2025「建築工事届」が新様式に|確認申請との違いや記入例

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トレンドワード:建築工事届
「建築工事届」についてピックアップします。2025年には新様式に改正され、簡素で分かりやすくなっています。本記事では建築工事届と確認申請の違いや、主な改正ポイント等について分かりやすくご紹介します。
建築工事届とは

建築工事届とは、建築基準法第15条に基づき、一定規模以上の建築工事を行う際に所管の特定行政庁へ提出する書類(第四十号様式)です。主に、建築着工統計として公表し利用することを目的としています。
届出が必要なのは、確認申請を要しない工事のうち延べ面積10㎡を超える増改築、修繕、模様替えなどの工事や、大規模な修繕・模様替えなどが該当します。
届出書には、工事の概要や施工者情報を記載します。提出を怠ると指導を受ける可能性があるため、適切な手続きを行うようにしましょう。
【参考】国土交通省|建築工事届・建築物除却届
建築工事届と「確認申請」の違いとは
建築工事届と似ている手続きとして「確認申請」があります。どちらも建築工事に関する手続きですが、目的や対象工事に違いがあります。
建築工事届 | 確認申請 | |
---|---|---|
目的 | 建築統計への利用 | 建築基準法等への適合確認 |
提出先 | 特定行政庁(建築主事を置く市町村の長または都道府県知事) | 自治体の建築主事または民間の指定確認検査機関 |
提出時期 | 建築工事前 | 工事・用途変更着手前 |
対象工事 | 新築、増築、改築、移転 | 新築、増築、改築、移転、大規模の修繕及び模様替、用途変更 |
まず建築工事届は、確認申請が不要な工事のうち、延べ面積10㎡超の増改築や大規模修繕・模様替えを行う際に行政へ届け出るものです。確認申請と異なり審査はなく、統計のために行政へ通知する目的で提出されます。
【参考】国土交通省|建築工事届・建築物除却届
一方で確認申請は、建築基準法第6条に基づき、新築・増改築などの工事が建築基準法に適合しているかを確認するための手続きです。
一定規模以上の建築物では、工事着手前に特定行政庁または民間の指定確認検査機関の審査を受けて確認済証の交付を受ける必要があります。確認済証がなければ、工事を開始できません。
【参考】東京都|建築物を安全に建てるために:建築確認・検査の手続(建築基準法)
2025年1月|建築工事届の改正ポイント・記入例
2025年1月に、建築工事届の様式等が変更になりました。主な改正点は、下記の通りです。
①主要用途を簡素化
従来は「主要用途欄」を中分類項目まで記載していましたが、大分類項目の区分に簡素化されました。
②用途分類が確認申請と同一に
従来は「用途欄」が使途区分の7区分から選択する形式でしたが、建築確認申請の用途区分と同じ分類に変更されました。
③物件名欄が追加
建築物ごとの物件名を記入する欄が追加されました。
④担当者の氏名・連絡先が追加
工事施工者について、担当者の氏名・連絡先を記入する欄が追加されました。
建築工事届でよくある疑問

ここでは、建築工事届でよくある疑問をまとめています。手続きの際には、ぜひお役立てください。
建築工事届が不要になる場合は?
建築基準法第15条第1項では、延べ面積が10㎡以下の建築物の建築や除却の場合、建築工事届の提出は不要とされています。ただし自治体によっては独自の条例で規定が設けられている場合もあるため、事前に確認が必要です。
【参考】国土交通省|建築工事届・建築物除却届
提出先・誰が出す?
建築工事届の提出先は、工事を行う場所を管轄する特定行政庁です。具体的には市町村の建築担当部局や都道府県知事で、建築確認申請が必要な場合は確認申請書とともに民間の指定確認検査機関または特定行政庁へ提出します。
一方で確認申請が不要な場合は、直接特定行政庁の窓口へ提出可能です。提出者は、通常は建築主(工事の発注者)ですが、代理として設計者や施工者が行う場合もあります。
【参考】東京都新宿区|建築工事届・建築物除却届
何日前に提出するべきか
建築工事届を何日前に提出するかは、各自治体によって異なります。たとえば山梨県北杜市の場合「届出は、行為に着手する30日前まで」とされており、北海道ニセコ町では「建築工事届は、工事着手の一週間前を目安に提出」となります。
提出が遅れると工事の開始が遅れたり、行政からの指導を受けたりする可能性があるため、余裕を持って手続きを行うことが重要です。詳細や最新の情報については、国土交通省や各自治体の公式ウェブサイトをご参照ください。
【参考】北杜市|建築基準法の手続き(建築確認申請・建築工事届)
【参考】ニセコ町|建築工事届の提出について
まとめ
建築工事届は、一定規模以上の建築工事を行う際に特定行政庁へ提出する届出です。2025年には仕様が改正され、より簡素で分かりやすくなりました。ただし自治体ごとに異なる規定がある場合もあり、事前確認が重要です。詳細は国土交通省や各自治体の公式サイトを参照してみてください。