蛍光灯2027年問題とは|一般家庭への影響や補助金まとめ

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トレンドワード:蛍光灯2027年問題
「蛍光灯2027年問題」についてピックアップします。2027年には蛍光灯の製造等が中止になる予定で、それに伴う影響が懸念されています。本記事では蛍光灯2027年問題の背景や概要、活用できる補助金制度についてくわしくご紹介しているため、ぜひチェックしてみてください。
蛍光灯2027年問題|ランプが製造・輸出入禁止に(環境省)
2023年開催の「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議(COP5)」で、一般照明用の蛍光ランプ(住宅、事務所、工場、店舗、作業現場、街路灯等)の段階的な廃止が決定されました。具体的には、下表の時期に製造・輸出入が廃止されます。
蛍光ランプの種類 | 廃止時期 |
---|---|
直管蛍光ランプ | 2027年12月31日 |
環形蛍光ランプ | 2027年12月31日 |
コンパクト形蛍光ランプ | 2026年12月31日 |
このような蛍光灯の廃止に伴う一連の影響が「蛍光灯の2027年問題」とされ、住宅やオフィス、店舗施設等の照明について交換等の対策が求められています。
パナソニックも蛍光灯の生産終了を発表
大手メーカーのパナソニックでは1951年から蛍光ランプを販売してきましたが、今回の決定を受けて2027年9月末までに生産終了することを発表しています。生産終了日の1年前に生産数量の見極めを行い、計画的な生産を行っていく予定です。
今後は一体型LEDベースライト「iDシリーズ」などを生産している新潟工場の生産能力増強などにより、LED化の提案を加速していきます。
蛍光灯2027年問題の影響・課題|一般家庭にも関係あり
ここでは、蛍光灯2027年問題によって起こる影響や課題について整理しておきます。一般家庭にも影響が及ぶことが想定され、早めの対策が求められます。
既存照明のランプ交換が難しくなる
2027年以降、蛍光灯の生産が終了すると、既存の蛍光灯器具に合う交換用ランプの入手が困難になります。在庫が尽きた場合には交換ランプが手に入らなくなるため、照明が使えなくなるリスクがあります。
とくに一般家庭ではキッチンや廊下などに直管形蛍光灯を使用しているケースが多く、そのままでは交換ができなくなってしまうため注意しましょう。できれば早めにLEDランプやLED照明器具への切り替えを検討し、ランプが切れる前に対応しておくことが重要です。
器具切り替えコストが掛かる
蛍光灯からLED照明に切り替える際には、交換コストが問題となります。既存の照明器具がLED対応でない場合には工事費用が発生する場合があるため、経済的負担が大きくなります。
複数箇所で蛍光灯を使用している家庭では、まとめて交換すると負担がさらに増すため、計画的に順次交換していくようにしましょう。補助金や助成金を活用してコストを抑えながら、早めに切り替えを進めることが重要です。
蛍光灯2027年問題の背景

蛍光灯2027年問題には、いくつかの背景が存在します。
環境規制の強化
従来の蛍光灯には有害な水銀が含まれており、廃棄時の環境負荷が問題視されてきました。これを受けて2023年に「水銀に関する水俣条約」が採択され、水銀使用製品の削減が国際的に進められています。
日本もこの条約を批准しており、水銀を含む蛍光灯の生産や流通が厳しく制限されつつあります。これにより、2027年には一般向け蛍光灯の生産が廃止となる見通しです。
【参考】環境省|「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」の結果について
LED照明への移行推進
LED照明は蛍光灯に比べて圧倒的に省エネ性能が高く寿命も長いため、コストパフォーマンスに優れています。政府や自治体も、エネルギー消費削減やCO₂排出量削減の観点からLED化を強力に推進しています。
主要メーカーも市場ニーズに応じてLED製品の開発に注力しており、蛍光灯からの移行が加速している状況です。
蛍光灯2027年問題で使える補助金|事例をチェック
蛍光灯2027年問題への対策として、LED照明への交換が必要になります。各自治体では独自の補助金制度を実施している場合があるので、ぜひ利用してみましょう。
