改修工事とは|マンション&戸建の工事内容や種類別の違いを解説

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トレンドワード:改修工事
「改修工事」についてピックアップします。マンションや戸建て住宅では、建物を適切に維持するためのメンテナンスが欠かせません。本記事では改修工事の概要やメリット、他の類似工事との違いについてご紹介していきます。
改修工事とは
「改修工事(かいしゅうこうじ)」とは、既存建物本体や付帯設備の状態改善を目的として行われる工事のことを指します。具体的には建物の劣化や損傷を補修したり、古い設備を最新の基準や用途に適応させたりする工事が含まれます。
大規模な解体を伴う工事から、水回り等の小規模な改修工事まで幅広く含まれます。安全性や防災性を維持する他、建物の資産価値向上のために行われることも多いです。
改修工事の主な内容|マンション・戸建をメンテナンス
ここでは、改修工事に含まれる主な工事内容について整理しておきます。戸建て住宅やマンションで不具合が見られる場合には、適切な改修が必要になります。
屋根・外壁塗装
屋根や外壁の塗装は、建物を雨風や紫外線から保護するために行われる重要な改修工事です。塗装が劣化すると雨漏りや壁内部への水分浸入によって建物の寿命を大幅に縮めてしまうため、適切なメンテナンスが求められます。
また外観の美観を整える役割もあり、塗装色の変更によってデザイン性の向上にも貢献します。塗料には耐久性や防水性、防汚性の高いものがおすすめで、最近では省エネルギー対策として遮熱塗料や断熱塗料も人気です。
配管・電気設備の修理
配管内部に錆や汚れが蓄積することで、詰まりや漏水が発生しやすくなってしまいます。修理や交換工事で老朽化した設備を更新することで、機能性や安全性が向上するのがメリットです。
一方で電気設備に関しても、経年劣化により安全性が低下するリスクがあります。適切な時期に点検を行うことで、電気トラブルによる火災リスクを防ぐことも目的です。
最近では省エネ機器やスマート設備の導入も注目されており、改修時には最新の技術を取り入れるケースが増えています。
耐震補強工事
耐震補強工事は、地震による建物の倒壊リスクを軽減するために行う重要な改修工事です。特に1981年以前に建設された「旧耐震基準」の建物は耐震性が不足していることが多く、補強が推奨されています。
具体的な工事内容としては、柱や梁に補強材を追加する、壁を耐震性の高いものに交換する、基礎部分を補強するといった内容が挙げられます。耐震工事を行うことで建物の安全性が向上し、安心感を高めましょう。
また耐震補強によって地震保険料の割引や補助金制度が利用できる場合もあり、経済的負担を軽減しつつ実施可能な点も魅力です。
改修工事のメリット
ここでは、改修工事を行うメリットについてご紹介します。
建築物の状態を回復できる
建物は年月の経過とともに、外壁のひび割れや雨漏り、配管の老朽化などの問題が発生します。そのまま放置すると建材の腐食や建物全体の寿命が短くなるだけでなく、修理費用も高額になります。
しかし改修工事で損傷を早期に修繕できれば、建物の健全性を維持することが可能です。また見えない部分の不具合も点検・補修することで、将来的なトラブルを未然に防げます。
建物の資産価値向上
外観の美観を整える塗装工事や、最新設備への更新、耐震補強工事などは、建物自体の評価額のアップにもつながります。不動産市場では、メンテナンスがしっかり行われた建物ほど高い価値が維持され、売却時の価格が上がる可能性があります。
またマンション等の集合住宅や商業施設の場合、入居者や利用者の満足度を高める効果もあり、空室リスクの軽減や収益性の向上にも貢献します。そのため改修は資産の保全と将来の収益性の両面でおすすめです。
安全性・利便性が高まる
耐震補強やバリアフリー工事は、地震や高齢化社会に対応するための重要な対策です。耐震補強では建物の構造を強化し、災害時の被害を軽減できます。
そして段差解消や手すり設置などのバリアフリー改修では、全ての方が安心して建物を使用できる環境を整えられます。必要に応じてスマートホーム設備や最新の省エネ機器を導入することで、利便性がさらに高まります。
省エネ効果が期待できる
改修工事を通じて。省エネ効果を実現できる点も大きなメリットです。例えば断熱材の追加や窓の断熱性能向上、LED照明への交換、高効率空調設備の導入などは、エネルギー消費の大幅な削減につながります。
最近ではゼロエネルギーハウス(ZEH)の普及に伴い、再生可能エネルギー設備を取り入れるケースも増えています。これにより環境負荷を軽減しつつ、持続可能な建物運用の実現が可能です。
既存建築の工事種類①原状回復
既存の建物に関する工事には、改修以外にもたくさんの種類があります。ここでは「原状回復」を主な目的とする工事について整理しておきます。
補修工事
補修工事は、建物の部分的な損傷や劣化箇所を修復して元の状態に戻すことを目的とした工事です。例えば壁のひび割れの補修や塗装の剥がれの再塗装、破損したタイルや床材の交換などが該当します。
