コンクリートの家のメリット・デメリット|ハウスメーカー事例や3Dプリンター紹介

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Category: 住宅業界動向

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「コンクリートの家」についてピックアップします。日本では木造住宅が一般的ですが、おしゃれなデザインになる点が人気です。本記事ではメリット・デメリットの他、主なハウスメーカーや3Dプリンター住宅の事例をご紹介します。

コンクリートの家とは

コンクリートの家とは、主に鉄筋コンクリート(RC:Reinforced Concrete)を用いて建築される住宅のことを指します。非常に強度が高く耐久性や耐火性に優れているため、ビルだけでなく住宅建築としても人気があります。

壁や床、天井が一体化する「壁式構造」や、柱と梁で支える「ラーメン構造」が採用されることが多いのが特徴です。モダンでシンプルな外観が特徴的で、打ちっぱなしコンクリートのデザインは特に人気となっています。

木造との耐用年数の違い

法定耐用年数とは、資産の経済的価値が続くと推定される期間のことを指します。主に減価償却費(資産の価値を時間とともに費用として計上すること)を計算する際に使用されます。

木造と鉄筋コンクリート造の法定耐用年数には、下表のような違いがあります。

構造/法定耐用年数住宅店舗
木造22年22年
鉄筋コンクリート造47年39年

実際の建物は耐用年数以上経っても十分問題なく使用できますが、減価償却の計算や融資の審査では影響が生じるため注意しましょう。

【参考】東京都主税局|機械及び装置以外の有形減価償却資産の耐用年数表

コンクリートの家のメリット

ここでは、コンクリートの家の主なメリットについてご紹介します。

デザイン性が高くおしゃれ

コンクリートの家は無機質でモダンなデザインが特徴で、洗練された雰囲気を演出します。特に外壁や内装でコンクリートの打ちっぱなしを活かしたデザインはオリジナリティのある質感があり、シンプルながらも高級感を感じさせます。

また自由度が高い設計が可能なため、個性的なデザインや曲線的な間取りを取り入れるのに最適です。さらにガラス等の素材と組み合わせることで、より一層スタイリッシュな空間を作り出せます。

耐火性・耐久性に優れる

コンクリートは不燃性の素材で火災時に燃えにくいため、高い耐火性を備えています。そのため火事が発生した場合でも、家全体の被害を最小限に抑えられるのがメリットです。

また耐久性にも優れており、50年~100年といった長期間使用できることが一般的です。木造住宅のようにシロアリ被害や腐食が発生するリスクが少ないため、安心して長く住むことが可能です。

自然災害に強い

鉄筋コンクリート造(RC造)の家は、地震や台風などの自然災害に対して比較的強いのが特徴です。コンクリートの強度と鉄筋の柔軟性が組み合わさっているため、建物の揺れを効果的に抑えられます。

また風に対しての安定性も高く、台風や暴風雨の被害を受けにくいのもメリットです。さらに水害や土砂災害にも耐えうる構造のため、自然災害が多い地域でも安心して生活できます。

遮音性が高い

コンクリートは非常に密度の高い素材で、優れた遮音性を持っています。そのため外部からの騒音や隣家の音が伝わりにくいだけでなく、室内の音も外に漏れにくいという特徴があります。

これにより、住宅街や交通量の多い道路沿いでも快適な居住空間を確保できます。さらにホームシアターや楽器の練習部屋を設けたい場合にも適しており、プライバシーを重視する場合には大きなメリットとなります。

大空間スパンに対応可能

コンクリートは大空間スパンの構造を作れるため、吹き抜け等の広々としたオープンスペースを設計できます。また間仕切りが少ない設計ができることで、将来的なレイアウト変更にも柔軟に対応可能です。

さらに店舗やスタジオのように、大人数が集まるスペースを作ることも簡単です。これにより、店舗併用住宅や自宅でのレッスン教室を開く場合にも便利に活用できます。

コンクリートの家のデメリット

コンクリートの家にはメリットが多いですが、いくつかのデメリットもあります。

カビが発生しやすい

コンクリートには湿気を吸収しやすい性質があるため、結露や湿度の高い環境ではカビが発生しやすくなります。特に通気性が十分でない場合や、湿気の多い季節にはカビの発生リスクが高まるのがデメリットです。

またコンクリートの家は気密性が高いので、換気を怠ると室内の湿度が上昇しやすく、結果としてカビの繁殖を招くことがあります。そのため定期的な換気や除湿機の活用、防カビ塗料の使用など、湿気対策を徹底する必要があります。

