2025東京こどもすくすく住宅認定制度とは|補助金額や対象まとめ

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Category: 住宅業界動向

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「東京こどもすくすく住宅認定制度」についてピックアップします。子どもが安心して暮らせる住環境整備のため、東京都では補助金事業を実施しています。本記事では東京こどもすくすく住宅認定制度の対象や、具体的な補助金額について詳しく解説します。

「東京こどもすくすく住宅認定制度」とは

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10

「東京こどもすくすく住宅認定制度」とは、東京都が実施している子育て住宅の認定制度です。具体的には安全性や家事のしやすさなどに配慮されている住宅が条件で、子育てを支援する施設やサービスの提供といった取組が対象となっています。

また認定住宅の供給を都内全域で推進するため、住宅事業者等に対して認定住宅の整備費の一部を都が直接支援しています。

東京こどもすくすく住宅認定制度はいつから始まった?

出典:東京都,「東京こどもすくすく住宅認定制度」開始,https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/2023_0407_01,参照日2025.7.10

東京こどもすくすく住宅認定制度は、2023年4月から開始されました。マンション等からの子どもの転落事故が相次ぎ、生活を取り巻く安全性確保が求められていることが背景にあります。

2025年|戸建住宅にも補助金拡大

これまで東京こどもすくすく住宅認定制度の対象は集合住宅のみでしたが、2025年5月には戸建住宅にも拡大されました。集合住宅と同様に、「分譲又は賃貸の戸建住宅であること(既存住宅も対象)」となっています。

これにより、安全性の高い住宅のさらなる広がりが期待されます。

東京こどもすくすく住宅認定制度の対象

ここでは、東京こどもすくすく住宅認定制度の対象住宅について解説します。集合住宅・戸建住宅の両方で、分譲や賃貸も対象になっているのが特徴です。

集合住宅(分譲・賃貸)

  • (1)分譲又は賃貸の集合住宅であること(既存住宅も対象)
  • (2)住戸の戸数は1戸以上であること。ただし、アドバンストモデルについては、住戸の戸数が2戸以上であること。※1棟のうち、認定基準を満たす住戸のみ申請することも可能
  • (3)住戸専有面積がアドバンストは50㎡以上、セレクトとセーフティは45㎡以上であること。
  • (4)認定基準を満たした住宅であること
  • (5)その他法令に違反していないこと

戸建住宅(分譲・賃貸)

  • (1)分譲又は賃貸の戸建住宅であること(既存住宅も対象)
  • (2)住戸の戸数が1戸以上であること。ただし、アドバンストモデルについては、住戸の戸数が2戸以上であること
  • (3)住戸専有面積がアドバンストモデルは100㎡以上、セレクトとセーフティは75㎡以上であること
  • (4)認定基準を満たした住宅であること
  • (5)その他法令に違反していないこと

東京こどもすくすく住宅認定制度の認定モデル

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10

ここでは、東京こどもすくすく住宅認定制度の認定モデルについて解説します。各認定モデルの主な特徴は、下記の通りです。

  • セーフティモデル:子どもの安全の確保に特化したモデル
  • セレクトモデル:事業者の特色を生かした設備等の選択が可能なモデル
  • アドバンストモデル:設備等の充実に加え、コミュニティ形成などソフト面も重視したモデル

セーフティモデル

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10

【認定基準必要適合数:新築集合住宅の場合】

基準必須
基本性能等に関する基準(段差解消、転落防止・落下物による危険防止、防犯対策等)8
単位空間別の基準(玄関、浴室、トイレ、台所、建具等)4
基本性能等に関する基準(転落防止・落下物による危険防止、転倒防止等)3
単位空間別の基準(共用廊下、エレベーター、共用玄関、自転車置場等)2

【認定基準必要適合数:新築戸建住宅の場合】

基準必須
基本性能等に関する基準(段差解消、転落防止・落下物による危険防止、防犯対策等)5
単位空間別の基準(玄関、浴室、トイレ、台所、建具等)7
敷地に関する基準2

セレクトモデル

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10

【認定基準必要適合数:新築集合住宅の場合】

基準必須
基本性能等に関する基準(段差解消、転落防止・落下物による危険防止、防犯対策等)8
単位空間別の基準(玄関、浴室、トイレ、台所、建具等)4
基本性能等に関する基準(転落防止・落下物による危険防止、転倒防止等)3
単位空間別の基準(共用廊下、エレベーター、共用玄関、自転車置場等)2

※選択項目:100項目のうち39項目以上適合

【認定基準必要適合数:新築戸建住宅の場合】

基準必須
基本性能等に関する基準(段差解消、転落防止・落下物による危険防止、防犯対策等)5
単位空間別の基準(玄関、浴室、トイレ、台所、建具等)7
敷地に関する基準2

※選択項目:76項目のうち32項目以上適合

アドバンストモデル

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10

【認定基準必要適合数:新築集合住宅の場合】

基準必須
立地に関する基準(子育てひろばや保育所、小学校、学童クラブなどの周辺立地等)1
基本性能等に関する基準(段差解消、転落防止・落下物による危険防止、防犯対策等)15
単位空間別の基準(玄関、浴室、トイレ、台所、建具等)16
基本性能等に関する基準(転落防止・落下物による危険防止、転倒防止等)5
単位空間別の基準(共用廊下、エレベーター、共用玄関、自転車置場等)10
管理・運営に関する基準(住宅計画、募集から入居までの配慮、コミュニティ醸成等)4

