子育てグリーン住宅支援事業の「条件」とは|新築・リフォームをお得に

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「子育てグリーン住宅支援事業」についてピックアップします。省エネ住宅の新築やリフォームに対して、お得な補助金交付が受けられる制度です。本記事では補助金の概要や、申請できる工事の条件等について分かりやすく解説します。
2025子育てグリーン住宅支援事業がスタート!
国土交通省・環境省は、2025子育てグリーン住宅支援事業を実施しています。ここでは「いつから開始?」といった疑問から、対象者や補助金額まで詳しく解説します。
【参考】国土交通省・環境省|2025子育てグリーン住宅支援事業
概要・目的
子育てグリーン住宅支援事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた補助金事業です。具体的には「ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入や、2030年度までの「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化に向けた補助金を交付します。
新築だけでなくリフォームへの支援も実施することで、住宅分野での省エネを促進します。
いつから開始?
2025子育てグリーン住宅支援事業の概要は、2025年4月から公表されています。実際の補助金交付申請期間は、新築住宅は「第Ⅰ期:2025年5月14日」から開始しました。
ただし新築分譲住宅の購入は2025年5月30日から、賃貸住宅の新築は2025年6月30日から交付申請が可能です。
一方でリフォームの場合には、工事請負契約日の期間は不問です(ただし着工までに締結された工事請負契約が対象)。そして対象工事の着工期間は、「2024年11月22日から」となっています。
対象者
【新築】
新築の場合の補助金対象者は、下記の通りです。
補助対象事業 | 補助対象者 |
---|---|
注文住宅の新築 | 建築主 |
新築分譲住宅の購入 | 購入者 |
賃貸住宅の新築 | 建築主かつ賃貸オーナー |
長期優良住宅およびZEH水準住宅に該当する新築(賃貸住宅の新築を除く)は、「子育て世帯」または「若者夫婦世帯」が対象です。具体的な定義は、下記となっています。
子育て世帯とは | 申請時点において、子を有する世帯。子とは、令和6年4月1日時点で18歳未満(すなわち、平成18(2006)年4月2日以降出生)とする。ただし、令和7年3月末までに建築着工する場合においては、令和5年4月1日時点で18歳未満(すなわち、平成17(2005)年4月2日以降出生)の子とする。 |
若者夫婦世帯とは | 申請時点において夫婦であり、いずれかが若者である世帯。若者とは、令和6年4月1日時点で39歳以下(すなわち、昭和59(1984)年4月2日以降出生)とする。ただし、令和7年3月末までに建築着工する場合においては、令和5年4月1日時点でいずれかが39歳以下(すなわち、昭和58(1983)年4月2日以降出生)とする。 |
【リフォーム】
リフォームの場合には、戸建、共同(集合)住宅によらず、既存住宅に省エネ改修や子育て対応改修等を行うリフォーム工事が対象です。新築の場合のように、子育て世帯や若者世帯である必要はありません。
詳しい条件については、「2025子育てグリーン住宅支援事業の条件②リフォームの場合」の項でご紹介しています。
補助金額
2025子育てグリーン住宅支援事業の補助金額は、新築・リフォームそれぞれで異なります。
【新築】
補助対象住宅 | 1戸あたりの補助額 | 古家の除却が伴う場合の補助額の加算額 |
---|---|---|
GX志向型住宅 | 160万円/戸 | なし |
長期優良住宅 | 80万円/戸 | 20万円/戸 |
ZEH水準住宅 | 40万円/戸 | 20万円/戸 |
新築の場合の補助金額は、上表の通りです。床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅について、その省エネ性能に応じた補助額となります。ただし一部の地域に立地する等(立地等の除外)の住宅は、補助対象になりません。
【リフォーム】
リフォームの場合の補助金額は、下表の通りです。
Sタイプ | 上限60万円/戸 | 必須工事①~③のすべてのカテゴリーを実施 |
Aタイプ | 上限40万円/戸 | 必須工事①~③のうち、いずれか2つのカテゴリーを実施 |
必須工事
- ①開口部の断熱改修
- ②躯体の断熱改修
- ③エコ住宅設備の設置
任意工事
- ④子育て対応改修
- ⑤防災性向上改修
- ⑥バリアフリー改修
- ⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- ⑧リフォーム瑕疵保険等への加入
2025子育てグリーン住宅支援事業の条件①新築の場合

ここでは、新築の場合の「2025子育てグリーン住宅支援事業の条件」について解説します。具体的な仕様や条件を確認しておくことで、補助金を確実に申請できるようにしましょう。
GX志向型住宅
「GX志向型住宅」とは、ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ性能を有する脱炭素志向型の住宅です。詳しくは下記記事をご覧ください。
