電気自動車を自宅充電する方法|種類や主な補助金紹介

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トレンドワード:電気自動車等用充電設備
「電気自動車等用充電設備」についてピックアップします。電気自動車(EV・PHEV)の普及が進み、自宅でも充電できる環境整備が重要になっています。充電器には急速充電器、壁面取付コンセント、スタンド、V2H、配管設備タイプなどがあり、用途や設置場所に応じた選択が必要です。本記事では自宅への設置における注意点の他、補助金事業についても紹介します。
電気自動車(EV・PHEV)充電は自宅でもできる!
最近ではカーボンニュートラルの観点から、電気自動車(EV・PHEV)の導入が広がっています。公共の充電インフラはまだ十分に整備されていない状況ですが、自宅に充電設備を設ければ家庭でも手軽に充電できます。
政府は2050年カーボンニュートラル実現を目指し、2030年までに充電インフラの大幅拡充を推進している段階です。とくに新築集合住宅では、積極的な設置が呼びかけられています。社会全体で電動車普及と脱炭素化が後押しされている中、自宅充電の重要性はますます高まっています。
電気自動車(EV・PHEV)用充電器の種類

ここでは、主な電気自動車(EV・PHEV)用充電器の種類について解説します。
【参考】国土交通省|新築集合住宅における電気自動車等用充電設備の積極的な設置について
急速充電タイプ
急速充電タイプは、短時間で電気自動車(EV・PHEV)を充電できる高出力タイプです。一般的に出力は10kW以上で充電コネクター、ケーブルその他の装備一式を備えており、30分程度で約80%まで充電可能です。主に公共施設やサービスエリアなどに設置され、移動中の充電に活躍します。
ただし設置には高圧受電が必要な場合が多く、費用やスペースも大きいため、個人の自宅よりも商業施設向きです。充電時間を短縮したいドライバーにとって、欠かせないインフラとなっています。
普通充電設備(コンセントタイプ)
壁面取付コンセントタイプは、家庭用200V電源を使って充電するシンプルな設備です。電気自動車等に附属する充電ケーブルを接続する必要があり、一般的に6〜8時間ほどで満充電が可能となっています。
設置コストが比較的安く、戸建て住宅での導入が進んでいます。夜間の電力を活用して毎日無理なく充電できるため、日常使いに十分対応できるのが特徴です。
普通充電設備(充電ケーブル搭載タイプ)
スタンド型充電器は、屋外に独立して設置するタイプです。一基当たりの定格出力は10kW未満ですが、充電コネクター、ケーブルその他の装備一式が備わっており車載ケーブルを取り出す必要がありません。
デザイン性に優れており複数台設置も可能なため、分譲マンションや商業施設の駐車場によく導入されています。200Vの普通充電タイプが一般的で、壁面設置が難しい場合や、充電スペースをきちんと区画整理したい場合に有効です。
V2H
V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車の電力を家庭に供給できるシステムです。通常は家庭から車へ充電しますが、停電時や電力需要の高い時間帯には車のバッテリーを住宅の電源として使えるのが特徴です。
さらに蓄電池としての役割も果たし、エネルギーの自給自足に貢献します。導入には専用のV2H機器と対応車両が必要ですが、防災対策やエネルギーコスト削減方法として注目されています。
配管設備タイプ
配管設備タイプは、集合住宅の受電設備から電気自動車等用充電設備まで電気を供給するための配管設備等のことを指します。新築マンションでは、駐車場整備の段階で多く採用されています。
最初から充電器を設置しなくても、後で簡単に設備追加できるのがメリットです。初期コストを抑えつつ将来のEV普及に対応できる柔軟な計画が可能で、今後の電動化社会に向けた賢いインフラ整備手法のひとつと言えます。
電気自動車(EV・PHEV)用充電器を自宅に設置する際の注意点

