工事出来高確認書とは|2025子育てグリーン住宅では「基礎工事完了確認書」に変更

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Category: 省エネ情報

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「工事出来高確認書」についてピックアップします。子育て世帯の住宅取得やリフォームを支援する「子育てグリーン住宅支援事業」は、環境に配慮した住宅づくりを後押しする制度です。

本事業では補助金交付申で工事出来高確認書の提出が必要でしたが、2025年5月以降は「基礎工事完了確認書」に変更されました。そこで本記事では変更内容や注意点について、分かりやすく解説します。

2025子育てグリーン住宅がスタート!

出典:国土交通省・環境省,子育てグリーン住宅支援事業,https://kosodate-green.mlit.go.jp/,参照日2025.8.19

国土交通省・環境省は、「子育てグリーン住宅支援事業」を実施しています。これは「ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入や、既存住宅の省エネ改修等に対する補助金制度です。

これにより2050年カーボンニュートラルの実現に向け、裾野の広い支援を実現しています。補助金額や補助対象について詳しくは、下記記事をご覧ください。

新築の交付申請の要件変更

2025年5月に、子育てグリーン住宅支援事業における新築住宅の申請手続きに係る要件が変更されました。リフォームにおける要件変更はありませんが、新築工事での書類作成・提出時には注意が必要です。

具体的な変更点は、下記の通りです。

①交付申請の予約が可能となる時期の変更

出典:子育てグリーン住宅支援事業,交付申請の予約,https://kosodate-green.mlit.go.jp/new-house/application.html,参照日2025.8.26

新築住宅で補助金の交付が見込まれる場合は、「交付申請の予約」が可能です。これにより、予約の有効期間内については予算を確保しておけます。

ただし交付申請の予約は任意であり、必ずしも予約する義務はありません。予算が上限に達しそうな場合など、執行状況を踏まえてグリーン住宅支援事業者の責任において判断しましょう。

そして今回、「交付申請の予約が可能となる時期」が下表の通り変更となりました。

変更前変更後
交付申請の予約が可能となる時期建築着工後確認済証、工事請負契約(※1)等、交付申請の予約に必要な書類が全て揃い次第

※1:新築分譲住宅の購入の場合は、不動産売買契約書。ただし、条件付き交付申請の場合は不要。

変更前は「建築着工後」の申請でしたが、変更後は「建築着工開始を問わず、交付申請の予約に必要な書類が全て揃い次第」となっています。なお交付申請の予約の有効期間については、予約から3ヵ月間(または2025年12月31日のいずれか早い日)で変更ありません。

②交付申請が可能となる時期の変更

変更前変更後
交付申請が可能となる時期一定以上の出来高の工事完了(※2)以降基礎工事完了以降

※2:基礎工事より後の工程の工事出来高が補助額以上であること

新築における交付申請は、変更前は「一定以上の出来高の工事完了以降」でしたが、変更後は「基礎工事完了以降」に提出可能となりました。

③工事出来高確認の運用変更

変更前変更後
建築士が準備する書類(交付申請時に提出)(様式9)工事出来高確認書(様式10)基礎工事完了確認書
一定以上の出来高の工事完了※の報告交付申請時交付申請時~2026年1月31日まで

※2:基礎工事より後の工程の工事出来高が補助額以上であること

交付申請可能時期の変更に伴い、交付申請時の提出書類は「(様式9)工事出来高確認書」から「(様式10)基礎工事完了確認書」に変更となりました。様式9がすでに準備されている場合においても、様式10の準備・提出が必要です。

【参考】(様式10)基礎工事完了確認書

そして「一定以上の出来高の工事完了の報告」変更前は交付申請時に実施されていましたが、「2026年1月31日まで」に変更されました。期限内に事業者がポータル上で行う必要があります。

工事の「出来高」とは

2025子育てグリーン住宅支援事業では、一定以上の出来高の工事完了の報告が「交付申請時~2026年1月31日まで」とされています。ここでは「出来高」について改めて整理しておきます。

「出来形」との違い

工事における「出来高(できだか)」とは、工事の請負金額のうち施工が完了した部分に相当する金額分のことを指します。

工事が長期間にわたる場合、完成時まで支払いが無いと業者・発注者双方にリスクがあります。そのため段階的に支払うことで、施工が進んでいる分だけ適正に取引を進めていくのが主な目的です。要するに、リスク分散・透明性確保・進捗管理といったメリットがあります。

一方で「出来形(できがた)」は完了した形状や寸法、仕上がり状態を示すもので、金額ではなく質や形を確認する指標です。つまり出来高は支払いの基準や進捗報告に使われ、出来形は設計通りに施工されているかを評価するために用いられます。

「工事出来高確認書」とは

工事出来高確認書とは、施工業者が実施した工事の進捗量を記録・報告する書類です。契約金額に対してどの程度の工事が完了したかを明確にし、発注者や補助金事務局に提出して支払い請求や補助金交付の根拠とします。

出来高の算定方法や確認日、施工箇所などが記載されており、進捗管理や会計処理に用いられます。

2025子育てグリーン住宅でよくある疑問

ここでは「工事出来高確認書」について、2025子育てグリーン住宅でよくある疑問を解説します。

「工事出来高確認書」の提出は必要?

従来まで2025子育てグリーン住宅では、一定以上の出来高の工事完了以降に「(様式9)工事出来高確認書」の提出が必要でした。しかし2025年5月2日からは、出来高確認書の提出は不要となっています。

変更後は、基礎工事完了以降に「(様式10)基礎工事完了確認書」を提出する方式に緩和されました。これにより早めの申請が可能になったことで、補助金の活用を推進する狙いがあります。

「(様式10)基礎工事完了確認書」作成時の注意点は?

出典:子育てグリーン住宅支援事業,(様式10)基礎工事完了確認書,https://kosodate-green.mlit.go.jp/new-house/application.html,参照日2025.8.26

「(様式10)基礎工事完了確認書」は、建築士による確認が必要です。発行する建築士は、住宅取得者自身や住宅事業者の社員でも可とされています。書類は、スキャンデータをポータル上にアップロードすることで提出します。

ただし内容について疑義等が発生した場合には根拠の提示が求められるため、資料等を保管しておくと安心です。

まとめ

子育てグリーン住宅支援事業では、工事出来高確認書の代わりに基礎工事完了確認書を提出する形式に変更されました。正しく把握して計画的に工事を進めることで、補助金を無理なく活用できます。新築契約時には、ぜひ本制度を積極的に活用してみてください。