買取再販住宅とは|住宅ローン控除でお得!「戸建」人気上昇中

掲載日:
Category: 住宅業界動向

トレンドワード:買取再販住宅

「買取再販住宅」についてピックアップします。最近では新築住宅価格の高騰により、リノベーションの需要が高まっています。本記事では買取再販住宅のメリットや、市場拡大中の戸建てタイプの特徴、住宅ローン控除等について詳しくご紹介します。

買取再販住宅とは

買取再販住宅とは、不動産業者が中古住宅を買い取り、リフォームやリノベーションを行ってから再販する住宅のことを指します。住みやすい環境に改修してから販売されるため、手間なく新しい生活を始められるという特徴があります。  

一般的に住宅の質や安全性が保証されており、売買契約時に「瑕疵(かし)保険」や「住宅履歴情報」を提供する場合もあります。また買取再販住宅は法的基準を満たす改修が行われているため、住宅ローン減税や補助金制度が利用できる場合があるのもメリットです。  

買取再販住宅と中古住宅との違い

買取再販住宅と中古住宅の主な違いは、下表にまとめられます。

買取再販住宅中古住宅
販売時の状態リフォーム済み退去時のまま
リフォーム費用の負担不動産業者購入者
保障瑕疵保証等基本的に無し
住宅ローンの利用可能条件が厳しい

例えば中古住宅を購入する場合、購入者自身でリフォーム業者を探し、施工の手配をする必要があります。一方で買取再販住宅はすでに改修済みの状態で販売されるため、購入後の手間が少ない点が大きな違いです。  

「戸建て」の買取再販住宅が注目される背景

従来まで買取再販住宅と言えば、マンション等の物件が一般的でした。しかし最近では戸建ての買取再販住宅が増加しています。その背景としては、下記の理由が挙げられます。

  • 中古住宅市場の活性化
  • リノベーション需要の増加
  • 新築住宅よりリーズナブル

日本では、空き家問題が社会的な課題となっています。そのため、既存の住宅を再生して有効活用する取り組みが注目されているのです。これにより、使い捨てではないサステナブルな住まいづくりが実現します。

また消費者の中には、自分好みの住宅を手に入れたいというリノベーション志向の人も増えています。買取再販住宅はリフォーム済みで手間が少ない点に加え、デザイン性や機能性が向上しているため、若年層を中心に需要が高まっています。 

そして価格がリーズナブルという、コストパフォーマンスの高さも魅力です。 

買取再販住宅のメリット①設備・環境関連

ここでは、買取再販住宅の「設備・環境関連」のメリットについてご紹介します。

新築同様の設備が使える

買取再販住宅では不動産会社がプロの目線で住宅全体を調査し、老朽化した設備や内装を最新のものにリフォーム・リノベーションしています。そのためシステムキッチンや浴室乾燥機などの最新設備や、エコ性能が高い給湯器や断熱サッシが採用されていることも多いです。

新築住宅に匹敵する快適な住環境が手に入るため、購入後にリフォームで設備を入れ替える手間やコストを削減できます。  

すぐ入居可能な物件が多い

買取再販住宅は販売される段階でリフォームが完了しているため、購入後にすぐに入居できる点が大きなメリットです。  

リノベーション済みなら内装も整っているため、「新しい住まいですぐに快適な生活を始めたい」という方にとって理想的な選択肢となっています。

環境負荷を軽減できる

新築住宅を建設する場合、建材の生産や運搬、建設作業などで多くの資源を消費することで環境への負荷が発生してしまいます。一方で買取再販住宅は既存の建物を活用するため、環境負荷を軽減できるのがメリットです。  

