まりによって、太陽光発電の需要が増えています。特に東京都では、2025年より「太陽光パネル義務化」を行う予定です。
一方で、太陽光パネルの「耐用年数」についての関心も高まっています。そこで本記事では、一般的な太陽光パネルの耐用年数について詳しくご紹介します。
太陽光パネルの耐用年数①法定耐用年数(国税庁)
ここでは国税庁が定める「法定耐用年数」についてご紹介します。ただし法定耐用年数は実際の寿命という訳ではなく、経費として計上可能な年数を税制上定めた年数です。
実際には法定耐用年数以上経っても問題なく使用できることがほとんどで、経費計上の目安として参照されます。
売電用|17年
「売電用」の太陽光発電パネルの法定耐用年数は「17年」です。これは耐用年数表の「電気業用設備・その他の設備・主として金属製のもの」を根拠としており、具体的には家庭用で売電と住宅の両方に太陽光の電気を使っている場合等が該当します。
自家消費型|業種によって異なる
「自家消費型」の太陽光パネルとは、工場や事業所等で自家発電するタイプのことを指します。この場合、工場の種類等によって法定耐用年数が異なります。
例えば自動車工場は「23 輸送用機械器具製造業用設備」に該当し、法定耐用年数は9年です。一方で食料品製造業であれば、10年と見なされます。
【参考】東京都主税局|減価償却資産の耐用年数表
太陽光パネルの耐用年数②物理的年数
ここでは、太陽光パネルの「物理的」な耐用年数についてご紹介します。製品が実際に使えなくなるまでの寿命であり、法定耐用年数よりも長いのが特徴です。
太陽光パネル(太陽電池モジュール)|25~30年程度
資源エネルギー庁によると、太陽光パネル(太陽電池モジュール)の物理的な耐用年数は25~30年程度とされています。高品質なパネルでは30年以上使用できるケースもあり、実際には耐用年数を超えても発電し続けることが可能です。
ただし長期間使用すると発電効率が低下し、20~25年後には当初の発電量より減ってしまうのが一般的です。また風雨や紫外線による劣化、ホットスポット現象などが寿命を縮める要因となるため、定期的な点検やメンテナンスが推奨されます。
【参考】資源エネルギー庁|2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題
パワーコンディショナ(パワコン)|10~15年程度
パワーコンディショナとは、太陽光パネルで発電した直流電力を交流電力に変換する装置のことを指します。耐用年数は、10~15年程度です。
太陽光パネル部分よりも寿命が短いため、システム全体を長期間運用するには1~2回の交換が必要になる可能性があります。寿命が近づくと変換効率が低下して発電量に影響を及ぼすので、異常な発熱や異音、電圧異常などの兆候が見られたら早めの点検や交換を検討することが重要です。
売電メーター(スマートメーター)|10年程度
売電メーターとは、太陽光発電によって生み出された電力を電力会社に売るために必要な装置です。耐用年数は10年程度とされています。
最近ではスマートメーターへの切り替えが進められており、1つのメーターで供給電力量・太陽光発電設備等からの発電量の双方を計量できるのが一般的です。
ただし法律で定められた計量器の検定有効期間があるため、定期的な交換が義務付けられています。故障すると正確な売電量が計測できなくなるので、電力会社や計量器メーカーの推奨する交換時期を確認して適切に対応することが重要です。
蓄電池|10~15年程度
蓄電池を使用することで、太陽光発電で得られたエネルギーを蓄えられます。耐用年数は使用環境や充放電回数によって異なりますが、10~15年程度が一般的です。
特にリチウムイオン電池の場合、充放電を繰り返すことで徐々に蓄電容量が減少し、最終的には十分な電力を貯められなくなります。また高温環境での使用や過放電・過充電を繰り返すと劣化が早まるため、適切な温度管理や定期的なメンテナンスが重要です。
太陽光パネルの耐用年数③主な保証期間
