エコ住宅設備とは|2025子育てグリーン住宅支援事業を解説

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Category: 省エネ情報

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「エコ住宅設備」についてピックアップします。近年、光熱費の高騰や環境問題への関心の高まりから、省エネ性や環境性能に優れたエコ住宅設備へのリフォームが注目されています。補助金制度の活用によって、初期費用負担を軽減するのがおすすめです。

そこで本記事では、「2025子育てグリーン住宅支援事業」におけるエコ住宅設備リフォームのメリット・デメリットや注意点について詳しく解説します。高断熱・高気密の建材や高効率な給湯器、太陽光発電などを導入することで、快適な住環境を保ちながらエネルギー消費を抑えましょう。

2025子育てグリーン住宅支援事業がスタート!

出典:国土交通省・環境省,2025子育てグリーン住宅支援事業,https://kosodate-green.mlit.go.jp/,参照日2025.8.12

「住宅省エネ2025キャンペーン」の一環として、国土交通省・環境省が共同で「子育てグリーン住宅支援事業」を実施しています。具体的には、ZEH基準の水準を大きく上回る新築や省エネ改修等に対して補助金が交付される制度です。

新築とリフォームが対象ですが、本記事では主にリフォームについて解説します。

対象となるリフォーム工事

補助対象は、以下のカテゴリー①~⑧に該当するリフォーム工事です。

【必須工事①~③】の中から2つ以上のカテゴリーを実施した場合、補助対象となります。そして【任意工事④~⑧】については、必須工事を実施した場合のみ補助対象となります。

【必須工事】

  • ①開口部の断熱改修
  • ②躯体の断熱改修
  • ③エコ住宅設備の設置

【任意工事】

  • ④子育て対応改修
  • 防災性向上改修
  • ⑥バリアフリー改修
  • ⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
  • ⑧リフォーム瑕疵保険等への加入

補助金概要

1戸あたりの補助上限金額は、以下の通りです(対象工事①~⑧の合計)。

  • Sタイプ(必須工事①~③のすべて実施):上限60万円/戸
  • Aタイプ(必須工事①~③のうち、いずれか2つ実施):上限40万円/戸

「エコ住宅設備」とは|2025子育てグリーン住宅支援事業の要件

出典:国土交通省・環境省,2025子育てグリーン住宅支援事業,https://kosodate-green.mlit.go.jp/,参照日2025.8.12

ここでは、2025子育てグリーン住宅支援事業の必須工事である「③エコ住宅設備の設置」について詳しく解説します。補助金の活用を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

対象となる製品の基準

出典:住宅省エネ2025キャンペーン,補助対象製品の検索,https://jutaku-shoene2025.mlit.go.jp/manufacturer/search/#section-eco,参照日2025.9.2

2025子育てグリーン住宅支援事業における「エコ住宅設備」は、下記6種類に分類できます。各要件を把握して、補助金申請時にご活用ください。

詳しいメーカーや品番については「補助対象製品の検索」のページで確認可能です。

【参考】住宅省エネ2025キャンペーン|補助対象製品の検索

①太陽熱利用システム

対象設備基準
太陽熱利用システム強制循環式のもので、JIS A4112:2020 に規定する「太陽集熱器」の性能と同等以上の性能を有することが確認できること(蓄熱槽がある場合は、JIS A4113:2021 に規定する太陽蓄熱槽と同等以上の性能を有することが確認できること)。

②節水型トイレ

対象設備基準
節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの以外)JIS A5207:2011 に規定する「タンク式節水Ⅱ形大便器」もしくは「洗浄弁式節水Ⅱ型大便器」、JIS A5207:2014 に規定する「タンク式節水Ⅱ形大便器」もしくは「専用洗浄弁式節水Ⅱ型大便器」またはJIS A5207:2019 またはJISA5207:2022 に規定する「タンク式Ⅱ形大便器」もしくは「専用洗浄弁式Ⅱ型大便器」と同等以上の性能を有すること。
節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの)上記の節水に関する基準に加え、(1)~(3)のいずれかを満たすトイレであること。
(1)総高さ700mm 以下に低く抑えていること。(2)背面にキャビネット(造作されたものを除く。)を備え、洗浄タンクを内包していること。(3)便器ボウル内を除菌※1する機能を備えていること。