断熱仕様によって暑い・寒い場合がある

コンクリートは熱伝導率が高く、適切な断熱施工がされていない場合、暑さや寒さを感じやすい場合があります。これにより冷暖房費がかさむ原因になってしまうため、注意が必要です。

またコンクリート自体が蓄熱性を持っているため、日中に熱を吸収して夜間に放出する現象が起こりやすいです。このデメリットを解消するためには、高性能な断熱材や外断熱工法を取り入れることが求められます。

建設費用が高い

コンクリートの家は、木造住宅と比較して建設費用が高い傾向にあります。材料費だけでなく、施工における専門技術や工程の多さもコストを引き上げる要因となります。

また基礎工事や型枠工事が必要であり、それに伴う作業時間も長くなるため、総合的な建築費用が増加します。そのため、初期投資に余裕がない場合には計画的な資金管理が求められます。

建物の重量が重い

コンクリートは比較的重い素材であり、その結果、建物全体の重量も大きくなります。これにより、地盤が弱い場所に建設する場合には地盤改良工事や強固な基礎工事が必要になることがあります。

また重量があるため運搬や施工における作業が難しく、作業時間が長引く場合もあります。さらに地震の際に建物の重さが影響することで、大きな揺れが発生するリスクにも配慮が必要です。

コンクリート打ちっ放しの内装は装飾が難しい

コンクリートの打ちっ放しデザインは美しい反面、内装の装飾には制約があります。壁が硬いため釘やビスを簡単に打ち込むことができず、絵画や棚を取り付ける際には専用の工具やアンカーが必要です。

また後から壁に配線や配管を追加することが難しいため、計画段階で十分な設計が求められます。そしてコンクリート自体が無機質な印象を持つことにより、他の素材やカラーリングとの上手なコーディネートが求められます。

鉄筋コンクリート造の家を手掛けるハウスメーカー|最新技術で快適に

ここでは、鉄筋コンクリート造の家を手掛けているハウスメーカーの事例をご紹介します。日本の住宅は木造住宅が多いため対応できるハウスメーカーは少ないですが、各メーカーが特色のある家づくりを行っています。

大成建設ハウジング|パルコン

出典:大成建設ハウジング,トップページ,https://palcon.jp/,参照日2025.1.23

大成建設ハウジングでは、1969年より壁式鉄筋コンクリート構造の工業化住宅「パルコン」を販売しています。戸建住宅では「プレミアム自由設計」と「規格型住宅」の2種類を展開しています。

自由設計は、ライフスタイル・ライフデザインに合わせた間取りのご要望やお好みのデザイン、敷地条件等に合わせて、一邸一邸に対応可能です。また規格型住宅は、豊富なプランの中からリーズナブルに計画できます。

徹底管理された工場生産によるコンクリートパネルは、天候に左右されることなく安定した性能で計画的な生産が可能となっています。大型のコンクリートパネルで床・壁・屋根を構成することで、強靱な壁式構造となるのがメリットです。

ミサワホーム|CENTURY DESIGN OFFICE

出典:CENTURY DESIGN OFFICE,トップページ,https://cdo.misawa.co.jp/,参照日2025.1.23

ミサワホームブランドの一つである「CENTURY DESIGN OFFICE(CDO)」では、高級邸宅・高級注文住宅を手掛けています。木質パネル工法、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の3種類の構造をメインに、それぞれを組み合わせた構造にすることも可能です。 

認定されたデザイナーが一貫して作り上げるのが特徴で、ミサワホームの技術を用いた1点ものの豪邸が実現します。一戸建ての注文住宅だけでなく、別荘やゲストハウス、オフィス、レストラン、集合住宅等の物件にも対応しています。

セレンディクス|3Dプリンター住宅

出典:セレンディクス,Fujitsubo49㎡,https://serendix.com/1-2,参照日2025.1.23

3Dプリンター住宅を手掛けるスタートアップのセレンディクスでは、「Fujitsubo」を提供しています。一階平屋建てで、49㎡の鉄筋コンクリートRCとなっています。

「一回しかない人生、もっと自由に生きていいはずだ。」がコンセプトで、家を買い替えられるリーズナブルな価格での住宅提供を実現すべく、新しい技術、新しい施工方法の開発を行っています。2LDKの間取りは2人暮らしに十分な広さがあり、実際に定年後の住み替えとしてシニア世代からの需要が高いのが特徴です。

まとめ

コンクリートの家はおしゃれでスタイリッシュな印象になるため、人気があります。ただし断熱性や価格等のデメリットがあるので、新築住宅での導入には注意しましょう。今後は3Dプリンター住宅等の最新技術の広まりにより、課題の解決が期待されます。