構造計算とは|ルート1~3をわかりやすく解説!おすすめソフト紹介

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Category: 住宅業界動向

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「構造計算」についてピックアップします。建築基準法改正により、従来4号特例で構造計算が不要だった木造住宅にも影響が及んでいます。本記事では構造計算の種類や建築物の規模について詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

構造計算とは|建築基準法

構造計算とは建物が地震や強風などの外力に耐えられ、安全に使用できることを確認するための計算手法です。建築基準法では、一定規模以上の建築物に対して構造計算が義務付けられています。

具体的には建物の重さや地震力、風圧などを考慮し、柱、梁、基礎など主要な構造部材の強度や変形をチェックします。とくに高層建築や公共施設、大規模なマンションなどでは厳格な基準が設けられており、詳細な計算が求められるため注意が必要です。 

構造計算の目的

構造計算の主な目的は、建物の安全性を確保して災害時の倒壊リスクを低減することです。地震や強風、積雪などの外的要因に対して十分な強度を持つかを検証し、法的基準を満たしていることを確認します。

また建物の耐久性を高め、長期間にわたり安全に使用できる設計を可能にします。さらに過剰な材料使用を防ぐことで、コスト削減や環境負荷の低減にも貢献できるのが特徴です。

構造計算の費用

木造住宅の構造計算費用は約30~50万円程度ですが、中〜大規模ビルやマンションでは100万円以上かかることもあります。ただし構造計算の費用は、建物の規模や複雑さ、計算の詳細度によって異なります。

費用には構造設計者の人件費、使用するソフトウェアのライセンス料、審査機関への申請費用などが含まれるのが一般的です。ただし2025年の法改正以降は構造計算の対象になる建物が増え、費用も変動する可能性があります。

2025年「4号特例縮小」で構造計算対象が拡大

出典:国土交通省,4号特例が変わります,https://www.mlit.go.jp/common/001500388.pdf,参照日2025.4.3

2025年4月の建築基準法改正により、「4号特例」の適用範囲が縮小されます。これに伴い、従来まで構造審査が省略されていた小規模建築物も構造計算の対象となります。

出典:国土交通省,令和4年改正 建築物省エネ法・建築基準法 木造建築物に関する改正項目,https://www.mlit.go.jp/common/001500390.pdf,参照日2025.4.3

具体的には「平屋建てかつ延べ面積200㎡以下の建築物(新3号建築物)以外」に対して構造計算が求められます。これまで4号特例の対象であった2階建て木造住宅は、新たに「新2号建築物」に振り分けられるため、構造関係規定の審査が必要です。

構造計算の方法|計算の種類・フローを解説

出典:国土交通省,構造計算適合性判定制度の現状,https://www.nilim.go.jp/lab/hbg/iinkai/20101115pdf/siryou2.pdf,参照日2025.4.3

ここでは、構造計算の方法について解説します。建物の規模や求められる精度によって、「ルート」と呼ばれる各計算方法が用いられる仕組みです。ここではルート1~3について、それぞれ解説します。

許容応力度計算(ルート1)

ルート1の「許容応力度計算」は、建築基準法に基づいて建築物の各部材が安全に荷重を支えられるかを確認するものです。建物にかかる荷重に対し、各構造部材が持つ材料強度の範囲内で応力を受け止められるかを評価します。

木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など幅広い建築物で使用され、住宅やオフィスビルといった中低層建築物に適用されるのが一般的です。  

許容応力度等計算(ルート2)

ルート2の「許容応力度等計算」は、ルート1の許容応力度計算に加えて、建物が地震や風圧によってどの程度変形するかについても計算する方法です。具体的には層間変形角(建物の各階がどれだけ傾くか)、剛性率(建物の剛さ)、偏心率(建物のバランスの良さ)などを算出し、建物の耐震性をより詳細に検討します。

ルート1よりも厳密な検討が求められるため、主に鉄骨造4階以上などの中高層の建築物に適用されます。

保有水平耐力計算(ルート3)

ルート3の「保有水平耐力計算」は、建物がどの程度の水平力に耐えられるかを計算する方法です。建物が地震時に崩壊せず、一定の耐震性能を持つことを証明するために用いられます。

ルート2との大きな違いは、建物が地震や風圧による大きな揺れを受けた際の「塑性変形(弾性の限界を超えた変形)」を考慮し、構造全体の耐震性能を評価する点です。超高層建築物や特殊な形状の建物、大規模な公共施設など、厳しい耐震基準が求められる建築物に適用されます。 