③高断熱浴槽

対象設備基準
高断熱浴槽JIS A5532:2011 に規定する「高断熱浴槽」と同等以上の性能を有すること。

④高効率給湯器

対象設備基準
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)JIS C9220:2018 に基づく年間給湯保温効率、または年間給湯効率が3.0 以上(ただし寒冷地仕様は2.7 以上)であること。
潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)給湯暖房器にあっては、給湯部熱効率が94%以上であること。給湯単能器、ふろ給湯器にあっては、モード熱効率が83.7%以上であること。
潜熱回収型石油給湯機(エコフィール)油だき温水ボイラーにあっては、連続給湯効率が94%以上であること。石油給湯機の直圧式にあって、モード熱効率が81.3%以上であること。石油給湯機の貯湯式にあっては、74.6%以上であること。
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯機)熱源設備は電気式ヒートポンプとガス補助熱源機を併用するシステムで貯湯タンクを持ち、年間給湯効率(JGKAS A705)が102%以上であること。

⑤節湯水栓

対象設備基準
節湯水栓JIS B2061:2023 に規定する「節湯形」の水栓と同等以上の機能を有すること。

⑥蓄電池

対象設備基準
蓄電池定置用リチウム蓄電池のうち、一般社団法人環境共創イニシアチブにおいて令和4 年度以降登録・公表されている蓄電システムであること。

対象工事内容ごとの補助額

①設置台数によらず「設備の種類」に応じた補助額

エコ住宅設備の種類補助額
太陽熱利用システム30,000円/戸
高断熱浴槽32,000円/戸
高効率給湯器30,000円/戸
蓄電池64,000円/戸

こちらは「設備の種類」に応じて、一戸あたり定額の補助金が支給されます。複数台設置しても補助金額は変わらないため、注意しましょう。

②設備の種類に応じた「補助額×設置台数」の合計金額

エコ住宅設備の種類補助額
節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの以外)21,000円/台
節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの)23,000円/台
節湯水栓6,000円/台

トイレや水栓設備は、「補助額×設置台数」の合計金額が補助されます。複数台設置する場合には、合計台数分となります。

確認方法

①性能を証明する書類

工事する住宅設備に応じて、以下の書類が必要です。申請する住宅設備ごとに、1部ずつ提出しましょう。

対象工事提出書類発行者
太陽熱利用システム性能証明書建材メーカー
節水型トイレ納品書の写し施工業者に納品した販売店、流通事業者等
高断熱浴槽性能証明書建材メーカー
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)保証書の写し建材メーカー等
潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)納品書の写し施工業者に納品した販売店等
潜熱回収型石油給湯機(エコフィール)納品書の写し施工業者に納品した販売店等
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯機)銘板ラベル写真施工業者等
節湯水栓納品書の写し施工業者に納品した販売店、流通事業者等
蓄電池出荷証明書または保証書の写し施工業者に納品した販売店、流通事業者等

②工事が行われたことを証明する書類(工事写真)

出典:住宅省エネ2025キャンペーン,工事写真撮影アプリ,https://jutaku-shoene2025.mlit.go.jp/app-about/,参照日2025.9.2

工事写真によって、工事が行われたことが確認される仕組みです。

申請する設置箇所ごとに工事前後でそれぞれ1枚ずつ撮影し、アップロードが求められます。その際には、スマートフォン用アプリ「工事写真撮影アプリ」の活用が便利です。

エコ住宅設備のメリット

ここでは、エコ住宅設備にリフォームするメリットについて解説します。

快適な室温を保てる

高断熱・高気密性能や高効率な冷暖房設備にリフォームすることで外気温の影響を受けにくくなり、一年中快適な室温を保てます。夏は涼しく冬は暖かく過ごせるため、冷暖房の使用を抑えつつ健康的な室内環境が実現可能です。

また結露の発生も減らせるため、カビやダニの繁殖を防げて、住まいの耐久性向上やアレルギー予防にもつながります。

光熱費節約につながる

省エネ性能の高い給湯器や断熱材、高効率エアコン、LED照明などを導入すれば、エネルギー消費量を大幅に抑えられます。結果として光熱費が削減でき、長期的に見ると初期投資を上回るコストメリットが得られるケースもあります。

とくに太陽光発電や蓄電池を組み合わせれば、電気料金の変動リスクにも強くなるのがメリットです。

災害に強い家になる

太陽光発電や蓄電池、断熱性能の高い建材を備えたエコ住宅設備は、停電や断水といった災害時にも強みを発揮します。とくに蓄電池があると停電時でも照明や冷蔵庫を稼働でき、最近需要が高まっています。

リフォームによって災害への不安を軽減し、備えを万全にしておくと安心です。

メンテナンスの手間を減らせる

最新のエコ住宅設備は耐久性や防汚性に優れた素材や機能を採用しており、掃除や点検の回数を減らせます。例えば節水型トイレや防汚加工ガラス、長寿命LED照明などは、日常的な手入れが楽になるだけでなく、交換や修理の頻度も少なくなります。