ここでは、各メーカーごとの保証期間についてご紹介します。
パナソニック|~25年
パナソニックの太陽光発電システムは、発電出力については25年の保証を無償で行っています。さらにモジュールの機器瑕疵については15年の保証を無償で提供しており、長期間安心して使用できます。
【参考】パナソニック|太陽電池の寿命はどのくらいですか。
京セラ|~20年
住宅用太陽光発電システムでは、標準保証(無償)に加えて「トリプル保証」(有償)も利用可能です。具体的には機器 15年・自然災害 15年・出力 20年の保証がセットになった保証で、期間中は修理回数無制限で対応してもらえます。
- 機器保証:お引渡し日より15年間(標準保証は10年間)
- 自然災害保証:お引渡し日より15年間(標準保証は10年間)
- 出力保証:お引渡し日より20年間(標準保証も20年間)
【参考】京セラ|太陽光発電・蓄電池
シャープ|~15年
シャープの太陽光パネルは、システム設置時に「10年保証」(無償)、または「15年保証」(有償)のどちらかを選ぶ仕組みとなっています。設置したシステム容量に応じた出力値を、長期にわたり保証してもらえるのがメリットです。
太陽電池モジュール・パワーコンディショナ・電力モニタ・課題・ケーブルといったシステム構成機器が、丸ごと対象になります。
【参考】シャープ|まるごと15年保証
家庭用太陽光パネルを長持ちさせる方法
ここでは、家庭用太陽光パネルを長持ちさせるための方法についてご紹介します。
パワーコンディショナーの設置場所を守る
パワーコンディショナーの理想的な設置場所は、風通しがよく直射日光を避けられる屋内や日陰の屋外です。高温で湿気の多い環境に設置すると内部の電子部品が劣化しやすくなり、耐用年数が短くなる原因となります。
ただし電力のロスを減らすためには、なるべくブレーカーに近い場所の方が効率が良くなります。設置後も周囲の環境を定期的に確認し、ホコリの堆積や通気口の塞がりがないかチェックして、長寿命化を図りましょう。
モニターをチェックする
太陽光発電システムの状態を把握するために、モニターを定期的にチェックすることが大切です。発電量や売電量、消費電力のデータを確認することで、パネルやパワーコンディショナーの異常を早期に発見できます。
例えば発電量が急激に低下している場合は、パネルの汚れや影の影響、機器の故障の可能性があります。異常が見つかった場合はすぐに施工業者やメーカーに相談し、早めに対策するようにしましょう。
定期的にメンテナンスする
長期間安定して発電するためには、定期的な点検と清掃が必要です。特にパネル表面の汚れ(ホコリ、鳥のフン、落ち葉など)は発電効率の低下につながるため、年に1~2回はチェックし、必要に応じて清掃しましょう。
また配線の緩みや破損、架台のサビや劣化を確認することも重要です。専門業者による定期点検(3~5年ごと)が推奨されており、異常がないかをプロの目で診断してもらうと、より安心して長期間使用できます。
耐用年数を過ぎたら「リサイクル」も
太陽光パネルの耐用年数は20~30年ですが、寿命が近づいたら適切に処理することが求められます。現在、日本では太陽光パネルのリサイクル技術が進んでおり、ガラスやシリコン、アルミフレームなどを再利用できる仕組みが整いつつあります。
特に経済産業省や環境省が主導するリサイクル推進事業が進展し、不要になったパネルを適切に処理する業者の活用が推奨されています。発電量の大幅な低下や修理不能な故障が発生したりした場合は、リサイクル対応の専門業者や自治体の処分方法を確認し、適切な処理を行いましょう。
【参考】環境省|「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)」
まとめ
太陽光パネルには耐用年数があり、適切な時期でのメンテナンスや交換が求められます。太陽光パネルやパワーコンディショナといった部材ごとに、耐用年数を守って運用しましょう。特に環境負荷を考慮すると、リサイクルする取り組みも非常に重要です。