ここでは、補助金の事例を一部ご紹介します。ただし各補助金には条件や申請期限が設けられている場合があるため、利用を検討される場合には必ず公式サイトをご確認ください。
東京都港区|港区新築建築物への省エネルギー機器等設置費補助
東京都港区では、新築建築物への省エネルギー機器等を導入した際の経費に対して補助金を交付しています。具体的にはLED照明や高効率空調などの高性能設備機器の導入に、「1特定建築物当たりの補助対象経費の3分の1(上限500万円)」が交付されます。
対象は住宅・非住宅の両方で、戸建住宅の場合には下記の条件を満たすのが条件です。
- 延べ面積が2,000平方メートル以上
- 住宅用途BEI0.80以下(住宅用途BEIの算定式における設計一次エネルギー消費量から太陽光発電設備の自家消費量及びコージェネレーション設備による売電量に係る削減量を除いた値)かつ強化外皮基準適合(建築物省エネ法第2条第3号に規定する建築物エネルギー消費性能基準(以下「建築物エネルギー消費性能基準」という。)を満たした上で、外皮平均熱貫流率(以下「UA値」という。):0.60[W/平方メートルK]以下
【参考】港区|新築建築物への省エネルギー機器等を導入した際の経費を補助します
東京都千代田区|千代田区省エネルギー改修等助成制度
千代田区では、住宅やマンション共用部、事業所ビル等で省エネルギー機器等への改修を行う際に費用の一部を助成しています。具体的には戸建住宅でLED照明を交換する場合、対象経費の50パーセント(上限合計額:125万円)が交付されます。
他にもマンションや事業所ビルも補助対象となっており、下記の要件を満たす必要があります。
- ①電気用品安全法によるPSE認証を取得していること
- ②直管型LED照明は、照明器具全体(ランプを含む)の取り換えを行うものであって、照明器具の一部を改修・改造したものでないこと
- ③LED照明からLED照明への改修でないこと
※ 非常灯及び誘導灯のLED照明器具は常時点灯型を助成対象とします
【参考】千代田区|令和6年度千代田区省エネルギー改修等助成制度
蛍光灯2027年問題でよくある疑問
ここでは、蛍光灯2027年問題でよくある疑問についてまとめてご紹介します。
既存の蛍光灯はそのまま使い続けられるのか?
蛍光灯2027年問題はあくまでも「生産終了」であり、既に設置されている蛍光灯を直ちに交換する必要はありません。つまり現在使っている蛍光灯が切れるまで、そのまま使用可能です。
しかし交換用の蛍光管が入手困難になるため、故障や切れた際には代替手段が必要です。市場在庫が枯渇すれば価格が高騰するリスクもあるので、長期的にはLED照明への移行が推奨されます。とくにオフィスや一般家庭で蛍光灯を多用している場合、早めの対策を検討するようにしましょう。
ちなみに蛍光ランプは、製品本体の品番が「F」で始まるかどうかで判断できます。ただし海外製品の場合には表記が異なるケースがあるため、取扱店や照明メーカーに確認すると安心です。
LEDへの交換は電気工事が必要?
蛍光灯をLEDに交換する際、器具によっては電気工事が必要なケースがあります。具体的には直管蛍光ランプやツイン蛍光ランプ(コンパクト形蛍光ランプ)をLED照明に置き換える場合は、電気工事の有資格者による工事が必要です。
一方で「引掛シーリング」の場合には、電気工事不要で器具ごと交換できます。安定器の寿命や消費電力の無駄を考えると、ランプだけではなく器具本体ごとLED対応に交換するのが理想的です。
賃貸物件の照明はどうなる?
賃貸物件では、備え付けの蛍光灯が切れた際、交換費用を誰が負担するかが問題となります。物件のオーナーが交換する義務があるケースが多いですが、契約内容によっては入居者負担となる場合もあります。
また既存の蛍光灯器具がLED非対応だと、工事が必要になることもあります。そのためオーナーや管理会社に相談し、対応策を確認しておきましょう。入居者自身がLED化する際には、退去時に元の状態に戻す必要があるかどうかも確認しておくと安心です。
まとめ
2027年に蛍光灯の製造等が中止になることで、照明のLED化がより一層加速することが予想されます。一般家庭でも、古い蛍光灯が使用されている場合には早めにLEDに交換しておくと安心です。各自治体の補助金が利用できる場合もあるため、ぜひ検討してみましょう。