維持管理にかかる手間と費用を削減し、暮らしの質を高めながら長く快適に住み続けられる環境を整えましょう。

補助金を受けられる

エコ住宅設備へのリフォームは、国や自治体の補助金や減税制度の対象となる場合があります。高性能断熱材、省エネ給湯器、太陽光発電システムなどは導入費用の一部を補助してもらえることが多く、初期コストの負担を軽減できるのがメリットです。

ただし補助金は申請期限や条件があるため、事前に準備して期限内に申請するようにしましょう。

エコ住宅設備のデメリット・注意点

エコ住宅設備へのリフォームにはメリットがたくさんありますが、デメリットや注意点も存在します。リフォーム前には、しっかり確認しておきましょう。

リフォーム費用が掛かる

エコ住宅設備は一般的な設備よりも高性能な素材や機器であり、初期費用が高くなる傾向があります。とくに断熱改修や太陽光発電システム、蓄電池などは数十万円〜数百万円規模の投資になることも少なくありません。

長期的には光熱費削減で回収できる可能性がありますが、効果が出るまでに年数がかかるので、資金計画を立てた上で導入を検討することが重要です。

補助金交付には基準を満たす必要がある

エコ住宅設備に利用できる補助金は、国や自治体ごとに対象設備や性能基準、工事内容が細かく定められています。基準を満たさないと交付対象外となるほか、申請期限や予算上限に達すると締め切られる場合もあります。

そのため事前に条件や必要書類を確認し、施工業者とも相談しながらスケジュールを調整することが大切です。

2025子育てグリーン住宅支援事業の注意点

ここでは「2025子育てグリーン住宅支援事業」でエコ住宅設備を導入する際の注意点について整理しておきます。

「高効率給湯器の設置」は別の補助金の利用がおすすめ

出典:住宅省エネ2025キャンペーン,住宅省エネ2025キャンペーンについて,https://jutaku-shoene2025.mlit.go.jp/about/reform.html,参照日2025.9.2

住宅省エネ2025キャンペーンでは、下記4つの事業が展開されています。これらについては、「補助対象が重複しない場合は併用可能」です。しかし同一製品について、複数の補助事業を重複して申請することはできないため、注意しましょう。

  • 子育てグリーン住宅支援事業
  • 先進的窓リノベ2025事業
  • 給湯省エネ2025事業
  • 賃貸集合給湯省エネ2025事業

また高効率給湯器の設置については、「給湯省エネ2025事業」や「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の方が補助金額が高い場合があります。各事業の補助金額の違いは、下表の通りです。

補助金補助金額(基本額)
子育てグリーン住宅支援事業高効率給湯器:3万円/戸
給湯省エネ2025事業ヒートポンプ給湯機(エコキュート):6万円/台電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機):8万円/台家庭用燃料電池(エネファーム):16万円/台
賃貸集合給湯省エネ2025事業小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ/エコフィール):5~7万円/台

そしてさらに「給湯省エネ2025事業」と「賃貸集合給湯省エネ2025事業」は、性能に応じて「性能加算額」がプラスされる仕組みです。補助金額に大きな差が生じる場合があるので、ぜひ一通りチェックしておきましょう。

出典:住宅省エネ2025キャンペーン,ワンストップ申請【リフォーム(戸別)】の受付を開始しました。,https://jutaku-shoene2025.mlit.go.jp/news/2025042801.html,参照日2025.9.2

また住宅省エネ2025キャンペーンでは「ワンストップ申請」が可能です。具体的にはすべての工事情報を入力することで、もっとも補助額が高い組み合わせを計算して各構成事業の交付申請を一括して作成・提出できます。

ワンストップ申請について詳しくは、下記記事をご覧ください。

工事前の写真提出が必要

出典:住宅省エネ2025キャンペーン,エコ住宅設備の設置,https://kosodate-green.mlit.go.jp/reform/point3.html,参照日2025.9.2

エコ住宅設備の設置では、工事前の写真提出が必須です。これにより、工事の実施が確認されます。

万が一撮影・提出を忘れた場合、補助金の交付が受けられないため注意しましょう。

まとめ

エコ住宅設備へのリフォームは、快適な室温の維持や光熱費の削減、災害時の安心感、メンテナンス負担の軽減など多くのメリットがあります。さらに補助金制度を活用すれば、初期費用の一部を抑えることも可能です。

ただし高性能ゆえに導入費用が高額になりやすく、補助金の活用で負担を軽減するのがおすすめです。申請時には基準や期限があるため、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。