2025(令和7年)国交省予算|「減災」とは?簡単に解説

目次
トレンドワード:2025(令和7年)国交省予算
「2025(令和7年)国交省予算」についてピックアップします。住宅局における予算の内訳や、2024年の能登半島地震を受けた「減災」対策について詳しく解説します。少子高齢化が進む中、BIM等のデジタル技術を用いた対策がとくに重要です。
2025(令和7年)国交省予算|7兆円超
国土交通省は、2025年(令和7年)の予算を「一般会計 7兆330億円」と発表しています。予算の振り分けにはさまざまな項目が含まれていますが、とくに2024年に発生した能登半島地震からの復旧・復興が課題であり、防災・減災対策や交通の安全確保が重要です。
また持続的な経済成長のために、成長分野への国内投資拡大や賃上げにつながる人材投資、生産性向上を目指した社会資本整備を推進していく方向性が示されています。さらにDX・GXの推進、地域活性化、交通空白地域の改善などにも取り組む予定です。
これらの施策を実現するために、「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長」「地域の特性を活かした分散型国づくり」を柱とし、概算要求を進めています。さらに、「重要政策推進枠」の活用や「5か年加速化対策」の推進、物価高騰対策、新幹線整備などの重要政策にも対応し、国土強靱化計画の加速化に取り組んでいます。
国交省予算の推移
国交省予算の推移は、上図の通りです。近年は防災・減災対策やインフラ維持管理、交通網の整備に補正予算が組まれるケースが多く、増加傾向にあります。
とくに国土強靱化や地方創生を目的とした投資が拡大し、新幹線整備や道路・橋梁の補修にも予算が充てられています。
2025(令和7年)国交省予算・住宅局の内容
ここでは、国交省予算の「住宅局」の内容について解説します。住宅局の2025年度予算は2,088億円で、前年比1.2倍となっています。
①住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備
2024年(令和6年度)の能登半島地震では、高齢化率や旧耐震率が高かったこともあり多数の住宅が倒壊しました。また輪島市においては木造住宅の延焼で、大規模市街地火災が発生しています。
この被害を踏まえて、下記の防災・減災対策の強化が図られます。
- 住宅・建築物の防災対策にかかる緊急支援
- 木造密集地域における耐震化支援の強化
- 緊急輸送路沿道のテナントビル等の耐震化支援の強化
- 公営住宅の旧耐震ストック等の除却支援の強化
- 防災拠点のレジリエンス向上支援の強化
- 住宅のレジリエンス向上のモデル的取組への支援
②既存ストックの有効活用と流通市場の形成
近年、老朽化マンションが社会問題化しており、マンション関連法改正の動きが高まっています。今回の予算では「一棟リノベーション」等に対する住宅金融支援機構の融資制度が創設される予定です。
さらに使用目的のない空き家も急増していますが、対策を行うべき自治体のマンパワー不足が現状です。これを踏まえて、適正な維持管理等を通じた既存ストックの長寿命化や良質な住宅ストックの形成が図られる予定です。
- 総合的なマンション対策の推進(マンションの長寿命化等に向けた先導的な取組
への支援の強化・地方公共団体における老朽マンション対策への支援)
- 高経年マンションの再生等への融資
- 空き家の除却・活用促進への支援
- 民間主体の郊外住宅団地の再生支援の強化
- 長期優良住宅のさらなる普及への支援
③住宅・建築物における脱炭素対策
2050年カーボンニュートラルに向けて、省エネ性能の引上げが課題です。そのためにはBIMを活用した効率的なライフサイクルカーボンの算定や、建材・設備のCO2原単位DBの構築が不可欠となっています。
- 既存住宅・建築物ストックの省エネリフォームの促進
- 新築住宅・建築物の省エネ性能の引上げ
- ライフサイクルカーボン削減に向けた取組の推進(BIMと連携したライフサイクルカーボンの算定・評価(LCA)等への支援)
- 木造建築物等の規制合理化に向けた基準整備
- 優良な木造建築物等の整備への支援
④誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保
日本では少子高齢化が従来の予測を超えて加速しており、子育てしやすい住まいが不足しています。また単身高齢者は大家から入居を拒否される事例も上がっており、住まいのセーフティネット整備が課題です。
- 大規模公的賃貸住宅の建替えと併せた子育て支援施設の整備への支援
- 公営住宅ストック等の子育て活用
- 民間住宅ストックの子育て活用
- 居住サポート住宅を含むセーフティネット住宅における家賃債務保証料等の低廉化支援の強化
- 居住支援法人等による居住支援活動への支援
- 既存建築物のバリアフリー改修等への支援
⑤住宅・建築分野のDX・生産性向上の推進
住宅・建築分野では技術者の高齢化や人手不足が深刻化しており、DXによる生産性向上が求められています。とくに「建築BIMの社会実装」が期待されており、中小事業者等への支援やBIM建築確認、PLATEAU・不動産IDとの連携が実施される予定です。
- LCA算定等に必要な建築BIM導入の加速化
- IoT技術を活用した住宅の普及への支援
- 建築確認のオンライン化、建築BIMによる建築確認の推進
- 空き家データベースシステムの整備
- 固定金利型住宅ローンへの借換え円滑化
- 新興国等における事業展開への支援
「減災」とは|防災との違い
ここでは国交省住宅局予算の中でも、とくに重点が置かれている「減災」について解説します。
そもそも「減災」とは、災害による被害を最小限に抑えることを目的とした取り組みです。一方で「防災」は、災害を未然に防ぐという点が大きな違いです。