最近ではエコリノベーションが施された買取再販住宅も登場しており、省エネ性能や太陽光発電などの導入が進んでいます。  

瑕疵担保責任で守られている

買取再販住宅では売主である不動産会社が瑕疵担保責任を負うケースが多く、購入後に住宅に問題が発生した際でも保証が受けられる安心感があります。

また購入者が安心して物件を選べるだけでなく、住宅ローン減税や補助金制度が適用される可能性も高まるのがメリットです。

買取再販住宅のメリット②税金・ローン関連

ここでは、買取再販住宅の「税金・ローン関連」のメリットについてご紹介します。

新築より費用が安い

買取再販住宅は、新築住宅に比べて購入価格が割安なことが多いです。新築住宅は土地代+建築費が含まれるため高額になりやすいのに対し、買取再販住宅では既存の建物を活用するため、建築費相当分が抑えられるのが理由です。

リノベーション済みのため、追加で大規模な改修費用をかける必要がないことも費用面でのメリットとなります。

仲介手数料が不要

中古住宅を購入する場合には個人間での売買となるため、不動産会社への仲介手数料を支払う必要があります。しかし買取再販住宅は不動産会社が直接販売するケースが多いため、仲介手数料が発生しません。 

仲介手数料は数十万円の費用が掛かることも多いため、これを節約できるのは大きなメリットです。浮いた予算を、購入後のリフォーム費用や家具・家電の購入費用に予算を充てられます。

住宅ローン控除を受けられる

買取再販住宅は、新築住宅と同様に住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を利用できるケースがあります。一般的な中古住宅では、住宅ローン控除を受けるために築年数や耐震基準を満たす必要がありますが、買取再販住宅は不動産業者が耐震基準適合証明書を取得していることが多く、適用条件を満たしやすいのが特徴です。

住宅ローン控除を活用すれば、年間の所得税から一定額が控除され、実質的な支払い負担を軽減できます。ただし住宅ローン控除の適用には条件があるため、購入前に確認しましょう。

不動産取得税が軽減される

不動産取得税とは住宅を購入する際に課される地方税で、固定資産税評価額をもとに算出されます。買取再販住宅の場合、所有権移転登記に係る登録免許税の税率を一般住宅特例より軽減する特例措置(0.1%(一般住宅特例0.3%、本則2%))が受けられます。

これにより購入時の税負担を抑えられ、新築住宅を購入するよりも初期費用が軽減される点が魅力です。

【参考】国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」

買取再販住宅の住宅ローン|2025年も継続予定

出典:国土交通省,住宅ローン減税の制度内容が変更されます!,https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000189.html,参照日2025.1.2

買取再販住宅の場合、新築住宅と同様の住宅ローン控除が受けられます。そのため具体的には2025年の場合、長期優良住宅・低単層住宅だと「4500万円×0.7%」の合計315万円が13年間かけて控除されることになります。

ただし子育て世帯・若者夫婦世帯の場合、「5000万円×0.7%」の合計350万円とされており、より控除金額が大きいのが特徴です。この優遇措置は2024年度で終了する予定でしたが、「令和7年度与党税制改正大綱」で1年延長されることが決定しました。

【参考】令和7年度国土交通省税制改正要望事項

買取再販住宅の課題|解決策も紹介

ここでは、買取再販住宅の抱える課題についてご紹介します。具体的な解決策も知っておくことで、購入時に参考にしてみてください。

費用が割高な場合もある

買取再販住宅は不動産会社が買い取った後にリフォームやリノベーションを施して販売されるため、新築住宅よりは安価です。しかし一般的な中古住宅と比較すると、費用が割高になる場合があります。  

また物件価格にはリフォーム費用や不動産会社の利益が上乗せされているため、コスト面で割高に感じることもあります。  

【解決策】相見積もりを取る

同じ地域や条件で複数の買取再販住宅を比較し、適正価格かどうかを確認しましょう。他の物件と設備や立地条件、改修内容をしっかり比較することで、よりコストパフォーマンスの良い物件を見つけやすくなります。  

必要に応じてリフォーム費用が含まれていない中古住宅を購入し、自分でリフォームする方法も検討してみましょう。

内部の劣化リスクがある

買取再販住宅は、外観や内装がリフォームされていて見た目は綺麗でも、建物の構造部分や配管など内部が劣化している可能性があります。特に築年数が古い物件の場合、見えない部分に問題が潜んでいるケースも見られます。  