【戸建住宅】
戸建住宅は、住宅の立地に応じた①~④のすべてに該当することが条件です。
省エネ性能 | 一般(右記以外) | 寒冷地※1または低日射地域※2 | 多雪地域※3または都市部狭小地等※4 |
---|---|---|---|
①断熱等性能等級※5 | 等級6以上 | 等級6以上 | 等級6以上 |
②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率 | 35%以上 | 35%以上 | 35%以上 |
③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率 | 100%以上 | 75%以上 | (要件なし) |
④高度エネルギーマネジメントの導入 | 対象製品を設置 | 対象製品を設置 | 対象製品を設置 |
※1 本事業の「寒冷地」とは、省エネ基準における地域区分において、1地域または2地域に該当する地域をいいます。
※2 本事業の「低日射地域」とは、省エネ基準における年間の日射地域区分において、A1またはA2に該当する地域をいいます。
※3 本事業の「多雪地域」とは、建築基準法施行令第86条の規定により、特定行政庁が定める垂直積雪量100㎝以上に該当する地域をいいます。
※4 本事業の「都市部狭小地等」とは、a)〜c)のいずれかに該当し、敷地面積が85㎡未満の敷地である地域をいいます。(住宅が平屋の場合を除く)
a)第一種または第二種低層住居専用地域
b)第一種または第二種中高層住居専用地域
c)条例により北側斜線規制が定められている地域
※5 外皮平均熱貫流率及び冷房機の平均日射取得率に関する基準に限る。
【共同住宅】
共同住宅は、建物の住宅用途部分が占める階数に応じた①~④のすべてに該当することが条件です。
省エネ性能 | 3階以下※1 | 4・5階 | 6階以上 |
---|---|---|---|
①断熱等性能等級※2※3 | 等級6以上 | 等級6以上 | 等級6以上 |
②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率※3 | 35%以上 | 35%以上 | 35%以上 |
③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率※4 | 75%以上 | 50%以上 | (要件なし) |
④高度エネルギーマネジメントの導入 | 対象製品を設置 | 対象製品を設置 | 対象製品を設置 |
※1 住宅用途部分が過半を占める階の数で判定します。
※2 外皮平均熱貫流率及び冷房機の平均日射取得率に関する基準に限る。
※3 住戸についてのBELS評価書で確認します。
※4 共同住宅については、住棟における省エネ性能を参照します。住棟についてのBELS評価書の提出も必要になります。
長期優良住宅(戸建/共同住宅)
長期優良住宅とは、「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられているもので、所管行政庁(都道府県、市区町村等)にて認定を受けた住宅」のことを指します。
補助金の条件としては、住宅の建て方に応じた下記①②のいずれにも該当することが必要です。
省エネ性能 | 戸建 | 共同住宅※1 |
---|---|---|
①断熱等性能等級※2 | 等級5以上 | 等級5以上 |
②一次エネルギー消費量等級 | 等級6以上 | 等級6以上 |
※1 共同住宅においても住戸ごとの性能で評価されたもので確認します。長期優良住宅建築等計画認定通知書には、認定対象となる住戸番号が記載されている必要があります。
※2 外皮平均熱貫流率及び冷房機の平均日射取得率に関する基準に限る。
ZEH水準住宅(戸建/共同住宅)
ZEH水準住宅とは、一定の省エネ性能を満たす住宅です。住宅の建て方に応じた①②のいずれにも該当することが条件となっています。
省エネ性能 | 戸建 | 共同住宅※1 |
---|---|---|
①断熱等性能等級※2 | 等級5以上 | 等級5以上 |
②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率 | 20%以上※3 | 20%以上※3 |
※1 共同住宅においても、住戸ごとの性能で評価されたもので確認します。住棟で評価された住宅証明書の場合、補助対象となりません。
※2 外皮平均熱貫流率及び冷房機の平均日射取得率に関する基準に限る。
※3 一次エネルギー消費量等級が等級6であること。
2025子育てグリーン住宅支援事業の条件②リフォームの場合

ここでは、新築の場合の「2025子育てグリーン住宅支援事業の条件」について解説します。
対象となるリフォーム工事
必須工事であるカテゴリー①~③に該当するリフォーム工事のうち、2つ以上のカテゴリーを実施した場合、補助対象となります。
ただしカテゴリー④~⑧(任意工事)については、①~③のうち2つ以上のカテゴリーのリフォーム工事を行った上で実施し、交付申請時にあわせて申請する場合のみ補助対象です。
また1申請当たりの補助額の合計が「5万円未満」の工事は補助の対象になりません。なお申請する際には、対象工事に関する証明書等が必要になります。
カテゴリー | 条件・工事内容 |
---|---|