つまり防災は災害の発生そのものを防ぐ対策ですが、減災は避けられない災害に備えて被害を軽減するための事前対策を含みます。
国交省住宅局では住宅の耐震化や浸水対策、災害時の避難施設整備などに重点を置き、災害後の迅速な復旧も視野に入れた施策を推進しています。これにより、国民の生命と財産を守ることが目的です。
減災対策①自治体・企業
ここでは「自治体や企業」ができる減災対策について解説します。
マニュアル・ハザードマップの作成
災害発生を想定して、行動指針を明確にするためのマニュアルやハザードマップを作成することが重要です。マニュアルには避難手順、連絡体制、被害想定ごとの対応策を記載し、従業員や住民への周知を徹底します。
またハザードマップでは洪水・地震・土砂災害などのリスクを可視化し、安全な避難経路や避難場所を示すことで迅速な避難行動を支援します。
インフラ整備
防災・減災のためのインフラ整備は、被害の最小化に直結します。自治体は耐震化された公共施設の整備や排水機能の強化を進め、企業は事業所の耐震補強や非常用電源の確保によって、災害時の事業継続性を向上させることが重要です。
さらに道路や橋梁の補修、河川の氾濫防止策などにより、都市の防災力を高めることが可能になります。
自治体間の情報連携
広域災害時には被災地の自治体だけでは対応が困難になるため、事前に自治体間で協定を結んでおくことが大切です。またデジタル技術を活用してリアルタイムで被害状況を共有するシステムを導入することで、より的確な支援や復旧活動が可能になります。
災害時の人員確保
災害発生時に必要な人員を確保するため、自治体や企業は事前に応援協定や人材派遣計画を策定することが重要です。ボランティアや自衛隊との協力体制を構築することで、災害対応の迅速化と効率化を図れます。
減災対策②個人
ここでは「個人」ができる減災対策について解説します。
家具の固定
地震の際、家具の転倒や落下は大きなケガや避難経路の確保に影響を及ぼします。本棚や冷蔵庫などの大型家具を壁に固定するL字金具や突っ張り棒を活用し、転倒を防ぎましょう。
またガラス扉には飛散防止フィルムを貼り、落下の危険があるものは低い位置に収納することで、安全性を高められます。
備蓄(ローリングストック)
災害時に備えて、食料や水、日用品を常備することが重要です。ローリングストックとは普段から消費しながら定期的に補充する方法で、非常食を無駄なく管理できます。災害時に慌てないために、家族構成やライフスタイルに応じた備蓄を心がけましょう。
防災訓練・避難場所の確認
自治体や学校、職場で実施される防災訓練には積極的に参加し、実際の避難経路を歩いて確認しておくことで災害時の行動がスムーズになります。
できれば自宅や職場から最寄りの避難所を事前に調べて家族と集合場所や連絡手段を決めておくと、災害時の混乱を防げます。
地域コミュニティの形成
災害時には、近隣住民との助け合いが非常に重要になります。普段から地域の防災活動に参加して顔の見える関係を築いておくことで、緊急時の協力体制が整います。
とくに高齢者や障がい者など、助けが必要な人の把握や、安否確認の方法を話し合っておくことが大切です。自治会や自主防災組織と連携し、地域ぐるみで防災意識を高めることが減災に大きく貢献します。
最新の減災技術|DXで安全確保
ここでは、DX技術を用いた最新の減災技術をまとめて紹介します。
スマートシティ・IoTセンサー
スマートシティでは、IoTセンサーを活用してリアルタイムの災害情報を収集し、被害を最小限に抑える取り組みが進められています。たとえば福井県永平寺町や香川県高松市では河川の水位や地盤の変動をセンサーで監視し、危険が予測されると自治体や住民に自動通知するシステムが導入されています。
ドローン
ドローンは、災害時の被害状況を迅速に把握して救助活動を支援する技術として活用されています。とくに道路が寸断された地域や危険な場所に人を派遣せずに、空からリアルタイムで映像を取得できる点が大きなメリットです。
また赤外線カメラを搭載したドローンで行方不明者を捜索するほか、災害後の復旧作業の計画にも役立てられています。自治体や企業が導入を進めることで、救助や復旧のスピードが向上しています。
AI予測
AI技術を活用することで、災害発生の予測精度が向上しています。たとえば過去の気象データや地震履歴を分析し、洪水や地震の発生リスクを事前に警告するシステムが開発されています。
AIが災害発生後の復旧計画を支援することで、効率的な対策を講じることも可能です。
住民向けスマホアプリ
スマホアプリを活用した防災・減災対策が進んでおり、住民の防災意識向上や迅速な避難を支援しています。たとえば福岡県福岡市では『ツナガル+プラス』を作成しています。
大規模災害時にはアプリが自動的に災害時モードに切り替わり、通知が配信される仕組みです。また平常時には近くの避難所の位置や設備一覧を地図で表示するほか、避難所へのルートを確認できる機能が利用できます。
BIM
BIMは建物やインフラの3Dデジタルモデルを作成し、建設から維持管理までのデータを一元管理する技術です。設計業務で活用されるイメージがありますが、災害時に被災建物の被害状況を迅速に把握し、安全性を評価する際にも利用できます。
また地震や洪水に強い都市を設計する際にも、BIMを用いることでより精密なシミュレーションが可能です。今後自治体や建設業界での減災において、さらなるBIMの活用が期待されています。
まとめ
2025年度の国交省予算では、能登半島地震の復興に重点が置かれています。災害は起こるものという前提の上で、綿密な減災対策を講じることが重要です。とくにBIM等のデジタル技術活用による、効率的な施策が期待されています。