リバースモーゲージが「悲惨」と言われる理由|注意点を知って対策

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「リバースモーゲージ」についてピックアップします。リバースモーゲージは自宅を担保に高齢者が資金を借りられる制度ですが、「悲惨な結果になるのでは?」という不安の声もあります。そこで本記事では背景やデメリット、対策方法まで詳しく解説します。自宅が相続できない、長寿リスクなどの注意点に加え、家族との話し合いや資金管理の重要性もチェックしてみてください。
リバースモーゲージとは|「悲惨」なのか心配…
リバースモーゲージとは自宅を担保に金融機関から老後資金などを借りる仕組みで、契約者の死後に自宅を売却して返済するのが一般的です。そのため借入中は利息のみの支払いで、元金の返済は原則不要となります。
住み慣れた家に住み続けながら資金を得られる点が特徴で、主に高齢者世帯の生活資金やリフォーム費用などに活用されています。
しかしリバースモーゲージに興味はあるものの、「悲惨な結末につながるのでは」と不安に感じる方は少なくありません。実際にトラブルに発展するケースもあるため、仕組みやリスクを正しく理解した上で利用を検討することが大切です。
金利
リバースモーゲージの金利は、変動金利が主流です。一般的な住宅ローンと比較するとやや高めで、年利3〜4%程度が多く見られます。
返済は契約者の死亡時などに一括で行われるため、借入期間が長くなるほど利息の総額も大きくなります。金利の上昇リスクもあるため、将来的な返済額や相続への影響も含めて慎重に検討することが重要です。
審査基準
リバースモーゲージは、住宅の評価額や立地、築年数に加え、契約者の年齢や収入、家族構成なども審査の対象となります。とくに重要なのが担保となる住宅の資産価値で、エリアによっては融資が難しいこともあるため注意しましょう。
さらに固定資産税や管理費などを自己負担する必要があり、安定した生活費が確保できているかも重視されます。
住宅ローンやリースバックとの違い
まず「住宅ローン」は購入資金を借りて定期的に返済する仕組みであるのに対して、リバースモーゲージは自宅を担保に資金を借り、原則として返済は死亡後という点が大きな違いです。
そして「リースバック」は一度自宅を売却し、買主と賃貸契約を結んで住み続ける方式です。まとまった売却益が得られるのがメリットですが、賃料を支払う必要があります。
所有権を手放すリースバックに比べて、リバースモーゲージは自宅を所有したまま資金が得られる点が異なります。
2025|国交省、リバースモーゲージの無利子化を検討
国土交通省では高齢者世帯の耐震化を促進するため、住宅金融支援機構の「リ・バース60」を活用した耐震改修融資の支援策を検討しています。具体的には金融機関への利子補給を実施することにより、利用者に対して無利子又は低利子で提供する仕組みです。
利子の支払いのうち「70歳以上は全額」、「60歳以上は利子の支払いのうち3分の2」を国が補助します。
リバースモーゲージのメリット
ここでは、リバースモーゲージのメリットについて解説します。
高齢でも契約できる
リバースモーゲージは自宅を担保にした金融商品で、年金生活者や高齢者でも、担保となる自宅に十分な資産価値があれば利用できる可能性があります。
通常のローンと異なり年齢や収入よりも住宅の評価額が重視されるため、老後資金の調達手段として注目されています。
自宅に暮らしながら借入れできる
リバースモーゲージでは、自宅を売却することなくそのまま住み続けながら資金を借りられます。住み慣れた環境を維持できる点は、とくに高齢者にとって大きな安心材料となります。
リースバックのように所有権を失うこともないため、生活の安定感を保ちつつ資金調達が可能です。
毎月の支払額が少ない
リバースモーゲージでは借入期間中の支払いは利息のみで済む場合が多く、元金の返済は契約者の死亡時などにまとめて行われます。そのため月々の支払額は非常に少なく抑えられ、生活費への負担が軽くなります。
家計に余裕のない高齢者世帯にとって、現金を確保しながらも支出を抑えられるのは大きなメリットです。
借入金の使途が自由
リバースモーゲージで借りた資金は資金使途に制限がなく、生活資金などにも利用できるのが特徴です。生活費、医療費、リフォーム、旅行など、使い道を自由に決められます。
年金だけでは足りない支出を補うこともでき、自分らしい老後を過ごすための柔軟な資金活用が可能です。計画的に使うことで、老後の生活の質を高められます。