構造計算が必要な建物の種類・規模|建築基準法

ここでは建築基準法から、構造計算が必要な建物の種類・規模について解説します。2025年4月には建築基準法の改正で構造既製の合理化が実施され、従来より簡易な構造計算で建築できる範囲が広がりました。

【参考】国土交通省|改正建築基準法について

木造建築物の構造計算対象の規模

出典:国土交通省,令和4年改正 建築物省エネ法・建築基準法 木造建築物に関する改正項目,https://www.mlit.go.jp/common/001500390.pdf,参照日2025.4.3

以下の条件を満たす木造建築物では、許容応力度計算やその他の高度な構造計算を行い、構造安全性を確認する必要があります。  

  • 高さ16mを超える建築物
  • 階数が3以上の建築物  
  • 延べ面積300㎡を超える建築物 

これまで「高さ13m以下・軒高9m以下」の木造建築物は構造計算が必要でしたが、2025年の法改正により16mまで緩和されました。

ただし面積に関しては、500㎡から300㎡に引き下げられているため注意が必要です。また4号特例の縮小で「階数2以上または延べ面積200㎡超」の木造住宅が新たに構造計算の対象となりますが、この場合「仕様規定」を満たす必要があります。

鉄骨造・鉄筋コンクリート造

出典:国土交通省,鉄骨造等の建築物における構造規制の合理化等,https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001752262.pdf,参照日2025.4.3

従来まで「高さ13m超又は軒高9m超」の鉄骨造は、高度な構造計算(ルート2以上)が必要でした。しかし2025年の法改正により、「高さ16m以下」等の条件を満たす場合は簡易な構造計算の適用が可能となりました。

さらに、範囲拡大の対象となる規模の建築物(高さ16m以下・3階以下・延べ面積500㎡以内・柱相互の間隔6m以下)のために構造計算「ルート1-3」が創設されています。 

構造計算におすすめのソフト・アプリ

ここでは、構造計算におすすめのソフトやアプリを紹介します。

①「KIZUKURI」|木造建築物に対応

出典:㈱コンピュータシステム研究所,KIZUKURI,https://www.cstnet.co.jp/archi/products/kizukuri/index.html,参照日2025.4.3

「KIZUKURI」は、木造3階建てまでの建築物や、木造とRC造・鉄骨造を組み合わせた建築物の木造部分の構造計算ができるソフトです。初心者でも使いやすいグラフィカルな画面が特徴で、計算の過程をリアルタイムで確認しながら進められます。そのため、操作がスムーズでミスも少なくなります。  

また構造計算の結果をワンクリックで高品質な計算書として出力できるので、面倒なレイアウト調整なしで、そのまま建築確認申請に利用可能です。さらに耐震等級3の計算や、長期優良住宅、フラット35といった各種申請にも対応しています。

②「SEIN La CREA」|国土交通省大臣認定

出典:㈱コンピュータシステム研究所,KIZUKURI,https://www.cstnet.co.jp/archi/products/kizukuri/index.html,参照日2025.4.3

「SEIN La CREA」はRC造、S造、SRC造、CFT造の建築物に対応した一貫構造計算プログラムで、ルート1からルート3までの計算が可能です。軸や層レベルに縛られず、線材置換が可能な構造物であれば一貫した構造計算が行えます。

操作性にも優れており、CADライクなインターフェースを備えているため、図面を描く感覚で直感的に形状を入力できます。グリッド点のマウスクリックで部材を配置できるほか、部材座標の直接入力やコピー機能、グルーピング機能も充実しており、複雑な形状でもスムーズに設計が進められるのが特徴です。

こちらは、平成20年に国土交通省大臣認定を受けています。

③「スマホで構造計算」|無料・フリーで使える

出典:GooglePlay,スマホで構造計算,https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.structure.strphone,参照日2025.4.3

「スマホで構造計算」はiPhoneやAndroid端末向けの無料アプリです。スラブやRC梁・柱、基礎、擁壁、鉄骨部材など、合計14の項目に対応しています。

作成したデータは、デスクトップ版でそのまま読み込むことが可能です。アプリは無償公開されており、App StoreやGoogle Playでインストールできます。

まとめ

これまで一般的な木造住宅では構造計算が不要でしたが、4号特例縮小により構造計算が求められる建築物の範囲が拡大しました。本記事で解説した内容を参考に、ぜひ家づくりに活かしてみてください。