主に小規模な作業が中心となり、短期間で完了することが多いのが特徴です。補修工事を定期的に行うことで、建物の美観や機能を保つと同時に劣化を防ぎ、建物全体の寿命を延ばす効果が期待できます。
修繕工事
修繕工事は建物の老朽化や損傷を修理し、支障なく使用できる状態に回復することを目的とした工事です。具体的には配管の漏水修理や電気設備の故障修理、雨漏りの対応などが含まれます。
補修工事と異なり、建物の機能的な側面を回復させる作業が中心です。修繕工事を適切に行うことで建物の安全性と快適性を維持し、不具合が広がる前に問題を解決できます。
計画的な修繕は、建物の長期的な維持管理にとって重要です。維持管理について詳しくは、下記記事をご覧ください。
既存建築の工事種類②性能向上
ここでは「性能向上」を主な目的とする工事についてご紹介します。元々の状態よりもグレードアップさせることにより、使い勝手も良くなるのが特徴です。
改修工事
改修工事は既存の建物の老朽化や機能低下を改善し、性能や快適性を向上させるための工事です。主な内容には、耐震補強や断熱性能の向上、最新設備の導入などが含まれます。
見た目や構造を修復するだけでなく、それぞれのニーズに合った機能を付加することで建物の安全性や利便性が大きく向上できます。エネルギー効率を高める省エネ対策やデザイン性の向上など、総合的なグレードアップが可能な工事です。
改良工事
改良工事は、建物やその設備の性能を元の状態以上に改善することを目的とした工事です。例えば床材を高耐久性のものに交換する工事や、遮音性能を強化する壁材変更などが該当します。
建物自体に加えて付帯設備の品質や機能も向上させることで、快適で便利な空間を実現します。改修工事よりも限定的な範囲で行われることが多く、特定の課題を解決するための工事として実施されます。
改装工事
改装工事とは、建物の内外装を新しくしてデザインや用途を一新する工事です。具体的には壁紙や床材の張り替え、キッチンや浴室などの設備を最新型に交換するなどが含まれます。
主に建物の見た目や使いやすさを重視した変更が行われ、商業施設や住宅のイメージチェンジを目的とすることが多いです。改装工事によって空間の印象や機能が大きく変えられるので、利用価値や満足度の向上につながります。
改築工事
改築工事とは、既存の建物の一部または全体を取り壊して新しい構造や設計に基づいて再建する工事のことを指します。建物の用途や規模を変更するケースや、耐震基準を満たす構造に作り直す場合に行われます。
具体的には間取りを変更して住みやすくする、使用目的に応じて施設を新設するなど、根本的に建物の性能や価値を高めることが可能です。そのため、既存の建物を大幅にグレードアップさせる選択肢としておすすめです。
改修工事の注意点
ここでは、改修工事を行う際の注意点についてご紹介します。建築面積や工事内容によっては申請が必要な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
長期的なメンテナンス性を考慮する
改修工事を行う際には、完成後のメンテナンス性を考慮することが重要です。例えば使用する材料が耐久性に優れているか、将来的な補修や交換が容易かどうかを確認しましょう。
できれば定期点検がしやすい設計や設備の配置を意識することで、維持管理コストを削減できます。短期的なコスト削減だけでなく長期的な運用コストを視野に入れることで、より効果的な改修工事が可能になります。
アスベスト除去工事には申請が必要
アスベストを含む建材を扱う改修工事では、作業前に法定手続きとして適切な申請が必要です。具体的にはアスベストの飛散を防止するための計画書や、管轄行政機関への事前届出が求められます。
そのため専門業者に依頼し、安全基準に従って作業を行うようにしましょう。不適切な取り扱いは健康被害や罰則につながるため、最新の法令や基準を確認することが重要です。
【参考】国土交通省|アスベスト対策Q&A
建築確認申請が必要な場合も
改修工事の内容や建築面積によっては、建築基準法に基づき建築確認申請が必要になる場合があります。基本的には建物の立地が防火地域や準防火地域以外であれば、増築面積が10㎡を超える場合に建築確認申請が必要です。
申請が必要な場合、工事開始前に設計図面や必要書類を整えて自治体に申請を行わなければなりません。申請が適切に行われないと、完成後の使用許可が下りないこともあるため注意が必要です。
建築確認申請の条件については、下記記事をご覧ください。
補助金の活用を忘れずに
改修工事には、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用できるケースがあります。特に省エネ改修やバリアフリー工事、耐震補強工事などは、一定の条件を満たすことで支援を受けられる場合があります。
補助金を活用することで、工事費用を軽減しつつ質の高い工事を実現することが可能です。事前に対象となる制度を調べ、必要書類や申請期限を確認しましょう。
まとめ
建物の築年数が経っている場合、適切な改修工事を行うことで状態を回復できます。最新の設備に入れ替えることでグレードアップすることも可能なので、ぜひ工事を検討してみましょう。