リバースモーゲージのデメリット・注意点
ここでは、リバースモーゲージのデメリットや注意点について解説します。
家を遺産として相続できない
リバースモーゲージでは自宅を担保に借入れを行うため、契約者の死亡後に住宅は売却され、借入金の返済に充てられます。そのため基本的には、家を子どもや家族に遺すことができません。
したがって家を「資産」として相続させたいと考えている場合は、不向きな制度となります。
契約審査が厳しい
リバースモーゲージは、住宅の資産価値や所在地(市街地など)、契約者の年齢や健康状態、家計状況など多岐にわたる項目が審査対象となります。とくに築年数の古い住宅や、地方の不動産では審査に通らない場合もあります。
収入が少なくても使える制度とはいえ、誰でも利用できるわけではありません。
借入限度額が低い
リバースモーゲージの借入可能額は、住宅の評価額や契約者の年齢、金融機関の基準によって決まります。一般的に評価額の50~70%程度が上限であり、希望する金額を借りられないこともあるため注意しましょう。
また長期間の利用を見越して少額ずつ借りる設計になっているケースも多く、大きな資金が一度に必要な人には不向きな場合があります。
不動産価格の下落リスクがある
担保となる自宅の価値が下落すると、借入可能額が減少したり追加借入ができなくなったりするリスクがあります。とくに地方や築年数の古い物件は、市場価値の変動が大きく影響します。
また極端に価格が下がった場合は契約の見直しや途中終了となることもあるため、将来の不動産市場の変動も考慮が必要です。
金利上昇で負担額が増える
リバースモーゲージでは多くの場合、変動金利型が採用されています。そのため市場金利が上昇すれば、支払う利息も増加してしまうのがデメリットです。
返済は死亡時などに一括となることが多いため、総返済額が予想より膨らむ可能性もあります。将来的に相続人や残された家族が影響を受ける可能性もあるため、金利動向には注意が必要です。
法定相続人に借金が残るケースがある
通常、リバースモーゲージでは住宅の売却益で借入金を返済しますが、もし売却価格が借入額を下回った場合、差額分を相続人が負担しなければならないケースもあります。
契約内容によっては保証制度や非遡及条項が適用されることもありますが、すべてのプランがそうではないため、契約前に細かく確認する必要があります。
長寿リスクがある
リバースモーゲージは、契約期間中に資金を使い切ってしまう可能性があります。予想以上に長生きした場合、生活費が足りなくなる「長寿リスク」が現実のものになるかもしれません。
また健康状態の悪化や介護施設への入居などで自宅を離れると契約が終了することがあり、その後の住まいや生活資金の準備も重要です。
リバースモーゲージで「悲惨な結果」を防ぐには
ここでは、リバースモーゲージでの「悲惨な結果」を防ぐためのポイントを解説します。
子どもと自宅相続についてよく相談する
リバースモーゲージを利用すると、自宅は契約者の死後に売却され、借入金の返済に充てられます。これにより家を子どもに相続できなくなる場合があるため、事前に家族とよく話し合っておくことが重要です。
親が納得して契約しても、あとから子どもが「家を残してほしかった」と不満を抱くケースもあります。誤解やトラブルを防ぐためにも、家族間で意志を共有しておきましょう。
医療費や生活費を別途確保しておく
リバースモーゲージで得た資金を生活費やリフォームに使っているうちに、思わぬ医療費や介護費用が発生する可能性があります。
しかし高齢になると収入が限られる一方で、支出の予測は難しくなります。借入金だけに頼るのではなく、公的支援や貯蓄など別の資金源も用意しておくことで、資金不足による契約終了や生活困窮を防げます。
資金の受け取り方を考慮する
リバースモーゲージには、まとまった金額を一括で受け取る方式と、月ごとに少しずつ受け取る方式(定期払い)があります。老後の生活スタイルや支出予定に応じて、どちらが適しているかを慎重に検討することが大切です。金融機関と相談しながら、無理のないプランを選びましょう。
まとめ
リバースモーゲージは自宅に住みながら資金を得られる便利な制度ですが、相続や金利、長寿リスクなど注意点も多くあります。「悲惨な結果」を防ぐには、家族との相談や資金計画が欠かせません。制度のメリット・デメリットを正しく理解し、ライフスタイルに合った使い方を検討しましょう。