【解決策】ホームインスペクションを活用する

購入前にホームインスペクション(住宅診断)を依頼することで、建物内部の状態を事前に確認できます。  構造上の問題や耐震性、配管の状態などをプロが調査してくれるため、購入後のトラブルを未然に防ぐのに役立ちます。

不動産会社が提供する保証内容(瑕疵保証)と診断結果を照らし合わせて、購入を慎重に判断しましょう。  

リノベーションが好みに合わない場合がある

買取再販住宅は、不動産会社が一般的なニーズを考慮してリノベーションを行っています。そのため、購入者自身の好みやライフスタイルに完全に合致しない場合があります。

【解決策】購入後にリフォームする方法も

もし内装以外の条件が合っている場合には、購入後に内装だけ好みにリフォームする方法もあります。  この場合、物件購入時にリフォームにかかる予算も含めて資金計画を立てておくと安心です。  

リフォームの際に家具やインテリアのコーディネートも同時に検討することで、より統一感のある住空間を作れます。 

買取再販住宅の広がり|戸建の拡充やDX活用も

ここでは、買取再販住宅の主な事例をご紹介します。最近ではマンションではなく「戸建」の買取再販住宅が増加しており、最新DX技術を活用している方法にも注目です。

リノベ再販AI査定サービス|中古戸建も可能に

出典:エステートテクノロジーズ,仕入価格・再販価格を5秒で査定できるAI不動産査定ツール,https://www.estate-tech.co.jp/enterprise-services/ai-assessment-for-real-estate-developer/,参照日2025.1.2

エステートテクノロジーズでは、「仕入価格・再販価格を5秒で査定できるAI不動産査定ツール」を開発しています。これはリノベ後の再販価格、仕入目安、想定利益を一気通貫して見ることが出来るサービスです。

使用データはリノベに特化したものを利用し、精度は業界最高水準のエンジンを搭載しています。全国の中古マンション・中古戸建を扱う買取再販事業者様向けで、事業計画から逆算した適正価格で仕入れから再販までを行うことができるようになります。

パナソニックホームズ|戸建買取再販を本格化

出典:パナソニックホームズ,当社戸建住宅やマンションの買取再販事業を本格化,https://homes.panasonic.com/company/news/release/2021/0623.html,参照日2025.1.2

パナソニックホームズでは、オーナーを中心とした既存住宅ストック事業の強化を図るため、2021年に買取再販事業の専任部署「住宅流通推進センター」を新設しました。買取再販事業においては、2030年350億円の売上目標を掲げています。

具体的にはパナソニック ホームズ施工の既存住宅や一般のマンション住戸(専有部)を買い取り、グループ傘下のパナソニック リフォームによるリフォームやリノベーションを施し、再販売までをワンストップで対応していきます。

積水化学工業「Be ハイム」が2024グッドデザイン賞受賞

出典:セキスイハイム,Beハイム,https://www.sumu-heim.jp/beheim/,参照日2025.1.2

セキスイハイムが手掛ける買取再販ブランド「Beハイム」が、2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。現在子育て世代を中心に好評で累計販売は200棟を超えており、順調に成長しています。

セキスイハイムの高度工業化住宅の特性を活かした品質確保とリノベーションによる再価値化により、売り手と買い手の双方が安心・納得できる住み継ぎの実現を図る提案が高く評価されました。

グッドデザイン賞の評価では「中古化した工業化商品住宅を販売メーカー自らがリノベーションを行い、再価値化を図るサービス提案であり、環境問題への意義はもちろん、全国に増加し続ける空き家問題への処方箋ともなっており、その意義は大きい。全住宅メーカーに実装してほしいサービスである。」と述べられています。

まとめ

最近では新築住宅価格が高騰している一方で、空き家の増加も問題となっています。その両方を解決する手法として「買取再販住宅」が注目されているのです。中古住宅より住宅ローン控除の金額も大きくなるため、さらなる需要の拡大が予想されます。