①開口部の断熱改修 | ガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換 |
②躯体の断熱改修 | 事務局に登録された型番の製品を使用した工事が対象。外壁、屋根・天井または床(基礎断熱)の部位ごとに、一定の使用量以上の断熱材(ZEHレベル)を利用する断熱改修を対象とする。 |
③エコ住宅設備の設置 | 事務局に登録された型番の製品を使用した工事が対象。高効率給湯器の設置については、「給湯省エネ2025事業」や「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の方がより高い補助を受けられる場合がある(同一製品について複数の補助事業の重複申請は不可)。 |
④子育て対応改修 | 家事負担の軽減に資する住宅設備防犯性の向上に資する窓・ドア等生活騒音への配慮に資する窓・ドア等生活騒音への配慮に資するガラスキッチンセットの交換を伴う対面化改修工事 |
⑤防災性向上改修 | 事務局に登録された型番の製品を使用した工事が対象。リフォーム工事を行う窓の性能によっては、「先進的窓リノベ2025事業」の方がより高い補助を受けられる場合がある(同一製品について複数の補助事業の重複申請は不可)。 |
⑥バリアフリー改修 | 手すりの設置段差解消廊下幅等の拡張衝撃緩和畳の設置 |
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 | 事務局に登録された型番の製品を使用した工事が対象。 |
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入 | 対象となる期間内に契約・実施する工事について、国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱うリフォーム瑕疵保険および大規模修繕工事瑕疵保険への加入が対象。 |
詳しい条件については、公式サイトをご確認ください。
対象とならないリフォーム工事例
以下に該当するリフォーム工事は、2025子育てグリーン住宅支援事業の対象になりません。
- ドアの一部および欄間に取り付けられたガラスを交換する工事
- 店舗併用住宅等の住宅以外の部分の工事
- 住宅の所有者等が住宅設備を購入し、その取付を住宅事業者に依頼する工事(いわゆる施主支給や材工分離による工事)
- 外皮以外の部分(外気に面しない間仕切壁)の窓やガラス、ドアの工事
- 太陽光発電設備の設置工事
- 家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(エネファーム)の設置工事
- リース設備の設置工事
- 中古品を用いた工事
2025子育てグリーン住宅支援事業でよくある疑問

ここでは、2025子育てグリーン住宅支援事業でよくある疑問について解説します。
「子育て世帯」が補助金の必須条件?
本事業の対象となる新築住宅の取得のうち、新築注文住宅、新築分譲住宅で、長期優良住宅またはZEH水準住宅を取得する場合は、子育て世帯または若者夫婦世帯のみ対象となっています。
しかし新築注文住宅、新築分譲住宅のうちGX志向型住宅の取得は、すべての世帯が対象となります。また新築賃貸住宅の建築やリフォーム工事は、すべての世帯や法人が対象です。
事実婚については、交付申請時(予約を行う場合は予約の提出時点)に提出する住民票や追加書類でその事実が確認できる場合、対象となります。同性婚についても、自治体が証明するパートナーシップ証明書等で婚姻関係にあることが客観的に確認できる場合は対象です。ただし、婚約状態の方は対象外です。
他の補助金と併用できる?
住宅の取得や、住宅の本体工事の全部又は一部を対象とする国の他の補助制度との併用はできません。また住宅(外構含む)のリフォーム工事を対象とする国の他の補助制度との併用も不可となっています。
ただし各事業で対象とするリフォーム工事の請負工事契約と、他の補助制度で対象とするリフォーム工事の請負工事契約が別である場合については併用可能です。請負工事が別であることに加え、工期が別であることを併用可の要件とする補助制度もあります。
また新築に設置する太陽光発電設備と蓄電池システムについては、本事業の新築補助対象経費に含まれていない設備のため併用可能です。そのほか本事業と一体の4つの事業については、補助対象が重複しない場合は併用可となります。
【参考】住宅省エネ2025キャンペーン
「工事前写真・提出免除依頼書」が認められる場合とは
2025子育てグリーン住宅支援事業の「リフォーム」では、対象工事の実施が確認できる工事前・後の写真の提出が必要です。正しい写真が提出できない工事箇所については、原則、補助金の交付を受けられません。
しかしやむを得ない事情等により工事前写真が提出できない場合、「2025年4月30日までに着工※1したリフォーム工事の交付申請※2」までのリフォーム工事であれば例外的に認められます。
※1 契約工事全体の工事着手日。複数受注、分離発注の交付申請の場合、最も遅い着工日とする。
※2 当該期日までは、工事前写真・提出免除依頼書の使用回数は問いません。
まとめ
2025子育てグリーン住宅支援事業では、新築やリフォームなど幅広い工事で補助金の交付が受けられます。しかし各種条件が定められているため、申請時に注意する必要があります。本記事でご紹介した内容を参考に、ぜひ活用してみてください。