マンション寿命は実際「70年」?耐用年数を過ぎたら建て替えはどうする
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トレンドワード:マンションの耐用年数
「マンションの耐用年数」についてピックアップします。鉄筋コンクリート造のマンションは寿命が長いイメージがありますが、実際の耐用年数が気になるという方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、マンションの耐用年数やメンテナンスの最新技術についてご紹介します。
鉄筋コンクリートマンションの耐用年数
ここでは、鉄筋コンクリート造のマンションの主な耐用年数をご紹介します。
法定耐用年数|47年
鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は「47年」とされています。税務上、減価償却の期間を判断する目安として使用されます。
「減価償却資産」とは時の経過等によってその価値が減る資産のことを指し、建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具等が該当します。ただしこれは建物の価値を算出するために定められた基準であり、実際の建物の耐久性とは必ずしも一致しないため注意しましょう。
47年を超えた場合でも、適切なメンテナンスを行えば居住や利用が可能です。老朽化対策や、修繕計画を適切に立てることが重要となります。
【参考】国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表
経済的な寿命|40~50年
マンションの経済的な寿命は「40~50年」とされています。これは、建物の総合的な価値が維持される期間のことを指します。
老朽化や設備の陳腐化により修繕費が高額になると、まだ使える状態であっても経済的寿命を迎えたと判断される場合が多いです。また建物の価値や収益性が維持されるかどうかも、経済的寿命に大きく影響します。
周辺エリアで区画整理が行われる場合、経済的寿命の観点から取り壊しが行われるケースもあります。資産価値を保つためには、長期的な視点での計画的な運用が必要です。
建物の平均寿命|約70年
鉄筋コンクリート造マンションの平均寿命は「約70年」とされています。国土交通省の資料では「固定資産台帳の滅失データを基に推計した結果、RC系住宅は68年」というデータが発表されています。
ただし定期的な大規模修繕や設備の更新を実施することで、70年以上使用できる場合もあります。特に外壁や屋上防水などの劣化を防ぐメンテナンスは、建物全体の寿命を延ばす鍵となります。
【参考】国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について
マンション耐用年数が過ぎている時の対処法①新築購入時から築年数が経った
ここでは、「新築購入時から築年数が経った場合」の対処法についてご紹介します。マンション耐用年数が近づいていても、適切な対応をすることでトラブルを回避できます。
耐震リフォーム
マンションの耐用年数が過ぎて築年数が経過している場合、耐震リフォームを検討するケースがあります。特に1981年より前の「旧耐震基準」で建設された建物は、現行の耐震基準に適合していない可能性が高いです。
耐震診断を行って必要に応じて補強工事を実施することで、地震による倒壊リスクを軽減し、建物の安全性を高めることが可能です。耐震リフォームにはコストがかかるものの、住まいの安全性を確保し資産価値を維持する効果が期待できます。
建て替え
建て替えとは建物の構造や設備を一新することで、安全性や快適性を向上させる手段です。マンションの老朽化が進行し耐用年数を過ぎた場合、建て替えを検討するケースもあります。
ただし建て替えには住民間での合意形成が必要で、費用負担や仮住まいの確保など課題も多く存在します。さらに建築基準法や容積率などの制約により、同規模の建物が建設できない可能性もあります。
そのため建て替えを進める際には、専門家の意見を取り入れて綿密な計画を立てることが求められます。
ディベロッパーへの売却
建物を取り壊して新たに建設することを目的に、ディベロッパーが敷地ごと築古マンションを購入するケースがあります。特に駅近や利便性の高い立地であれば、需要があることが多いです。
住民全員が売却に同意すれば、一括売却により資金を得られます。売却後は、新たな住居を購入する、もしくは建て替え後の建物に入居するといった選択肢が考えられます。
マンション耐用年数が過ぎている時の対処法②これから中古物件を購入する
ここでは、「これから中古物件を購入する場合」の対処法についてご紹介します。最近では新築住宅価格の高騰で、中古リノベーションをする選択が増えています。
「耐用年数に近い中古マンションを購入しても大丈夫?」と不安に思われている方は、ぜひチェックしてみてください。
立地・都市計画をチェックする
老朽化した中古マンションであっても、利便性の高い駅近や商業施設が充実しているエリアなら将来的な資産価値を保ちやすいです。また地域の再開発計画や都市計画区域の指定がある場合、新たな価値が生まれる可能性も考えられます。
反対に災害リスクが高い区域や人口減少が進んでいるエリアでは、長期的な居住や資産価値維持が難しい場合もあります。そのため購入前に自治体の都市計画や周辺環境の将来性を調査し、慎重に判断することが大切です。
長期修繕計画を確認する
中古マンション購入時には、管理組合が策定した「長期修繕計画」の内容を確認する必要があります。これは建物全体の修繕や設備更新のスケジュールや費用見積もりを示すもので、適切な管理が行われているかどうかの指標となります。
具体的には、修繕積立金が十分に確保されているかも重要なポイントです。積立金が不足している場合、将来的な負担が増える可能性があるため注意しましょう。
計画的な修繕が実施されていれば、安心して居住できる環境が整っていると考えられます。
専有部分のリノベーション計画を立てる
中古マンション購入後、専有部分のリノベーション計画を立てることで老朽化した設備や内装を一新し、快適な住環境を作れます。特に水回りや配管、断熱性能の改善は重要なポイントです。
リノベーション計画を進める際には、現状の状態を把握するための事前調査や見積もりが必要です。また施工会社や設計士と綿密に相談しながら進めることで、長期的に快適な住まいを実現できます。
状況に応じて、補助金や税制優遇制度の活用も検討しましょう。自治体によっては、移住や省エネのためのリフォーム等に補助金を交付しているケースがあります。
マンション維持管理のDX技術
ここでは、マンション維持管理に関する最新のDX技術についてご紹介します。快適なマンションには維持管理が欠かせませんが、人手不足等による課題は深刻です。
そのため適切なデジタル技術を導入することで、効率よく管理する手法が注目されています。
ソラリス|ミミズ型管内走行ロボット「Sooha」
ソフトロボティクスの研究開発を手掛けるソラリスは、ミミズ型管内走行ロボット「Sooha」を提供しています。これは配管内を自在に移動できる世界初のロボットで、設備管理の効率化に貢献できるのが特徴です。
さらにデジタルツインソフトウェア「TRANCITY」上で3D・点群データを生成することにより、配管内部をデジタルツインで再現することも可能になりました。ロボットに清掃器具を搭載することも可能で、マンションやビルでの配管内部からの清掃に活用されています。
パナソニック|マンション管理IoT化サービス「モバカン」
パナソニックは、マンション管理IoT化サービス「モバカン」を提供しています。具体的には管理員業務のデジタル化・リモート対応の拡大・コストや単純作業の抑制等をサポートすることで、マンション管理のDX化を実現するサービスです。
維持管理に関しては、外部の協力会社による清掃や点検時に管理員の立ち会いが不要になることで効率化が図れます。
まとめ
都市部ではマンションに暮らす割合が高いですが、耐用年数が近づき老朽化が進んでいる建物も多いです。しかし実際には法定耐用年数を過ぎても良好な状態であることがほとんどで、適切なメンテナンスを行うことが重要となります。デジタル技術の導入で、快適な状態を保ちましょう。