工務店の倒産が増加|破産を防ぐ方法や保証とは

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トレンドワード:工務店の倒産
「工務店の倒産」についてピックアップします。近年、建設業界では工務店の倒産が増加傾向にあります。資材や人件費の高騰、人手不足、住宅需要の変化など、経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。
とくに小規模工務店は資金力や受注基盤が脆弱で、少しの原価上昇や工期遅延でも資金繰りが悪化しやすい状況です。そこで本記事では、工務店倒産の背景や直接的な原因、施主や業者にとってのデメリット、さらに倒産を防ぐ具体的な方法まで詳しく解説します。
工務店の倒産が増加中

近年、建設業界全体で倒産件数が増加しており、とくに小規模工務店への影響が大きくなっています。背景には、資材や人件費の高騰、職人不足、住宅需要の変動など、複合的な要因があります。
加えて、長期契約に伴う原価リスクや資金繰りの難しさも経営を圧迫しているのが現状です。完成保証や瑕疵担保保険に加入していないケースも多く、お施主様にとっても影響が拡大しています。
2024年|工務店の倒産件数

帝国データバンクによると、2024年の建設業の倒産件数は「1890件」で、過去10年において最多となっています。これは資材原価高騰、人手不足、零細業者の脆弱な体力などが重なった結果であり、とくに従業員10人未満の小規模工務店が大半を占めているのが特徴です。
工務店倒産によるデメリット

ここでは、工務店倒産によるデメリットについて解説します。
住宅を引き渡し出来ない
工務店が倒産すると、建築途中の住宅は完成できない場合があります。設計図や資材は存在しても、職人の手配や工事管理が困難になることが理由です。
引き渡しが遅れるだけでなく、お施主様が新たに工務店を探して契約し直す必要が生じ、工期の延長や追加費用が発生するリスクもあります。
建築中でも住宅ローンの支払いが発生する
工務店倒産によって工事が中断しても、住宅ローンの返済は通常通り開始されます。完成していない住宅に対してローン返済が発生するため、家計への負担が大きくなってしまうのがデメリットです。
場合によっては、追加資金を用意して別の工務店で工事を再開する必要もあります。
アフターサービスが実施できなくなる
倒産により、完成後の住宅に対するアフターサービスや保証が受けられなくなるケースがあります。施工上の不具合や瑕疵が見つかっても、倒産した工務店では対応できません。
また万が一保険や保証制度を活用していない場合、お施主様が自費で修理する必要が生じます。
工務店倒産につながる社会的背景

ここでは、工務店倒産につながる「社会的な背景」について解説します。
建築費の高騰
近年、建築資材や人件費の高騰が続いており、工務店の利益率を圧迫しています。設計段階で想定していたコストを超える場合には、契約通りの工事計画が困難になるケースもあります。
とくに小規模工務店では資金余裕が少なく、コスト増が倒産リスクを高める大きな要因です。
ウッドショックによる資材不足
2021年頃から始まった世界的な木材価格の高騰や供給不足は「ウッドショック」と呼ばれ、現在でも住宅建築に必要な資材の調達に影響を及ぼしています。木材が不足すると工期が延び、追加費用や契約の再調整が発生する場合もあります。
少子高齢化
人口減少や少子高齢化により、地域によって新築住宅需要が大幅に減少しています。これにより工務店は受注件数の減少に直面し、経営が不安定になりやすい状況です。
とくに地方の小規模工務店は市場縮小の影響を受けやすく、安定的な売上確保が難しくなることが倒産リスクを高めています。
工務店が倒産・破産する直接的原因

ここでは、工務店倒産につながる「直接的原因」について解説します。
資金繰りの悪化
工事代金の入金と資材・人件費の支払いタイミングが合わないと、運転資金の不足につながります。とくに原価高騰や工期延長でコストが膨らみ手持ち資金が急速に減少してしまうことで、破産を引き起こすケースが見られます。
また金融機関からの借入が難しい場合、支払い不能となり倒産に至るケースも少なくありません。
着工数の減少
住宅需要の低下や競争激化により新築着工数が減少すると、受注が大きく減ります。これにより固定費の回収が困難になると、利益率が悪化するのが課題です。
このように継続的な案件確保ができなくなった結果、資金繰り悪化から倒産につながることがあります。
人手不足
熟練職人や現場管理者の不足は、工期の遅延や施工品質の低下を招きます。これにより外注依存度が高まるとコストが上昇し、利益確保が難しくなってしまうのも倒産の原因の一つです。
また人手不足による受注制限や顧客離れが進むことで、売上減少と経営悪化の悪循環に陥ってしまうケースもあります。
工務店倒産を防ぐ方法
ここでは、工務店の倒産を防ぐ方法について解説します。最新技術を導入することで生産性向上が期待できる場合もあるため、ぜひ検討してみてください。
資金繰りの改善

建設業界では受注から入金まで時間がかかる一方で、資材費や人件費の先払いが避けられないのが現状です。しかし中小事業者にとって、資金繰りが大きな課題となっています。資金繰り悪化を防ぐには入金までの期間を短縮し、支払いタイミングを柔軟にすることが重要です。
例えばツクリンクの「DGFT請求書カード払い」を活用すれば取引先への支払いがカード経由で可能になり、最大60日間の支払い猶予が得られます。これにより運転資金の余裕が生まれ、急なコスト増や工期延長にも対応しやすくなります。
住宅完成保証制度に加入する

住宅完成保証制度とは、工務店が倒産した場合に発注者が最小限の追加負担で住宅を完成できるようサポートするしくみです。これによりお施主様への信頼性向上はもちろん、契約解除やトラブル時にもスムーズに対応できます。
工務店にとっては、顧客からの安心感獲得や契約率向上につながるメリットが大きく、経営安定の一助となります。とくに中小規模の工務店ほど、保証制度の加入がリスクヘッジとして有効です。
BIMの導入
BIM(Building Information Modeling)は、建物の3Dモデルに設計・施工・維持管理の情報を統合する技術です。設計段階で施工計画や資材発注量を正確に把握できるため、ムダや手戻りを削減できます。
工期短縮やコスト削減により利益率が改善され、経営基盤の強化につながります。とくに、人手不足や複雑な現場管理に課題を抱える工務店に有効です。
BIMについて詳しくは、下記記事をご覧ください。
まとめ
工務店の倒産は、住宅の引き渡し遅延や保証喪失といった深刻な影響を及ぼします。その背景には、建築費高騰や資材不足、少子高齢化による市場縮小、資金繰りの悪化などがあります。
しかし資金管理の工夫や保証制度の活用、BIMなど最新技術の導入により、倒産リスクを軽減することは可能です。業者・施主双方がリスクを正しく理解し、事前対策を講じることが安心な家づくりへの第一歩です。