電気自動車(EV・PHEV)用充電器を自宅に設置する際には、下記の注意点について考慮しておきましょう。
電圧「200V」が必要
電気自動車(EV・PHEV)を効率よく充電するには、一般的な100Vではなく200Vの電源が必要です。100Vでも充電は可能ですが、非常に時間がかかるため実用的ではありません。
200Vなら6~8時間程度でフル充電でき、夜間の間に十分充電が完了します。ただし自宅に200Vの配線がない場合は新たに引き込み工事が必要となるため、事前に電力会社や施工業者に相談して準備を進めましょう。
充電器の設置は工事業者に依頼する
自宅に充電器を設置する場合、必ず電気工事士の資格を持った専門業者に依頼しましょう。設置には電圧切替や専用配線の引き込み作業が必要で、法律上、資格のない人が工事をすることはできません。
安全に使うためにも施工実績が豊富な業者を選び、見積もりや設置場所の提案を受けると安心です。建物の構造や使用スタイルに合った、最適な設置プランを立ててもらうことが大切です。
雨の日は使用しないようにする
充電器は防水仕様となっているものが多いですが、基本的には雨の日の使用は避けたほうが安心です。水滴が充電コネクターや車両側端子に入り込むと、感電や故障のリスクが高まります。
充電する際は必ず乾いた手で作業し、できれば屋根付きの場所で行うことが理想的です。万が一、雨天時に充電が必要な場合には注意深く取り扱い、無理な作業をしないよう心がけましょう。
充電インフラ整備の指針|国交省・経産省
ここでは、国土交通省・経済産業省から発表されている「新築集合住宅における電気自動車等用充電設備の積極的な設置について」の内容を解説します。これは充電インフラ整備促進に関する取組の一環で、新築の集合住宅を供給する事業者が充電器を積極的に設置することが推奨されています。
充電インフラ整備に向けた原則
電気自動車の充電インフラ整備に向けて、下記の原則が定められています。
- ユーザーの利便性の向上:車両の性能や使い方を考慮しながら、ユーザーの利便性を向上する。このため、高出力化、設置目安の具体化等を図る。
- 充電事業の自立化・高度化:充電事業の自立化・高度化を図る。このため、コストを低減するとともに、サービスの高度化を図る。
- 社会全体の負担の低減:充電インフラの整備や運用に伴う公的負担や電力システムへの負担を低減していく。このため、公共性を考慮しながら、効果的、効率的な整備を進める。
3つの原則を総合的に勘案しながら、利便性が高く持続可能な充電インフラ社会の構築を目指していくことが目標です。
充電インフラ整備の目標値

電気自動車の充電インフラ整備については、下記の目標値が定められています。
(1)世界に比肩する目標の設定
充電器設置目標を倍増(2030年までに15万口→30万口)、総数・総出力数を現在の10倍に⇒ 日本として、電動化社会構築に向け充電インフラ整備を加速
(2)高出力化
急速充電は、高速では90kW以上で150kWも設置。高速以外でも50kW以上を目安、平均出力を倍増(40kW→80kW)
⇒ 充電時間を短縮し、ユーザーにとってより利便性の高まる充電インフラを整備
(3)効率的な充電器の設置
限られた補助金で効果的に設置を進めるため、費用対効果の高い案件を優先(≒入札制の実施)
⇒ 費用低減を促進し、充電事業の自立化を目指す
(4)規制・制度等における対応
充電した電力量(kWh)に応じた課金について、25年度からのサービスの実現。商用車を中心にエネマネを進め、コストを低減。
⇒ ユーザー・事業者双方にとってより持続的な料金制度を実現。エネマネにより商用車の充電に伴う負荷を平準化・分散化
2025電気自動車充電の補助金
ここでは、2025年の電気自動車充電に関する補助金について紹介します。自治体によって独自の補助金制度を実施している場合もあるので、ぜひお住まいの地域の公式サイト等を確認してみてください。
経済産業省|クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金
2025年度の経済産業省予算には「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」として100億円が盛り込まれています。事業概要は、下記の通りです。
●(1)充電インフラ整備事業等
電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電設備の購入費及び工事費や、公共施設・災害拠点等におけるV2H充放電設備の購入費及び工事費、外部給電器の購入費を補助する。
●(2)水素充てんインフラ整備事業
燃料電池自動車等の普及に不可欠な水素ステーションの整備費及び運営費を補助する。特に商用車の導入促進を図る重点地域に対して集中的に支援することとし、運営費については既存燃料価格を踏まえて追加的に補助する。
東京都|戸建住宅向け充電設備導入促進事業
東京都では自動車から排出される二酸化炭素等の削減を図るため、電気自動車及びプラグインハイブリッド自動車の普及促進に向けて「充電設備普及促進事業」等の助成事業をしています。充電設備に係る助成事業は、導入される設備の用途、経費の種類等によって、複数の助成事業に分かれているのが特徴です。
たとえば「【令和6年度】戸建住宅向け充電設備普及促進事業」の場合、下記の補助金が交付されていました。
- (1)通信機能付き充電設備 機器費:10/10(上限30万円/基)
- (2)通信機能付き充電設備以外 導入費:25,000円/基
ただし2025年3月31日で受付終了しており、2025年度版(令和7年度)の申請受付開始時期ならびに助成内容は未定です。同様の補助金事業が実施される可能性があるため、利用を検討される場合には公式サイトをチェックしてみてください。
まとめ
電気自動車(EV・PHEV)を自宅で充電するには、主に200V電源を使った専用充電器の設置が必要です。急速充電器や壁面取付コンセント、V2Hなど多様なタイプがあり、目的に応じて選べます。
ただし設置工事の際には資格を持った専門業者に依頼し、安全面にも十分配慮しましょう。補助金事業により、さらなる充電インフラ拡充が期待されています。