※選択項目

・立地に関する基準:4項目のうち1項目以上適合

・住戸内に関する基準:40項目のうち18項目以上適合

・共用部分に関する基準:15項目のうち1項目以上適合

・管理・運営に関する基準:9項目のうち1項目以上適合

・合計:68項目のうち26項目以上適合

【認定基準必要適合数:新築戸建住宅の場合】

基準必須
立地に関する基準(子育てひろばや保育所、小学校、学童クラブなどの周辺立地等)1
基本性能等に関する基準(段差解消、転落防止・落下物による危険防止、防犯対策等)7
単位空間別の基準(玄関、浴室、トイレ、台所、建具等)18
敷地に関する基準3
コミュニティ形成に関する基準1
管理・運営に関する基準1

※選択項目

・立地に関する基準:4項目のうち1項目以上適合

・住戸内に関する基準:52項目のうち23項目以上適合

・敷地に関する基準:5項目のうち1項目以上適合

・合計:61項目のうち30項目以上適合

東京こどもすくすく住宅認定制度の補助金額

東京こどもすくすく住宅認定制度の補助金額は、集合住宅と戸建住宅でそれぞれ金額が異なります。

集合住宅

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10
  • ※1 補助対象事業の目的及び内容が東京こどもすくすく住宅供給促進事業補助金交付要綱第1の「目的」に適合するこどもすくすく住宅及び子育て交流促進施設の整備費用に限る。
  • ※2 補助対象事業費Aは交付決定日以降に着手する建設工事の費用とする。
  • ※3 分譲新築型の場合、補助限度額を乗じる補助対象住戸の数は50戸を限度とする。
  • ※4 子育て交流促進施設の新築又は整備に要する工事費用を限度とする。

東京こどもすくすく住宅認定制度の「集合住宅」の補助金額は、12.5~200万円/戸です。また子育て交流促進施設等の場合には、1棟ごとに500万円となっています。

戸建住宅

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10
  • ※1 補助対象事業の目的及び内容が東京こどもすくすく住宅供給促進事業補助金交付要綱第1の「目的」に適合するこどもすくすく住宅及び子育て交流促進施設の整備費用に限る。
  • ※2 補助対象事業費Aは交付決定日以降に着手する建設工事の費用とする。
  • ※3 子育て交流促進施設の新築又は整備に要する工事費用を限度とする。

東京こどもすくすく住宅認定制度の「戸建住宅」の補助金額は、12.5~200万円/戸です。また子育て交流促進施設等の場合には、1棟ごとに500万円となっています。

さらに耐震改修工事を実施する場合には、耐震改修工事費の2/3(補助限度額:200万円/戸)となるのもポイントです。

東京こどもすくすく住宅認定制度の認定手続き

出典:東京都,東京こどもすくすく住宅認定制度,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care/seido,参照日2025.7.10

東京こどもすくすく住宅認定制度の申請は、一般のお施主様等ではなく事業者が実施します。主な提出書類は、下記の通りです。

① 工事着手前

  • 全体設計承認申請書(補助対象事業に係る建設工事が複数年度にわたる場合)
  • 補助金交付申請書(補助対象事業の実施が複数年度にわたる場合は、毎年度作成する。)

② 工事完了時

  • 実績報告書

③ 補助金支払時

  • 請求書

東京こどもすくすく住宅認定制度のメリット①居住者側

ここでは、「居住者側」の東京こどもすくすく住宅認定制度のメリットについて解説します。

フラット35の金利が低くなる

出典:住宅金融支援機構,東京都で利用できる【フラット35】地域連携型,https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/flat35kosodate/index.php/Organizations_tree/execute/130001,参照日2025.7.10

東京こどもすくすく住宅に認定されると、住宅金融支援機構の「フラット35(子育て支援型)」において通常より低い金利が適用されます。これにより住宅ローンの返済負担を軽減でき、家計にゆとりが生まれる点が大きな魅力です。

詳しくは、住宅金融支援機構のホームページを確認してみてください。

子どもの安全が確保しやすくなる

出典:東京都,子育てに配慮した住宅のガイドライン,https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/kosodate/child-care-guide,参照日2025.7.10

東京こどもすくすく住宅認定制度では、「子育てに配慮した住宅のガイドライン」に沿った認定基準が採用されています。具体的には転倒・転落防止策や、車の進入を制限した敷地計画などが含まれていることで、家庭内外での事故リスクを減らせるのがメリットです。

2025年からは対象範囲が戸建住宅にも広がったことに合わせて、戸建住宅の特徴を踏まえた基準等が新たに追加されています。

東京こどもすくすく住宅認定制度のメリット②事業者側

ここでは、「事業者側」の東京こどもすくすく住宅認定制度のメリットについて解説します。

他物件との差別化が図れる

子育て支援に配慮した住宅として認定を受けることで、一般的な住宅との差別化が可能になります。これにより物件が子育て世帯にとって魅力的な選択肢となり、物件の付加価値が高まるため、集客や販売促進においても有利に働く点が大きなメリットです。

東京都ホームページで認定物件をPRできる

認定を受けた物件は東京都の公式ホームページに掲載されるため、PRにつながります。信頼性の高い情報源で紹介されることで消費者への認知度が向上し、販売促進につながる効果的な広告手段として活用できるのがメリットです。

整備費の一部等に補助金が交付される

認定を受けた住宅の整備に対し、東京都から工事費等の一部に補助金が交付されます。これにより事業者の費用負担を軽減でき、より質の高い子育て支援住宅の整備を実現しやすくなる点が、大きなメリットです。

都市開発諸制度を活用して容積率が緩和される

一定の要件を満たした場合、都市計画における容積率の緩和が適用される場合があります。これにより建築可能な延べ床面積が拡大し、土地活用の効率が向上します。事業の収益性を高めるための重要な支援制度の一つです。

まとめ

東京こどもすくすく住宅認定制度は、子育てしやすい環境づくりに役立っています。事業者側にも補助金が交付される等のメリットがたくさんあるため、ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか?